選挙
遂にメキシコに着いた。
史実では、現実を認識していなかったからメキシコシティで夢想的な政策をしていたらしい。実際、やることなすこととんちんかんだったと言われている。
ただ、現実としては私達はフランス同様の侵略者という扱いで、かつてフランスに逃げた亡命者達しか味方にいない。
ここは一手投じようか。
「メキシコよ! 余は貴国の要請に応じて、この国に来たと信じている! だが、余はメキシコの真の意思を知りたい! 皇帝にふさわしいかどうか、投票してもらいたい!」
そう、私は国民投票を呼び掛けたのだ。史実では、各国に承認されずその結果処刑されたのだ。
だから私は、メキシコを味方につけるべく、国民投票という手段を取ったのだ。
「余は皇帝である! だがそれは、諸君らにとってふさわしい皇帝であるかどうかを問うためのものでもある! 諸君らが自ら考え、そして投票するがいい! だが、国民の行いを裏切りであると断じることは許さん!」
メキシコに味方してもらえれば、私は他国と対等に渡り合うことが出来る。幸い、私はメキシコに味方した方がメリットがあると思っている。
メキシコはアメリカ軍惨敗している。
その為、政府に不満があると思う。
「余は諸君らの答えを待っている! 以上だ!」
そして私はメキシコシティの広場に陣取り、投票が始まるのを待った。
ファレスが、この国民投票をどう思ったかは私は知らない。だが、少なくとも私はメキシコに味方して欲しかった。
そして投票が始まった。
「余は諸君らの答えを待っている!」
そして投票が終わった。結果は……。
皇帝610票、ファレス大統領281票、中立票498票、不支持197票。
なんと皇帝が勝ってしまった。
私はこの結果に唖然としてしまった。史実で行われてもあり得ない結果だったからだ。
だが現実は違ったようだ。投票前は中立とかが多かったらしいが、投票後に大統領支持が急減したらしい。
そして大統領も、この事態にショックを受けたようだ。
「余は皇帝である! だがそれは諸君らにとってふさわしい皇帝であるかを問うためのものでもある! 余の答えがこれだ! 諸君らは自らの答えを出したのだ!」
私はメキシコシティに響き渡る声で叫び、そして演説を終えた。
大統領支持が急減した理由は分からない。だが、恐らく、メキシコ国民は大統領を認めなかったのだろう。
そして投票結果を受けての大統領も史実とは違うものになるだろう。史実では、大統領が私との戦争に踏み切り、私を処刑する。
だが、それは私がさせない。
私はメキシコシティでの演説の後、メキシコシティから少し離れた場所で野営し、そこで夜を明かした。




