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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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学園でも目立ちたくない⑨

「何ですかあれは。」

「何ですかとは?」

廊下に出た僕は今シーラさんに問い詰められている。

先程のロゼッタに対しての態度のことを言っているのだろう。

しかし、上手く普通に会話していたはずだ。


「あれではお姉様が可哀想ですわ。もっとちゃんと会話をしなさい。」

「ええ……でも今までみたいにするとシーラが怒るし……。」

「態度を変えすぎですわ。あれではお姉様を鬱陶しがってるようにしか見えませんでしたわ。」

まあ実際面倒ですので。

とは言わないが、どうしろというのだ。


「もっと女の子と会話を楽しむみたいに出来ないのですか貴方は。」

「ミアにはあんな感じだし、他に仲のいい女子の友達はいないし。」

「はあ……もういいですわ。ですがせめてもう少しお姉様とまともに会話を交わしなさい。ああ見えてお姉様は繊細な女の子ですの。ワタクシと違って。」

「でしょうね。」

「でしょうね?」

やべ、また一言余計だった。


「ワタクシみたいに鋼のメンタルではないのですわ。お姉様の心はガラスのよう。ちょっとしたことで傷付くのですからもっと優しく接しなさい。」

「はい。」


シーラに説教されて席に戻るとロゼッタがシーラと僕を交互に見てくる。

なんだ?


「なになに!貴方達そんな関係になってたの!?教えなさいよ!!!」

「いえお姉様。ワタクシがこの男と男女の関係になるなど世界がひっくり返っても有り得ませんわ。」

「そ、そう。」

出てるよ、腹黒の部分が出てるよシーラ。


「まあいいわ!じゃあ明日何持ってくか話し合いましょ!」

「そうですわねお姉様。」

「あ、じゃあ僕はフェイルのところに行ってくるから。」

「む?俺がどうかしたか?」

くそ、せっかくこの場から逃げようとフェイルのところに行くつもりだったのに何故お前がこっちに来るんだ。



「明日から野営キャンプが始まるからなー、決めた班で明日の準備など話し合ってくれー。班が決まってない奴らはこの時間に決めておくように。」

先生が来ると同時に僕らにそう伝えまた何処かへと去って行った。


「やあ、私達も準備の話に参加させてもらうよ。」

皇子皇女を交え、6人で明日の事について話し合うことになった。


「まず何を用意すればいいのだろうか?確か今回の野営キャンプは自分達で用意した物のみで1日過ごすと言っていたね。」

「そうですね、ルーザー皇子。後、飲食物は禁止と言われておりました。山で採った物以外は口にすることを許さないとのことです。」

フェイルが丁寧な言葉遣いだと調子狂うな。


「ではティーセットはいるとして、後は何が必要かな?」

お前もかよ皇子!

なんだなんだ、貴族にとってティーセットは必需品なのか?

そんなもん荷物になるだけだろ。


「お兄様、私テントが必要になるかと思います。」

おお、エリザ皇女はまだまともらしい。


「侍女は何人まで許可されるのかしら?」

許可されねえよ。

侍女連れてキャンプ行くやつ見たことねえよ。

ロゼッタはとことん準備を人にやらそうと考えているらしいな。


「お姉様、侍女は1人しか連れていけないと思われますわ。」

「ええー?そうなのー?不便じゃない。」

不便なのがキャンプの醍醐味だろうが。

まじかよ、ここにいる全員キャンプ経験なしか。


「連れていけないよ侍女は誰一人。」

「「「「何だって!?」」」」

そんなみんな驚くことかなぁ。


「あの、誰も侍女は連れていけないと思います。」

「そうなのか!マリス!じゃあ着替えなどはどうするというのだ!!」

「いや、それくらい自分でやれよ!」

僕がそう言うと雷が落ちたかのように全員が驚愕の表情を浮かべる。

そうだった。彼等彼女は全員超大金持ちのボンボンかお嬢様だ。

一般常識が通じるわけがない。


「マリス君は経験者だったね。よし、では持っていきたい物をマリス君に聞いて確認していこう」

「それがいいですわお兄様。よろしくお願いしますねマリスさん。」

エルザ皇女の微笑みはなんとも穏やかで心が洗われるようだ。


「ではティーセットはいくつまで持っていけるだろうか?」

「持っていけないよ!荷物にしかならん!!」

僕がそう言うとみな一様に固まった。

なんだ?何か間違った事言ったかな?


「そ、そうなのか……すまないマリス君。」

しまったァァァ!!今の皇子の発言だった……。

思いっきりタメ口きいちゃったよ……。

「大変失礼しました。ティーセットはキャンプに持って行くものでは御座いません。」

言い直すがもう手遅れな気がする。


「ふふふ、私にそんな風に喋ってくれる者は初めてだよ。いいものだね、友達というものは。マリス君、その調子で普通に話して欲しい。私に敬語や敬称はいらないよ。」

「そ、そういう訳にはいきませんので……。」

「フェイルとは普通に話をしていると聞いたが私には無理だろうか……。」

そんなしょんぼりするなよ皇子。

なんか僕が悪者みたいじゃないか。


「マリス、殿下がいいと言えば構わないのだよ。俺やロゼッタのように公爵家であれば皇族と繋がりが多いからそんな気軽に接する訳にはいかないが君なら許される。」

「は?男爵だぞ僕は。」

「だからこそだよ。皇族と繋がりが少ないだろう?我々だともし公の場でタメ口なぞ使おうものなら、恐ろしい事になるのだよ。しかし君が皇子に気軽に接していたとして公の場で話すことなどないだろう?」

ああ、公私混同を避けるためということか。

それなら確かに僕は公の場で皇子と会話することなどない。


「わ、分かったよルーザー皇子。」

「皇子も必要ない、ルーザーと呼んでくれないか?」

「ル、ルーザー、これからよろしく頼む。」

「ああ!同い年の友達というのは良いものだな。私もマリスと呼ばせてもらうよ。」

ああ、皇子とも友達になってしまった……。

目立つことこの上ないよ……。


「では私もエリザとお呼びくださいませんか?マリスさん。」

「エ、エリザさん……。ちょっと流石に女性を呼び捨てするのはまだ知り合って短いので。」

「むう、ではそれで許しましょう。」


この野営キャンプ、一波乱ありそうだ。

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