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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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超大陸でも目立ちたくない①

場所は変わって帝国領内にある廃教会。

そこには複数の者達が集っていた。


「全員いるか?遅れてるやつはいねぇだろうな?」

十悪のリーダー、アルビスは最終確認を目視で行っていた。

一人一人目を合わせて数え揃っているか確認する。


「準備は万端だな。今後の活動拠点は超大陸になる、もうこっちに戻っては来ないからな。」

最終通告をすると全員が頷いていた。


超大陸では既にクリスが活動していた為拠点は既にある。

彼らにしてみれば活動拠点が変わる程度の認識だ。



「よし、じゃあ行くぞ。転移魔法発動!行き先は……超大陸メガラニア!!」


強い光が彼らを包むと後には静寂が残された。

廃教会は以前の静けさを取り戻すと、誰も訪れる事なく風化していくだけであった。




「ここが……もう超大陸なのね?」

瞬きを一つするだけで見ている景色が変わる。

それが転移魔法というものだ。

ただそんな魔法を使える者など世界を見回しても数えるほどしかいないだろう。

ヒルダの呆けたような呟きも当然の反応である。


「さて、ではこちらの建物の案内でもしようかな。」

本拠地となるこの場所をよく知っているのはクリスだけだ。

10人以上にもなる者達を纏めて収容できるのかと最初はアルビスも疑っていたが、実際に跳んで来てみれば杞憂で終わった。


彼らが跳んできたその場所は教会並みに広く手狭に感じる事も無い。

全員分の部屋まで用意しているというのも嘘ではないだろう。


「まずこの場所の説明からだね。ここは超大陸メガラニアの首都セントールだよ。大陸の大きさとしては僕らの住んでいた所の半分くらいのサイズかな。」

お屋敷のような建物を練り歩きながらクリスは説明していく。

首都とはいえかなり外れた位置にあるこのお屋敷はこの大陸で協力者となってくれた者から提供されたそうだ。

外れの方で不便かもしれないが、と言われたそうだがクリスとしては願ってもいない事だった。

逆に首都のど真ん中などにあれば動きが取りづらくなる可能性もあった。

しかし今までの廃教会と同じように街のはずれの方にあれば多少罪になるような事をしていてもバレにくい。


次に説明を受けたのはこの国でのルールだった。

法は殆ど今まで通りの感覚で問題ないとクリスは豪語する。

そもそも帝国でも犯罪者として名を馳せていた十悪にとって法などあってないようなものなのだ。


ちなみに大陸全土を掌握しているのはたった一つの国でありそれが大陸の名前にもなっている。

すなわち、超大陸メガラニアという名は国家の名前でもある。


「また後でリーダーには協力者を紹介するよ。それで一番この国で覚えておいて欲しいのが高度文明だね。」

クリス曰くこの国の技術は帝国や法国、連合国とは比較にならないとの事。

実際に見てもらった方が早いとの事で全員をある場所へと案内した。



「これは……なんだこの大きさは……。」

クリスが連れてきたのは最大規模を誇る巨大な塔であった。

見上げれば天辺など見えない程高い。

全員が口を開けて見上げていた。



「こんな大きな建造物、普通じゃ作れないんだけどこの国では割と当たり前みたいなんだよ。ほら周りも見て見て。」

クリスに促され辺りの建物を見ればどれも大きくその一つ一つがピカピカに磨かれた石で造られていた。

全ての建物はここまで石を平らに磨くことが出来るのかと思えるような輝きを放っている。


「建築技術一つとっても僕らのいた国とは比較にならないでしょ?もっと凄いのは魔導兵器なんだよ。こっち着いて来て。」

言われるがままクリスに着いて行くと一つの建物の前に辿り着いた。

クリスはそのまま中に入って行くがアルビスらは少し躊躇する。

近づくだけで扉が勝手に開いたのだ。

さながら自動扉と言うやつだろうか。



躊躇いながらもアルビスが足を踏み出すと他の面々もゆっくり中に入って行く。

見る物全てが新鮮で未知の物ばかりな為全員が圧倒されていた。



建物の中へと入ると魔道具のお店のようであった。

至る所に見た事がない魔道具が陳列されており目移りしてしまう。


「ここは魔導兵器の店だよ。今後も使うと思うから覚えておいて損はないと思うな……って聞いてないなこれ。」

もう誰もクリスの話に耳を傾ける者はいない。

みんながみんな魔道具に意識を持っていかれているようであった。



「皆様、クリス殿の言っていたお仲間というやつですね?初めまして、この店の店長をやっておりますメイズと申します。」

唐突に話しかけられた面々は驚きクリスの方を一斉に見た。


「人の話を聞かないからそうなるんだよ。メイズさんも僕らの協力者さ。」

「向こうにある未知の大陸からやってきたとお聞きしておりますよ。」

ある程度話はしているのか別の大陸から来た者達というのも知っているようだった。

流石に無言でいるわけにもいかずアルビスが口を開いた。



「俺の仲間が世話になったみたいだな。俺はアルビス、こいつらのリーダーをやってる。」

「アルビスさん、よろしくお願いします。」

メイズと名乗ったその男性はハスターのように丁寧な口調で頭を下げた。

所作も丁寧で貴族の出に見えた。


「メイズさんだったか、もうクリスから話を聞いているだろうが俺達はこの大陸に来たばっかりなんだ。だからここにある魔道具も全て見た事がない物ばかりでな、声を掛けられるまで気づかなかった。悪いな。」

「いえいえ、当然の事ですから。話に聞けば未知の大陸ではとても技術が遅れているそうですね。それならばここに置いてある物全てが未来の技術で作られたと言っても過言ではないでしょうから。」

メイズは未来の技術と言ったが、それはあながち間違いではない。

魔導銃一つとってもクリスが手配して手に入れた物を見るまでそんな魔道具見た事がなかったのだ。


「せっかく皆様遠路はるばる来ていただいたのですから少し商品の説明でもしましょうか。奥にVIPルームを用意しておりますのでどうぞこちらに。」

メイズは全員を奥の部屋へと案内する。

流石に魔道具が立ち並ぶ店内で10人を超える大所帯に魔道具の説明をするわけにもいかなかったからだ。

幸いにも他の客がいなかったから良かったものの、魔道具をあれほど珍し気に見ていれば怪しい事この上ない。



アルビスらもメイズの提案はとても有難かった。

このままここで話を続けているといずれ来客があった時に自分達の様子を見られてしまう。

協力者は彼らが仲間だと分かっているが、知らない者からすれば彼らは明らかに未知の大陸からやって来た怪しい奴でしかない。

スパイ容疑でも掛けられれば厄介な事になるのは目に見えていた。



「助かるぜメイズさんよ。俺らもここにいれば奇異な目で見られかねなかったからな。」

「ご安心くださいアルビスさん。私もそのつもりで奥の部屋を案内しましたから。」


アルビスはメイズという協力者もなかなか察しのいい者だと評価した。

幸先のいいスタートを切れそうだとアルビスの口角が少しだけ上がった。

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