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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵


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学園でも目立ちたくない⑦

「では全員一緒の班はどうでしょうか?」


シーラが爆弾を投下しやがった。

いずれ誰かが言いそうだとは思っていたがこいつ……。


「む、シーラ嬢。それは良い考えかもしれんな。」

全然良くねーよ。


「シーラ良いこと言うじゃない。そうしましょ!フェイルがいるのはムカつくけどそれなら揉めなくても済むしね!」

「むむ、まあマリスがいるならロゼッタが同じ班になることを許容しよう。」


僕の意見は?

なんかトントン拍子に話が進んでいるが誰も僕に意見を聞かないのはなんで?


「ふふふ、良かったですねマリスさん。」

「は、はい……。」

シーラの笑顔がただ恐ろしかった。


ただ今の班決めで他の生徒は誰も入れてくれと頼みにくくなった。

それもそうだろう。

四大公爵家の3人が集まっているのだ。

恐れ多くて入れてくれなんて言えるはずがない。


「そ、そう言えば野営キャンプの班って何人でやるんだろうな。」

「む?確か毎年5.6人でやっていると聞いたが。」

「誰に?」

「数年前ここを卒業した俺の家のメイドだ。」


そのメイドなーんか怪しいんだよな。

フェイルに適当吹き込んでいるような気がする。


「じゃああと2人どうしましょう。」

全員誰を誘うか考えていると、2人の男女が近付いてきた。


「ちょっといいかな。」

「え!殿下!」

殿下?

おいおい、勘弁してくれないかな。

目立ちたくないと何度も言っているだろう。

何故こうも目立ってなんぼの人物が集まるのだ。


「ルーザー皇子!何か我々にご用でしょうか?」

「いや、君達が野営キャンプの班決めをしていると聞こえてきてね。それなら私達も入れてもらおうかとエリザと話していた所なんだ。」

「私達は皇族でしょう?だから同じ班になることを躊躇ってか誰も誘ってくれないのです……。」

そんな寂しそうな顔を見せるエリザ皇女だが、そらそうだろう。

もし同じ班になって何か不敬でも働いてみろ。

即座に斬首されるだろうが。


「我々も丁度後2人ほど探していたのですよ!皇子皇女様が宜しければ是非に。」

「華やかになりますわね。」

僕を無視して皇子らを入れることが決まりそうだ。

もう君たちだけで班を組んでくれないかな。


「もちろんワタクシも歓迎致しますわ。エリザ皇女とはいつもお茶をする仲ですし。」

「ふふ、シーラとはよくお茶会を開いていますの。お兄様、ではここの班に入れていただきましょう。」

「いえ、少々お待ち下さい。我々はもちろん歓迎ですがマリスにも聞かないと。」

そう言いながらフェイルはこっちを見る。

それに釣られ全員が僕を見る。


勘弁してくれよ、ここで嫌ですなんて言えるわけないだろ。

そんな事言ったら皇子らを影から警護する方達に後で暗殺されてしまうわ。


「も、もちろん僕も歓迎致します……殿下。」

片膝を付き、左腕を胸の前に持ってくる最上位の礼をする。

フェイル達は公爵の身分があり日頃パーティやらで顔を合わせているからかそんな礼はしていないが、僕はしなければならない。

そもそも男爵が皇子らと同じ目線で話すことは無礼に当たる。


「マリス君、だったね。そこまで畏まらなくてもいいよ。我々は同じクラスの仲間だろう?」

うっ、キラキラした純粋な目が僕に向いている。

しかし、はいそうですかと立ち上がる馬鹿ではないぞ僕は。


「いえ、この国の皇子殿下と対等に話せる身分では御座いません。ですので僕はこの班から抜けさせて頂きますので5人で野営パーティをお楽しみ下さい。」

「そんな悲しい事を言ってくれるなマリス君。あくまで君達の班に入れてもらう立場なのは私の方だよ。君が抜ける必要はない。」

「ですが、周りの目も御座いますので。では僕はこれにて……。」

すっと立ち上がり教室から出ようと彼らから離れた瞬間首根っこを掴まれた。

誰だ、と振り向くと笑顔のシーラが立っている。


「あら、マリスさん。そんなに照れなくてもよろしくて?皇族の方と共に1日過ごせる機会なんてこれを逃せばないかもしれないチャンスですわよ?男爵であれば少しでも皇族の方の印象を良くしたおいたほうが良いのではないかしら?」

「あ、いやそのシーラ。ちょっと用事が……。」

「まあ、皇族の方より大事な用事が!?そんな非常事態であればワタクシもお供致しますわ!!」

こいつっ…………

ああ言えばこう言う。


「我々皇族と共に1日過ごすのは嫌だったかな……?」

なんて恐ろしい事を口にするんだ皇子。

そうですなんて言えないと踏んで発した言葉か?


「いえ!そんな事はありません!ただ男爵程度の身分で皇族の方々と一泊を共にするのは失礼に当たります!!ですので!僕は別の班に!!」

「マリスさん、私はそうは思いませんわ。こんな機会滅多にないのです。ですから私はマリスさんと共に野営キャンプを楽しみたいですわ。」

くううう、エリザ皇女の追い打ち攻撃か!


「それに、先程聞いていると何やらマリスさんは野営キャンプの経験があるとのことで。我々は経験したことがありませんので宜しければ手ほどき頂きたく。」

「あーそれであれば、僕以外にも経験した事があるものはいると思います。では。」

「いいじゃないマリス。皇子皇女様は凄い気さくで話しやすいわよ?」

「そういう問題ではないんだよロゼッタ。君みたいにプリプリしてる人ならまだしも殿下方はオーラが違う。」

「プリプリ!?またソレ言う!!そんな怒ってばっかいないでしょうが!!!」

「ほら、出たプリプリ。」

「きいいいいい!!!」

ロゼッタが癇癪を起こすがそれを見ていた皇子皇女はにこやかに笑っている。


「ふふふ、仲がよろしいんですね。私達にもそんな風に気軽に接して頂いてよろしいですのに。」

エリザ皇女はそう言うが、皇族にタメ口使えるわけないでしょーが。


「おーい席に着けー。ん?なんだ班決めでもしてたのか?」

「はい、我々皇族を同じ班に入れてくれるとの事でして。」

「ルーザー皇子とエリザ皇女を?ああなるほどマリスの班か。ふむ、丁度いい。じゃあそこの班は決まりだな。」

ちょっとちょっと。

なんか普通に僕の班とか聞こえたけど?


「良かったですわ、これからよろしくお願いしますねマリスさん。」

「は、はっ。皇子皇女様にご迷惑をお掛けしないよう細心の注意を払います。」

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