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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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決闘の時も目立ちたくない⑩

部屋で待つ事数分。

最初にドアをノックしたのはフェイルだった。


「来たぞマリス!!!」

元気よく部屋に入って来たフェイルは部屋の中をキョロキョロしていて落ち着きがない。


「何してるんだ。」

「む、俺は今まで友人の部屋に入った経験がないのだ!だから新鮮な気分を味わっているのだよ!!」

悲しい事を聞いた。

今まで友達の部屋に入ったことがないって、なんて悲しい過去だ。

だから僕と友達になった時にはあれだけ喜んでいたんだな。


「まあ暴れないでくれよ、壁とか傷つけたら学園に弁償させられるんだから。」

「俺はそんなに馬鹿ではないわ!!……ふむふむ、こんな花瓶を置いているのかマリスは。」

反論したかと思えばすぐに部屋内散策に戻ったらしい。


しばらく落ち着きがないフェイルと待っていると、またノックの音がする。

ロゼッタとシーラが来たらしい。


「ふぅん、男の部屋ってこんな感じなのね~。」

フェイル同様、部屋内を散策し始めるロゼッタ。

シーラも初めてだからか、チラチラ辺りに目線を向けている。

恥ずかしいのか、僕にばれない程度に。まあ不自然な目の動きですぐわかったが。


またノックの音だ。

今度は誰かな。


「ごめんよ遅れて!」

「すごい!!殿方の部屋に入るなんて初めてですわ!!」

ルーザーとエリザさんだ。

入るなり2人して僕の部屋を隅々まで見だした。

なんだ?最近の貴族や皇族は人の部屋をジロジロ見回すのが流行ってるのか?


部屋の散策は満足したのか全員が席に着く。

丁度そのタイミングでレイさんがやって来た。

入るなりルーザーとエリザさんに綺麗な一礼をする所を見ると、流石常識人と言わざるを得なかった。


ただレイさんも部屋の中をチラチラと見てたが。

やっぱり貴族の間で流行ってるんだろうな。


「で、アンタの友達はまだなの?」

まさかのジンとミアが一番遅くなってしまった。

本来であれば、下の者が先に来ておかねばならないが今回は仕方ない。

僕がわざと遅めの時間を伝えたからだ。

あ、同じクラスの友達もいるよ、なんて言おうもんなら絶対に来ないことは分かっていたからだ。


お茶を入れる準備をしていると、ドアが開く音がして全員そちらに視線を向ける。

「ごめーん!!入るよー!ジンがさー外出禁止だってのにリンカのクレープを買うって聞かなくて!で、こそっと買いに行っちゃったよー!」

嬉しそうな顔でクレープの入った紙袋を見せ付けながら意気揚々と部屋に入ってくるジンとミア。


ちなみにリンカのクレープとはいつも凄い人が並ぶ美味しいクレープ屋だ。

いつも並んでてなかなか買えないことが多いが、今日に限っては学園の者が外出禁止になっている。

ここぞとばかりにジンとミアは買いに行ったらしい。

普通の日なら何時間も並ばないといけないし。


「あっ!マリスの友達も来てたんだ!よろしぃぃぃいいいい!!??」

「なんだよミア、変な声だしやがってぇええええええ!!!!??」

2人共とてつもなくうるさい。

笑顔で部屋に入ってくるもんだから、意外と普通なんだなと思っていたらただ顔が見えてなかっただけらしい。


「こここここれは皆様方!!……オェッ」

おい、吐くなよミア。

緊張のあまり嗚咽をもらしているミアの背中を叩く。

「で、で、殿下!!ほほ本日はお日柄もよく!」

ジンも何か良くわからない挨拶をする始末。


「落ち着けよ2人共。」

「「落ち着けるかボケェ!!」」

凄い剣幕じゃないか。

久しぶりに2人に怒られた気がする。


「マリス、私達に紹介してくれないかい?」

ずっと3人で騒いでいたせいか我慢できなくなったルーザーが割って入る。


「ああ、男のほうがジンで女がミア。」

あまりの雑な紹介にルーザーは苦笑いを見せる。


しっかり自分で挨拶したいのかジンとミアは姿勢を正す。

「カッツバルク男爵家の息子、ジン・カッツバルクです!」

「テンセント男爵家の娘、ミア・テンセントです!」

おお、膝を付いて礼をしている。

真面目だなぁ。


「ふむ、ジンとミアだね。私は知ってると思うけど第1皇子ルーザー・アステリアだ。よろしく頼むよ。」

「私はエリザ・アステリアですわ。よろしくお願いしますね。」

ガチガチになった2人にはもうその声は聞こえていないだろう。

救いはシーラとフェイル、そんでレイさんだろうな。

彼らは一度顔を会わせているし、そこまで緊張はしないと思う。


「ふぅん、アンタの友達っていうからどんなやばいやつかと思ってたけど案外普通ね。」

ロゼッタは一体僕の事をなんだと思っているのか。


「アタシはロゼッタ、ロゼッタ・クルーエルよ。よろしく!」

「「よろしくお願いします!!!」」

ロゼッタにそこまで傅く必要はないと思うけどなぁ。

顔に出てたのかロゼッタに睨まれた。


「ワタクシは挨拶を省かせて頂きますわ、一度食堂でお会いしておりますし。」

「あ、あの時は急ぎの用事があったので失礼致しました!!……はぁ、シーラ様はやっぱり美しいなぁ。」

「ふふふ、嬉しいわありがとうミアさん。」

ミアもやはりシーラの本性には気づいていないらしい。

しかしここで僕が何か言おうものならシーラに何をされるかわかったもんじゃない。

なので一切口は挟まない。


「俺もまあいいだろう。それよりジン!!!君はなかなかいい身体付きをしているな!俺が剣を教えてやろうか!!」

「ええ!?フェイル様自らですか!?そ、それは願ってもない事ですが……。」

「む?構わん!!!将来有望な者がいるのならば俺が是非ともその才能を発揮させてやろう!!!」

なんか知らんがジンはフェイルと仲良くできそうだな。

ミアはミアでシーラと仲良くなりそうだし。


「ん?ミアさんの持ってるそれってリンカのクレープじゃないの!!買えたの!?」

ロゼッタが目敏くミアの持っていた紙袋に目をやるとすぐさま反応した。


「はい!!今日なら買えると思いまして!」

「最高じゃない!!!それアタシも好きなのよね~。よし!じゃあ紅茶を入れるわ!!!」

そう言うとパンパンと手を二回叩く。

すると部屋に侍女が入って来た。

人の部屋へ勝手に入ってくるのはもう何も言うまい。


ロゼッタの付き人なのだろう。

手際よく人数分の紅茶を入れるとサッサと部屋から出て行ってしまった。

やっぱり金持ちは人を使うのが好きなんだろうな。


さあ、リンカのクレープを食べよう、何気に僕も楽しみだったんだ。

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