とろける。
君がくれた甘いチョコレート。
不格好だけど手作り。その事実だけが私の体を熱くする。
頬を赤く染めながら、チョコレートを口に放り込んだ。
「甘い」
涙が頬を伝う。
そっか。好きだよ。好きだったよ。
甘い匂いに誘われて。
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私には、優しくて面白い幼馴染がいた。
今はそれぞれの道を歩んでいるため、会うことはない。
私が彼のことを好きになったのは、だいぶ前。幼稚園の時だった。
私が初めて入った日、不安でおどおどしていた私の手を引き、笑顔で話しかけてくれた。
彼と一緒にいると胸のあたりが暖かくなって、体が火照る。
この気持が恋だと気づいたのは小学5年生の時だ。
初めて作ったチョコレートクッキー。
「友チョコだよ。」って彼に渡した。
彼は喜んでくれたが、私の気持ちは伝わるわけない。
彼は、私のたった1人の幼馴染。私は、彼にとってたった1人の幼馴染。
そんな唯一な存在に、満足していたから。
「私ね、〇〇くんのことが好きなの」
修学旅行の消灯30分前。同部屋の子が打ち明けた。
彼の名前が上がり、私の心はざわざわと動き出した。
「幼馴染なんでしょ?応援してね」
そう言われて断る勇気なんてなかった。
もちろん。
と、唇をかみしめてなんとか喉から絞り出した声。
彼と行動班が一緒だったけれど、昨日の出来事のことで頭が一杯で、何も考えられなかった。
一緒にいられる最後のバレンタイン。私は彼にチョコレートをあげなかった。
潔く諦めるために。
なのに。
なのになんで、ホワイトデーの日にチョコレートをくれるの?
私は彼にありがとうと、涙をこらえ、下を向きながら、震える声で言い、その場を後にした。
彼には彼女がいる。その事実を噛み締めながら。
チョコレートを口に放り込んだ。
「甘い」
どうせなら、虫歯のように、
「私の恋心を蝕んでよ。」