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魔物についての知識。

作業場はお店の裏手にひっそりとある平屋の建物だった。

中に入ると、正面に大きな作業机があって、その上にフェルレットの毛皮や石などの素材が並べられていた。

マフユさんがその前に立って、一つずつ説明してくれる。


「まずこれが毛皮。まだ剥いで簡単に処理しただけだから、装備や装飾品にしたいんだったらその為の別の処理が必要だよ。次に額の石。これはすぐに別の加工が出来る状態だからもう渡せる。あとは肉とか骨とかだけど、肉は傷みやすいから保管庫にあるよ。骨は乾燥中だけど、どうする?イノリさんは魔力調合士だから素材として使ったりする?そもそも素材としての使い道ってーーー」


先ほどまでの口下手さは何所へやら。

淀みなくどんどん話し出すマフユさんに一瞬圧倒されるけれど、その姿が生き生きとしていて、彼はものすごくこの仕事が好きなんだなぁと思った。

ユタカさんが言っていた、この仕事を持ってきてくれて喜んでいたっていうのは本当だったみたいだ。

マフユさんが楽しそうに話す姿を見ていると、こちらも自然と笑顔になる。


「ーーーそれから、肉は癖があるんだけど香辛料でしっかり味付けをしてから干し肉としても……ごめん。俺ばかり話過ぎたね」

我に返ってバツが悪そうにするマフユさんに、私は両手を振る。

「いえいえ!色んなお話が聞けて凄くためになりました。魔力調合は始めたばかりで魔物関係の知識は殆どないので、色々と教えていただけるのは本当に助かります」

もし宜しければ、もっと沢山聞かせてもらえませんか?と続けると、マフユさんは照れたように頬を掻いた。

「あ、ありがとう。…でも、クロカゲ君には退屈じゃないかな?」

ごめんね、とクロカゲに目線を合わせて話すマフユさん。


相手を気遣ったり、子どもに優しかったり。

マフユさんは口下手なだけで、根は凄く優しい人なんだなぁ。

それに、さっきの素材の説明も凄く丁寧で分かりやすかったし、いい職人さんでもあると思う。


「おれもマフユの話を聞いてるのは楽しいから気にすんな。魔物の体の作りの話とか、凄く興味ある」

クロカゲもマフユさんの話は興味深いものがあったらしくそう返す。

すると、マフユさんは嬉しそうに目を細めた。

「クロカゲ君も魔物に興味があるんだね。色んな種類が居て面白いよね。それなら良かった。じゃぁ、もう少し話そうかな」

「おう!宜しくな」


そうして、マフユさんの魔物講座が再開した。

クロカゲが魔物の体の作りに興味があるのは多分、急所とかが分かってより戦いやすくなるからだろうけど…話がややこしくなるからそれは黙っておこう。


「遅くまですみませんでした…でも本当にありがとうございます。凄く勉強になりました!」

マフユさんに頭を下げて作業場を出る。

ちょっと興味のあることを聞いてみようかな。位のつもりだったのが、マフユさんの知識が幅広くて、さらに説明も分かりやすくてついつい話し込んでしまい、結局作業場を出たのは日も大分傾いた頃だった。


「ううん、いいよ。俺も話すの楽しかったし。…こちらこそありがとう」

マフユさんが微笑んで首を振る。

話しているうちに大分打ち解けられたのか、最初の時よりも表情や声色が凄く柔らかい。

「ありがとな、マフユ!おれも勉強になった」

クロカゲもそう言って笑う。

マフユさんとは馬が合うのか、最後の方は物凄く会話が盛り上がっていたので、とても楽しかったんだと思う。

マフユさんは、そんなクロカゲを見て嬉しそうに目を細めた。

「うん、またおいで。クロカゲ君たちならいつでも歓迎だよ」



「マフユの話、凄く為になったよな!スライムが実は寒いのに弱いなんて知らなかったから驚いたぜ。今までは一発で仕留める為に核に苦無を打ち込んでたけど、無傷の核が欲しい時は凍らせればいいんだな!」

「今までのクロカゲの戦い方も凄くスマートできれいだなって思ってたけど、知識が付くとさらに戦略が広がるんだね。凍らせるなら私も術式を使えば安全に戦えるし、本当有難い知識ばっかりだったなぁー…」


マフユさんと別れて、家までの帰り道。

クロカゲは魔物の生態が色々と分かったのが嬉しいのか、至極上機嫌だ。


敵のの弱点が分かって凄く良かった!と若干興奮気味に語るクロカゲは何だか可愛い。

こうして見ると見た目相応に見えるなぁ。なんて、微笑ましい気分になりながら帰宅する。

丁度夕飯時だったので、そのまま台所に移動して夕飯の準備に取り掛かることにした。


今日の夕飯はクロカゲから引き続きお肉コールがあったため、親子丼にすることに。

スライスした玉ねぎと鶏肉を、醤油、砂糖、お酒、だし汁を混ぜた割り下で煮たところに、溶き卵の三分の二を流し入れる。

固まってきたら、最後の三分の一を流して火を止めて、少し蒸らして半熟にしたら出来上がり!


蒸らしているところに、いい匂いにつられてクロカゲがやってきた。

「めっちゃ美味そうな匂いがする!」

「うんうん、凄くいい匂いだよね!…もうそろそろかな」

待ちきれない!と言わんばかりのクロカゲに苦笑しつつ蓋を開けると、湯気と一緒にいい香りがより一層強くなる。


中を覗き込むと丁度いい感じの半熟。

うん、上手にできた。

ブックマークしてくださった方がいらっしゃいました!

ありがとうございます!嬉しいですー!!



…おまけ そのにじゅういち…

◼️お料理紹介◼️


◯トンカツ◯

豚ロースの筋を包丁で切って、お肉を叩いて柔らかくしてから塩胡椒で下味をつける。

次に小麦粉、卵、水を混ぜたバッター液を作り、お肉をバッター液につけてからパン粉を塗す。

熱した油できつね色になるまで揚げて、油を切ってからお皿に千切りのキャベツと一緒に盛り付けたら出来上がり!

トンカツソースをかけたり、レモンを絞って食べる。



クロカゲ:これもめっちゃ美味かったー!


イノリ:クロカゲ2枚くらい食べてたもんね。多めに作っておいて良かったよー。


クロカゲ:レモンを絞って食べるのも美味かったけど、おれはトンカツソースが好きだな!ご飯めっちゃ食える!


イノリ:トンカツソースは味が濃くてご飯が進むよね!少し重たくなってきたらレモンでさっぱり食べるのもいいから、私はどっちも好きだな。


クロカゲ:キャベツでもサッパリ出来るよな。揚げ物には箸休めが必要ってことなのか?


イノリ:そういえば、揚げ物ばっかり食べると胃もたれすることがあるから、消化の良いキャベツを付けるのが定着したって聞いたことあるなぁ。


クロカゲ:へぇ、そうなのか!健康にも気を使ってるんだなー。


イノリ:うんうん、なんとなく食べてる料理の組み合わせにも、先人の知恵が沢山あるのかもね。彩りとか、栄養バランスとか…。


クロカゲ:うーん…おれには難しいから、そういう事は姉貴が教えてくれよ。知らないことだらけだ。


イノリ:私もそんなに詳しいわけじゃないけど、知ってることがあったらまた教えるね。


クロカゲ:おう!ありがとな!分かりやすく頼むぜ!(笑)


イノリ:はーい、善処します(笑)

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