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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵
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学園でも目立ちたくない⑤

食堂は結構混みあっていた。

適当に食事を選ぶ。

この食事に関してだけは学園が用意してくれるのだ。

食事は体調に関わる事、だからこそ公平に誰もが必要最低限栄養を取れるように、ということで昼夜とタダで食べられる。

もちろんそれで満足できない者もいるが、そういった者は追加でお金を払いより豪華な食事をとるみたいだ。


食事を配る給仕受付から最も遠い窓際に座る。

やはり受付から遠い場所は空いており、人もまばらにしかいない。

我ながら素晴らしい場所を見つけたと思う。


「あーやっぱりここにいた!」

食事に手を付けようとすると待ったがかかり顔を上げるミアとジンが居た。


「探してたらさ、窓際の一番遠い所にいるかもしれないってジンが言うから来てみたらホントに居てびっくりしたよ。」

「マリスの事は俺大体わかっちまうようになったからな。」

好き好んでこの場所に来たわけではないのか。

二人が座り、三人で食事をとり始める。


「どうよ、そっちの授業は。」

「十二神のオルバって人知ってる?あの人が担任だった。」

「えええ!?そんな有名人が担任なの!?なにそれ一級クラスずるくない!?」

「あと、手伝いとしてジリアンって人も来たよ。」

「十二神が2人も!?ありえねぇ!サイン欲しかったなぁ!!!」


まあ当たり前の反応と言える。

本来十二神は帝城にいるか特別な任務を請け負い世界を飛び回っていると聞いた。

会えるだけでも奇跡的なのに、担任だなんて有り得ない待遇だとミアは言う。


「そっちはどうだった?」

「まあ普通かな?みんな同じくらいのレベルだから話しやすいし友達もできたよ。」

「友達できたのにこんなところにいていいのか二人共。」

「いやあやっぱマリスが友達できてないだろうなと思ってさ、一緒に飯くらいは食おうってことで来たわけよ。」

「ジン、いいやつだなお前は。ありがとう、なんか1人で食事は寂しいなって思ってたんだ。」


僕は目立ちたくないだけで友達が欲しくないとは思っていない。

むしろ欲しい。


食事も終え、残りの昼休みの時間はここで雑談でもしようということになったが、まさかの乱入者が現れた。


「む!!ここに居たのかマリス!!!」

フェイルが満面の笑みでこちらに走り寄って来た。


「ああ、フェイル。ご飯は食べたのか?」

「食べたぞ、1人でな!!!!お前を探していたんだがなかなか見つからなくてな、まさかこんな端っこにいるとは思わなかったぞ!!」

こうやって目立ちたくないから端っこにいたんだよ、とはフェイルの笑顔を見ると言えなかった。


「あ、じゃあボクらはおいとましようかな。」

ミアとジンはすっと立ち上がり逃げようとするがフェイルがそれを許さなかった。


「む、待ちたまえ。君達もまだここにいるつもりだったのだろう?なら共に雑談でもしようではないか。」

「あ、そ、そうですねははは。」

引きつった笑みを浮かべる2人はやはり公爵との距離の掴み方に戸惑っているようだ。


「フェイル、ジンとミアは僕の一番の友達なんだ。フェイルも仲良くできるかもよ?」

「何!?一番の友達だと!?ならば俺とも仲良くしてもらわねばならんぞ!!!ジンとミアだったな、よろしく頼む。」

ミア達に手を差し出したフェイルはいい笑顔をしている。

恐る恐る手を握り返したミアとジンは未だ硬いままだ。


「フェイル、僕らは全員男爵家だ。君は公爵だけど、友達になってもいいのか?」

「むむ、爵位など関係あるものか。仲良くなるのに何故爵位が関係するのだ、ジンとミアと呼ばせてもらうが2人もマリスのように様付けなどいらんぞ。」

「あ、じゃあフェイルさん、でいいですか?」

「よくない!!!!」

その叫び方は怒ってるように見えるから辞めたほうがいいと思うなあ。


「フェイルと呼べ。そして敬語もいらん!!!!」

意を決したのかミアは自分の頬を叩きフェイルの顔をしっかり見る。


「分かった、フェイル。マリスに対しての態度になるかもだけどいいの?」

「!!構わんぞ!一向に構わん!!ふふふこれで友達が2人目か。」

「じゃあよろしくねフェイル!!」

流石はミア。

適応力が高い。

ジンはというと、なかなか一歩を踏み出せないでいる。


フェイルはそんなジンをチラッと見る。

フェイルからはあまり強く言うわけにいかない。

こればかりは自分から歩み寄って欲しいと考えているからだろう。


「わ、わかったよ!!俺あんまり丁寧な喋り方じゃねぇけどそれでもいいってんならよろしく頼む!!フェイル!」

「むむ!構わぬ!!友達同士口が悪くなるのは良くあることだと聞く!!よろしく頼む!」

これほど嬉しそうな顔をされると、友達になってよかったなと思う。


「これで3人も友達が出来てしまったな。ふふふ、学園初日にしては凄いじゃないか……。」

たまにこうして自分の世界に入ってしまうが放っておいたらまた戻ってくる。


「ホントに良かったのか?フェイルと友達なんて。」

「いいよ、全然。むしろこっちからよろしくって感じだよ。だって普通は公爵家の人と友達になんてなれないからね?」

「まあ確かに。でもフェイルは普通の公爵とは違う。」

「俺は今まで友達が居なかったからな……感謝するぞジンにミア。」

「まあボクもこんなイケメン身近にいなかったし、おあいこってことで!」

「ふっふっふ。」

自然に笑うことが出来ないのか、何故かフェイルが笑うと不敵な感じになって不気味だな。


それから昼休みが終わるまで4人で雑談した。

今日の授業の事、家で休みの日は何をしているか、得意な魔法の事だとか。


割と充実した昼休みだった。

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