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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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帝国に戻っても目立ちたくない⑥

今の時間は丁度学園もお昼休みだろう。

少し顔でも出すかなと学園へと向かうと門前で止められてしまった。


「ん?君はもしかしてマリス・レオンハートか?」

「はい、そうですけど。ここの一年生です。」

「なに!?ちょ、ちょっと待ってくれ!!」

門番の一人が慌てた様子で学園の中へと走って行った。

とりあえず中に入れて欲しいんだけどな。



しばらく緊張した顔の門番と共に待っていると、もう一人の門番が走って戻って来た。


「マリス・レオンハート!学園長室に直行してくれ。君が学園に来たら必ず声を掛けてくれと言われていたんだ。」

「ディルティア学園長がですか?何だろう、別に悪い事してないけどな。」


門を開けてもらいとりあえず言われたように学園長へと向かう事にした。



「マリスです。先程門番の方にこちらへ行くように伝えられました。」

「うむ、入ってくれ。」

扉をノックするとすぐに返事が帰ってきた。


中に入ると学園長だけが執務机に向かっていた。

「久しぶりだなマリス。今日ここに来てもらったのは少し話があったのでな。」


話ってなんだろうか。

もしかしてあまりに出席する日が少なくて退学とか?


「レイから色々聞いたが今はとても忙しく古今東西動き回っているらしいね。」

「そうですね、もうじき超大陸の方にまで足を伸ばす事になりますしジッとしている事の方が珍しいです。」

「ふむ、それでなのだが……本来なら殆ど学園に来れてない君は退学になる。ただ君の場合は私用で休んでいる訳では無いのは理解している。だから特別待遇としていつ休んでもどれだけ休んでも他の生徒と同じ様に卒業単位は得られるようにしておこう。」

「それは助かります。でもいいんですか?僕だけ特別待遇ってのも……。」

「構わん。この学園は儂がルールだ。レイからも出来るだけ考慮してやってくれと言われているのでな。」

レイさんめっちゃ良い人だ。

今度礼をしておこう。




「それに虹色魔導師を退学させるなど、有り得んよ。そもそも君が使う魔法は既に学生の域を超えておる。今更何かを学ぶ必要もないとは思うがな。」

「いえいえ、やっぱり歴史とか算術だとか全然知らない事も多いので授業は受けておきたいですよ。」

「フッ、学生の見本のような子供だな。まあいい、とにかく君は自身に与えられた任務をこなしてくれればよい。暇が出来た時にでも学園に顔を出したまえ。」

理解してくれる人がいるととても有り難いな。

流石は帝国一と言われる学園を運営しているだけはある。

懐の広い人で良かった。



「それに……君はこないだの魔神ヘラの騒ぎの際両親を失ったと聞いている。困った事があればいつでも相談すると良いぞ。」

「ありがとうございます。」

毎日が忙しくてあまり考えないようにしていたけど、この歳で両親を亡くした者など少ない。

僕の心情を慮んでくれているのだろう。



学園室を出ると次は食堂へと行くことにした。

ついでだから腹ごなしでもしておこう。



「おい!」

食堂に入ると何処からか不意に声を掛けられた。

辺りを見回すと少し離れた席で手を挙げている男がいた。


「どうもお久しぶりですガウェインさん。」

学園最強である先輩だった。

この人はぶっきらぼうで口が悪いが、悪い人ではない。

目の前の席に座れと手で合図してきたので、適当な定食を頼んでそこへと座った。

見た目が怖いからか、周りの席には誰もいなかった。



「お前をこの学園で見たのは久しぶりだ。何をしていた?」

「法国に行ったり連合国へ行ったり、龍と同盟を結んだりしてました。」

ガウェインさんは、はぁ?というような顔をしたが、またいつもの無愛想な表情に戻る。


「まあお前の事だから色々やらされているんだろうな。それで、なんで学園にいる。」

「次の仕事まで日が空いたので少しくらいは学園に顔を出そうと思いまして。」

「ふん。ならついでだから伝えておく。前にお前が引き取ってきた村の女がいただろう。アイツが全然お前に会えないと嘆いていたぞ。」

キリカの事だろうか?

何故ガウェインさんの口からキリカの話が出るのか。

あまり関わりはなかったはずだが。


「お前がいない間アイツに指導をしてやれるやつがいないだろう。だからか知らんが少し前に俺の所に直談判しにきた。お前らの力になりたいから指導してくれってな。」

意外だな。

あのキリカが、言っちゃ悪いがこんな見た目が怖い人に直接そんな話をしに行くなんて。

まあでも気持ちはわかる。


魔法探求会に所属しているとはいえ、キリカが一番魔法も戦闘技術も拙いのだ。

それ故に少しでも強くなろうとガウェインさんを頼ったのだろう。


「それでガウェインさんが指導しているんですか?」

「最初は断った。だが何度も訪ねて来られちゃ無下にもできねぇだろうが。」

根は優しい人なんだな。

学園最強とまで言われた人だ。

そんな頼みなんていくらでもあっただろう。

でも一度もそんな話を聞いたことが無いということは、頼まれても断っていたに違いない。

何か心境の変化でもあったのかな。



「あの時は俺もあの場にいた。流石に見ず知らずの雑魚が頼んできていたら受けるつもりはないが、俺も多少は関係があるからな。それに村から引き取って来て放置されているのは可哀想だろうが。」

「すみません、お手数お掛けします。」

「今アイツに暗殺技術を教え込んでいる所だ。今度会ったら一度手合わせしてみろ。案外いい線いくかもしれねぇぞ。」

ガウェインさんなりの褒め言葉なのだろう。

恐らくキリカ本人には伝えていないだろうが、ガウェインさんがここまで言うということはかなりセンスがあるようだ。



「ま、アイツが成長しているって事はてめぇもそれなりに強くなっているだろうがな。今じゃもう俺ですらお前に勝てるのは厳しそうじゃねぇか。」

魔力が少し漏れ出ていたのか前より魔力の質が上った事が分かったらしい。


「次の仕事は特に危険ですしね。それなりに僕も経験を積んできてるので相手が魔神だろうと簡単には負けるつもりはありませんよ。」

「魔神か。大きく出たじゃねぇか。まあいい、お前はお前のやる事に専念しとけ。こっちは俺が守っといてやる。」

ガウェインさんがいるなら万が一超大陸から魔物が攻め込んで来ても学園は安全だろう。



意外と面倒見がいいガウェインさんに苦笑しながらも、お昼休みが終わるまで談笑は続いた。

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