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魔法と魔術。

…前回のあらすじ…


マスターに私の気持ちを話した。

香茶が美味しかった。

その後も雑談をするうちに、話題はこの世界の魔法の話になった。

マスターが言うには、世界と言うのはいくつもの可能性で分岐していて、私が元々居た世界も、今居る世界も、全ては一つの世界から生まれて、そこから可能性の数だけ分岐しながら増えていったうちの一つであるらしい。


「偶然誰かが魔力の使い方を思いついて、理解して、広めていった世界が、今のこの世界と言うことですか?」

「そう。祈が元居た世界は、また別の何かが広まって発展していった世界ということだね。だから似ているところもあれば、全く違う所もある」


確かに、進化の過程で起こった偶然の産物が文化に大きな影響を及ぼすことは良くあることだ。

この世界で偶然発見された魔力の使い方が、発展の大きなターニングポイントになったのだろう。


この世界では魔法は程度の差はあるものの、殆どの人が使える能力であるらしい。

魔力を使って何かをすることを一般に魔法と呼ぶらしく、威力の向上や、可能性の追求など、魔法に技術を加え、高度に扱うことを魔術と呼んでいるとのことだった。

魔法は個人の魔力や経験に大きく左右されるため、素質で強さが決まるのだそうだ。


魔術はその魔法に技術を上乗せするため、研究の成果次第では素質以上の効果をだしたりすることも出来るらしい。

マスターの説明を聞きつつ、魔力が炎だとすると、魔術は炎を大きくする酸素のようなものなのかなと想像する。


元の炎が大きければそれだけで困ることはないけれど、もっと大きい炎にしたい場合は、酸素など、効果を大きくする要因を外部から足して火力を強くする必要があり、それが魔術に相当するのだと思う。


魔術は主に術式と呼ばれる魔方陣で管理するものが殆どで、その研究を行う人を魔術師と呼ぶ。

魔術についての研究の成果はものによってはかなり価値があるらしく、研究成果の売買を行う人も居るくらいなんだとか。


「マスターも、魔術師だったりするんですか?」

「・・・まぁね。大体の吸血貴は魔術の研究をしてるよ。寿命が長いから研究が捗るし、いい暇つぶしにもなる。この家を管理するのも大変だから、魔術でやっている部分が多いんだ」

そう言って、マスターは青白い光で空中に術式を形成して見せてくれた。


「これは、どういう術式なんですか?」

「これは術式を管理するための術式だよ」

「えぇと・・・」

「術式は一つでも使えるけど、さまざまな術式を組み合わせて使ったりもするんだ。たとえば、日が落ちている間だけランプに灯りが灯るようにしたい場合、太陽光を感知する術式と光を発する術式を上手く組み合わせて使う」

話しながら、マスターはテーブルの上のランプに魔方陣を幾つか重ねたものを出現させる。


「魔方陣が2つ以上あるように見えるのはなぜですか?」

「うん、よく見ているね。その二つを上手く起動させるための繋ぎの術式が挟んであるんだ。自分がその場で使うならいいんだけど、自動的に動かしたい場合は、太陽光を感知しなくなった時に光を出すように、条件をつける術式を間に挟まないと上手く起動しないんだよ」

「複雑なんですね・・・」

私はそれぞれの術式を見詰めながら呟いた。


まだ上手く理解できていないかもしれないけれど、プログラム言語のようなものなのかもしれない。

「そう。術式の数は膨大なんだ。だから、それを管理する術式を創ったというわけ。この術式は特殊で、使用者―――つまり僕にしか管理する術式が見えないようになっているんだよ。この利点、分かる?」

突然問題を出されてちょっと動揺する。

私は暫く考えて、恐る恐る口を開いた。


「・・・他の人に自分が考えた術式を盗まれない、ですか?」

私の回答を受けて、マスターは笑った。

「正解。術式は魔術の研究成果そのものと言ってもいいくらいだから、見られないに越したことは無い。まぁ、ちょっと見た位で使えるようになるほど、魔術は甘くないんだけど」


確かに、管理する術式一つを取ってもその形は複雑で、直ぐに記憶できるようなものでないことは一目瞭然だ。


「でも、マスターのその術式がマスターにしか使えないものだとしたら、他の人は管理をどうしているんでしょう?」

「術式を記憶する術式は世間に広まっているから、それで記憶した術式を呼び出して使うのが一般的かな。条件を満たすと発動するようにしたり、言葉に反応するようにしたり。ちなみに、呼び出すための言葉は一般的に呪文と呼ばれている。あと、魔術師の殆どは自分の体や身につけるものに術式を入れている人が殆どだから、数が少なければそれで事足りたりもすると思う。勿論、自分の記憶だけで何百、何千の術式を覚えている魔術師もいるよ。でも、僕は記憶力にそこまで自信がないから」

そう言って、マスターはもう一度管理の術式を呼び出しながら苦笑した。


「その複雑な術式を創りあげただけでもマスターは凄いと思います。そういえば、管理の術式は見えてしまってもいいんですか?」

「うん。実はね、魔力を術式全てに回しているわけではないんだ。それと、この術式は魔力を回す順番があって、間違えると上手く起動しないんだよ」

そう言われて、私は管理の術式をもう一度まじまじと見詰める。


青白い光を放つ術式は多くの複雑な模様で形成されていて、よく見ても何処が使われている場所なのか分からない。


「ふふ、祈が興味があるなら教えてあげるよ」

「いいんですか?」

貴重な情報なんですよね?と尋ねると、マスターは笑みを深めた。


「勿論。祈が僕の後継になるって約束してくれたらね」

「・・・直ぐにはお答えしかねます」

私は渋面を作ってそう答える。


それを見て、マスターはまた笑った。


設定で自分の首を…(笑)

魔法と魔術の設定は凄く前から使っているものなので大丈夫かなと思いつつ、幾つもの魔法陣を重ねて展開して魔術を使うのは格好良いなぁと思って、そちらも追加してしまいました。

あと、術式って言葉がそもそも格好良いですよね。

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