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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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パーティーでも目立ちたくない⑧

「ルーザー様と仲いいんでしょ?私を紹介して欲しいんだけど!」

シェリーと名乗った目の前の少女は商魂逞しいらしく、どうやらルーザーに取り入って欲しいとの事。

紹介するのは全然構わないけど、この子がどういう子か分からない以上下手に紹介すると僕がルーザーに恨まれてしまう。

どうしようかと悩んでいると助っ人がやって来た。

遠目から僕を見ていたようで、魔法探求会の面々がソファの所に勢揃いしてしまった。


「どうしたのよ、マリス。ってその子確かクライブ商会の。」

ロゼッタはパッと見ただけですぐに分かったようで、僕が何故詰め寄られているか理解したらしい。


「お久しぶりです!ロゼッタ様。」

「久しぶりねシェリー。で、マリスになんか用があるみたいだけど?」

「そ、そうですね。ちょっとお話が〜みたいな?」

ロゼッタに問われるとシェリーは動揺していた。

内密にルーザーに紹介してもらおうと考えていたみたいだ。


「この子がルーザーに私を紹介してくれって言ってるんだ。でも僕はこの子の事を何も知らない。だからどうするべきかなと思って。」

「まあそんなところだと思ったわ。人柄に関して言えば別に問題はない子よ。」

問題はないと言われてシェリーは少し嬉しそうにしている。


「ただ、マリスがこの子を皇子に紹介したとなれば、今後アンタの所に沢山の商会がウチもウチもって寄ってくるわよ。」

「なるほど。じゃあ残念だけどこの話は無かったことに……。」

途中まで言った所でシェリーは慌てて手を振り出す。

このままだとせっかく僕に近付いた意味がないと思ったのだろう。


「待って下さい!内密にしてもらえれば他の商会にはバレません!」

「うーむ、それは無理だと思うぞ。シェリーと言ったか?周りをよく見てみろ、既に他の商会が耳を傾けているぞ。」

フェイルに促され僕もシェリーと同じように周りを見ると明らかに今目線を外したと思われる動きをしたのが数名いた。

仕方ない事だろう、なにせ今ここには皇子皇女に公爵家の者までいるんだから。


「ウッ……」

何も言えなくなったのか言葉に詰まり後ずさるシェリー。

流石に可哀想だと思い助け舟を出してやることにした。


「じゃあ僕と友達にでもなる?ある程度の友達関係だったら紹介しても問題ないだろ?僕だって誰彼問わず友達になろうなんて言うつもりはないけど。これも何かの縁だ。」

そう言ってやると目を潤わせて僕の両手を掴んできた。

最初からそういう流れでいけばいいのに、いきなり直接的な話を持ってくるからややこしいことになるんだ。


「あ、ありがとぅうううう!!!マリス君んんん!!」

「せめて涙と鼻水は拭ってからにしてくれ。」

勢い余って抱きついてこようとしたが、手で押しやった。

嬉し泣きで涙と鼻水を垂らしたまま抱き着かれでもしたらせっかくの高い服がダメになってしまう。

しかしその様を見ていた女性陣からは微妙な目線を向けられた。


「マリス……別にそれくらい良いじゃん……女の子が嬉しくて抱き着こうとしたのを手で押しやるなんて可哀想すぎるよ……。」

「はぁ……これだから女の気持ちを理解していない男は駄目なのよ。」

「マリスさん、もっと女心を勉強しては?」

散々な言われようだ。

しかし僕にも譲れない事があるのだ。


「いやいや、僕が着てるこの服はマリエッタさんから貰ったやつなんだ。汚したくない。」

「それ……火に油よ。女の子の涙と鼻水は汚いって言ってるようなものよ?思ってても口には出さない事ね。」

レイさんそう言われ僕はもう黙ることにした。

喋れば喋るほど墓穴を掘るみたいだし。


落ち着いたらしいシェリーにロゼッタが話しかける。

「シェリー、貴方マリスの友達になるってんなら、色々覚悟しておいた方がいいわよ。」

「覚悟?ですか?」

「周りを見なさいよ。この面子よ?確実に色んな方面から質問攻めされるでしょうね。」

その未来を想像したのかシェリーの顔は青くなる。

よくよく見れば四大公爵家の者が3人、帝国一の学園のトップに立つ伯爵の孫、皇子皇女がいるんだ。

シェリーじゃなくとも近付くのは避けたいレベルだろう。

しかし僕とて男だ。

男に二言はない。

友達になろうと言った以上やっぱ辞めるなんて言い出す真似はさせない。


「これからよろしくシェリー。あ、ついでに連絡先を交換しておこうよ。」

「あ、うん。そうだね。」

壊れた人形のような反応を見せるシェリーだがとりあえず連絡先を交換しておいた。

商会の娘だったら今後何か買うときとか安くしてくれるかもしれない。

お互いWinWinの関係だ。


話を聞くとシェリーはグランバード学園には通っていないらしい。

まあ魔法の才能がなければ入ることは出来ないし、そもそもシェリーは商人になる予定のはず。

魔法など覚える必要もない。


なのでたまにしか会えないだろうが、連絡先さえ交換しておけば、あ、僕ら友達です、アピールが出来るだろう。


連絡先を交換した後はサッサとその場を去ってしまった。

シェリーって意外とシャイなのかもしれないな。



「はぁ、またアンタは……あの子にはバレないようにしときなさいよ?ただでさえアンタの秘密を知ってる人が増えてるんだから。」

「大丈夫だよ。だって学園一緒じゃないし。」

「貴方の言動は矛盾することが多いからロゼッタ様は言っているのよ。目立ちたくないと言いながら目立つような事をする。ワザとかしらね?」

レイさんの目付きは氷のように冷たい。

僕だってわざわざバレたいと思ってはいない。

ただ何故か喋るとボロが出るだけだ。


「まあいいわ。とりあえずパーティーはそろそろ終わりよ。どうだったかしら?ウチの主催パーティーは。」

「案外楽しかったよ。料理も美味しかったしね。」

このパーティーでの思い出は料理だ。

これほど美味しい物を腹一杯食べられるなんて素晴らしい催し物だ。

出来れば毎日食べたいな。


「ま、食べたかったらいつでも来なさい。アンタならお母様やお父様も歓迎してくれるわ。」

「へー、じゃあ週3で行きたいな。」

「来すぎよ!!通い妻みたいな事になってんじゃない!!」

「ロゼッタが良いって言ったじゃないか。」

「社交辞令よ!!たまに来た時は料理を食べさせてあげるわって意味よ!」


なんだよ、貴族って面倒くさいな。

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