クリスマス特別編2024
『ク~リスマスは今年も~』
ヨミヤの家。
誰も居ない居間で、コタツに入るヨミヤとアサヒは二人でテレビを見ていた。
「私、この歌の歌詞ずっと、『楽しかった出来事を、消し去るように』かと思ってた」
「聖夜になんてことをしようとしてんの?」
「まぁ、小さい頃の、よくある聞き間違いよ」
ある年のクリスマス。
恒常的に親が家に居ないヨミヤの家で、ヨミヤとアサヒは二人だけの時間を満喫していた。
のだが―――
「お姉ちゃん!! それ私のチキン!!」
「………すいません、チキンが私を呼んでいました」
「ねぇ~ヨミヤくぅ~ん………お酒頂戴!」
「な、なんでヴェールとシュケリさんとハーディさん!?」
なぜか現実世界に似つかわしくない髪色をした方々が、なぜかヨミヤの家のリビングで、なぜかチキンやらお酒やらを貪っていた。
「はぁ!? ヨミッ!! 一体これはどうゆうこと!!?」
一方、目の前の幼女やら少女やら、飲酒エルフに見覚えのないアサヒが、般若面のごとく怒りを露わにして―――目に涙を浮かべてヨミヤに詰め寄っていた。
「ちょっ―――まって、オレにも何が何だか………ウワーッ!!」
※ ※ ※
「………ハッ!?」
目が覚めると、焚火の前で、本を抱えたまま寝落ちていた。
今は乗合商業馬車の旅の途中。ハーディに魔法を教えてもらっている最中のヨミヤだった。
「………自分の家にアサヒとヴェールとシュケリさんとハーディさんって」
マジで、本当に、欠片も現実感のない夢を見ていた自分を恥ずかしく思うヨミヤは、悶えるように顔を覆った。
女の子の知り合いに、何なら恋人に恵まれた少年に、きっとヒカリもタイガも中指を立てる。
―――誰だって立てる。
コンビニでケーキをお勧めされる中、弁当だけ買って帰る人間だっているんだから………!!
閲覧いただきありがとうございます。
ヨミヤ君にバトンが渡りました。………作者の中指と共に。




