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虹色魔導師は目立ちたくない  作者: プリン伯爵
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学園でも目立ちたくない④

場所は変わって訓練場。


何をさせられるのかは想像につくが今度こそポカはやらかさない、という強い意志を持った僕の顔は真面目そのものだ。


「よーし、じゃあ入学初日の実力を見ていくからなー、ただ俺一人で全員見るのは大変だからよ、もう一人連れてきた。ハッハッハ!」

オルバ先生の横には女性がいる。

それも目つきは悪く明らかに面倒くさそうな顔を見せている。


「ちょっと……なあんでウチが呼ばれたのかと思ったら、ガキの面倒みろってことかよ!だりぃ帰っていい?」

生徒の前でガキ扱いはなかなかすごいな。

ここには四大公爵の子供達や皇子皇女もいるにもかかわらずだ。


「いいからここにいろって!今年は面白いやつが多いからよ!」

「面白い~?ガキの未熟な魔法見て何がおもしろいんだか……。」

「まあまあ、とりあえずお前あれ持ってきてるだろ、着けとけよ。」

「はいはい。」

女性が懐から取り出したのはメガネだ。

なるほどな、目が悪いからしっかり見ろって事でメガネ着けさせられたのか。

うわ、急にださくなったなー。あの人メガネ似合わないな。


「俺の横にいるのは知ってるやつもいるかもしれんが紹介しておく。今後たまに俺の手伝いで来てもらう事になるからしっかり覚えとけよ。ジリアン・スティアード伯爵だ。」

「ジリアンでーす、よろしくーってウチ今後も来させられんの!?」


まーた知らない名前が出てくるんだろうなと思っていたら、思っている以上に有名な方だった。

ジリアン・スティアード。

二色魔導師でありながら、十二神の最後の席に座る異色の魔導師。

藍色と紫色の魔力しかないが、その二つをこれでもかというほどに極めた結果だ。

たった二属性でも極めれば三色や四色にすら追いつける、というのを実際に体現した凄い人だ。

ただ十二神まで上り詰めたのはその魔色が藍色だったというのも大きい。

確か彼女はちまたでこう呼ばれていたはずだ。

死神の鎌と。

魔道具を創造し、色んな属性を使い分けながら戦う。

そして隙をみせたが最後、得意の闇属性で殺すといった戦い方から死神の鎌と呼ばれるようになったらしい。


「おいおい、十二神が2人だぜ……。」

「すげぇな今年は。」

「黄金世代か……ってことは俺らもだよな!」

「ちげぇよどう考えても皇子様達だけだろ。」


やはり十二神が2人も揃うのは異例らしい。

生徒の反応は驚きが勝っているようだ。


「じゃあ適当に二班に分かれろ。俺かジリアンか。どっちでもいいぞ。」

実力のチェックを2人で分かれてするみたいだ。

オルバ先生は序列3位の化け物だからな。下手すりゃバレる。

ここは十二神最弱のジリアンさんの方へ行くべきだな。


「はーい、じゃあ5人ずつ実力を見るから並んでくれる?的に向かって得意の魔法を見せてくれたらいいわよ~。はい始め~。」

それだけ言うと持っていた鉄のボトルを開け飲み始めた。

ここまで匂ってくるのは酒の香り。

酒狂いの女か。


5人ずつ魔法を披露しているが、ジリアンは黙って見ている。

オルバがウチを呼んだのには理由がある。

どうやら試験の時にオリジナル魔法を見せた生徒がいたとの事。

それが本当かどうか確かめる為にウチが呼ばれた。

藍色の魔力を持つウチは魔道具の製作に長けている。

今着けているメガネは見た対象の魔色を見る能力を付与したウチのとっておきの魔道具だ。

もし、オリジナル魔法を使った事が本当であればその者は何故かは知らないが能力を隠している。

本来ならオリジナル魔法を造れた段階で帝都にある城に足を運び皇帝への謁見を申し出れば富が手に入る。

それなのに、一度も帝城にはそんな人物が現れなかった。

故にウチが派遣されてきたのだ。

十二神に命令権を持つのは皇帝ただ一人。

これは皇帝からの指示だ。

オリジナル魔法を造り出せる人材を帝国は放置しない。


ただ、ウチはもしそんな人物がこの学生の中にいた場合報告はしても濁すかもしれない。

よく考えてほしい。

今まで秘密にしているということは、何か理由がある。

もしもこれで皇帝に報告し城に連れていかれでもしたら学生生活は終わりを迎える。

それが嫌だから学生のうちは秘密にしておこうという算段かもしれない。

それに、それが嫌でもしも転移魔法のようなもので他国に逃げられでもしたら帝国は大損害だ。

まあその辺の理由も含めて公にしないと皇帝が言うのであれば報告してもいいかもしれない。


「ん?あと5人か。はやいもんだねー。はい、どうぞーぉぉおぉ!?」

いきなり語尾が大きくなるもんだから僕も含めて動きが止まった。

なんなんだあの人。


「あ、ご、ごめんごめん虫がいてさぁ、さ、つ、続けて?」

虫か。なら仕方ない。

僕も虫が嫌いだからあの驚き様は分かる。


「こーれはとんでもないのがいたもんだねぇ、どうしたものか……。」

ずっとジリアンはぶつぶつ言ってあまり僕らの魔法を見てないように見えるがいいのだろうか?


魔法披露は滞りなく終わりオルバ班ジリアン班共々再度一か所に集められた。

「なかなかみんな筋がいい!この中から将来一緒に働く人材が出てくるかもしれないな!ジリアンの方はどうだった?」

「伝説が存在した。」

「なんだって?伝説?」

「あーいや何でもない。まあこっちも割と筋がいいのばかりいたよ。来て正解だったね。」


そうだろうな、ましてや黄金世代なんて呼ばれているんだ。

実力も既に備わった者が多いこのクラスは正直言って化け物の集まりみたいなものだ。


「よし、あとは座学があるからな、昼休みが終わったら教室で待っているように。では解散!!」


やっとお昼だ。

食堂でお昼を食べるのも学園生活らしくて憧れていたんだ。

ただ、ずっとジリアンが僕を見続けているのが気になるが何も言ってこないので無視することにした。



「で、どうだったジリアン。」

「そうだね、来て正解だよ。」

「ということは居たんだな?」

「ええ、伝説が居たわ。」

「伝説?なんだそりゃ。」

「オルバ、あんたは口が堅いかしらね?皇帝にも報告するのは躊躇うって言ったらどうする?」

「どういう事だ?なにを見たんだ。まあお前が見たものだしな俺が報告すんのはおかしいだろ。誰にも言うつもりはないぜ。」


少し間を置いてからジリアンは口を開いた。


「あの中に居たわ、七色の魔力を持つ虹色魔導師が。」

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