ハンバーグ作り。
「よし、じゃぁハンバーグを作ります」
「おれも簡単なことなら手伝うぜ。何かあったら言ってくれ」
「ありがとう。じゃぁ、玉ねぎの皮を剥いてもらえるかな?」
そういって玉ねぎを3個渡すと、クロカゲは頷いた。
「おう、任せとけ」
私の家のハンバーグは挽き肉と同じくらいの玉ねぎを用意して、良く炒めて混ぜるのが特徴だ。
お母さんは挽き肉と玉ねぎがほぼ1:1と物凄く多い。
お祖母ちゃんは挽き肉と玉ねぎは2:1だけど、卵を入れて作る。
私はその間を取って挽き肉と玉ねぎが3:2くらいで、ナツメグを入れて作るのが好き。
どの作り方も物凄くジューシーで、切ると肉汁が溢れてくるんだよね。凄く美味しい。
「出来たぞ姉貴、ホラ」
「ありがとう」
クロカゲから玉ねぎを受けとる。
「意外と剥きづらいんだな、ソレ」
そういって、クロカゲが少し困ったような顔をした。
確かに、新玉ねぎ以外の一年中出回っている物は保存の為に乾燥させてあるから、皮がパリパリで剥き辛い。
「うんうん、皮が張り付いて中々取れないよね。そういう時はしばらく水に浸しておくと皮がふやけて剥きやすくなるよ」
「へぇ、そうなのか」
次からやってみよう。と続けるクロカゲに、また手伝ってくれるんだ…!とちょっと嬉しくなった。
まず、クロカゲから受け取った玉ねぎはみじん切りに。
ミキサーがあればと思って探したら、それっぽい器具を見つけたので使ってみることにした。
魔力で動かす仕組みみたいだけれど、勝手に魔力を使う仕組みになっていて、触れただけで起動したので一安心。
マスターの魔術は本当にすごいと思う。
私もいずれは出来るようになりたいなぁ。
その玉ねぎをフライパンに入れ、油を少し入れて炒める。
早く飴色にしたいので、少し塩も追加。
原理とかはよく分からないけれど、浸透圧とかが関係してるのかな?
玉ねぎの水分が飛んで飴色になったら、そのまましばらく冷ましておく。
その間にマッシュルーム、人参、ブロッコリーを切って、人参とブロッコリーは塩を入れたお湯で柔らかくなるまで茹でる。
ブロッコリーは茎も食べられるから、周りの皮を切り落として一口大の大きさにカットして、これも一緒にお鍋に入れる。
茹で上がったら水気を切って、最後の盛り付けまでお休み。
マッシュルームは薄目にスライスして、最後のソースに使うため、それまでは別のお皿に取り分けて、こちらも暫くお休み。
茹で終わる頃には玉ねぎも大分冷めて来ているから、これを半分にして、挽き肉、パン粉、塩少々が入ったボールに入れて手で混ぜる。
もう半分はさっきの材料にナツメグ少々を追加したボールに入れてこちらも混ぜる。
あとは食べやすい大きさに手で丸めて、左右の手に交互にぺちぺちとキャッチボールをするようにして空気を抜く。
これをやらないと中の空気が破裂して肉汁が出てきちゃったり、ハンバーグ内に空洞が出来ちゃったりするからとても大事な工程だ。
「クロカゲもやってみる?」
私の作業を興味深そうに見詰めているクロカゲに声をかけると、彼は目を輝かせた。
「いいのか!?」
「勿論!折角手伝って貰ってるんだし。意外と楽しいよ」
クロカゲには普通のハンバーグ種の方のボールを渡して、やり方を教えながら二人でハンバーグを形成する。
最初はぎこちない手つきで種を丸めていたクロカゲも段々慣れて来て、空気を抜く作業を楽しそうにしている。
「料理作るのって面白いんだな」
「良かった。面白いって思ってもらえて嬉しいよ」
「しかも作ったらその後食べられるんだろ?そう考えると良いことずくめだよなー」
確かに料理を作るのが楽しくて、その後食べるのも楽しみで、食べて美味しくて…って考えると料理は凄く良いものなんだなぁ。
そこに一緒に作ってくれる人や美味しく食べてくれる人が居れば、楽しみは何倍にもなる。
考えればかんがえる程素敵なことだらけだ。
「こんなもんか?」
クロカゲが綺麗な小判型に成形されたハンバーグ種を見せてくる。
「すごいねクロカゲ!とっても綺麗!じゃぁ焼いていこっか!」
自分の事のように嬉しくて手放しで喜ぶと、クロカゲも嬉しそうに笑った。
「おう」
空気を抜いたハンバーグ種をフライパンに並べて、真ん中を少し凹ませる。
その作業をしていると、クロカゲが不思議そうに手元を覗き込んできた。
「何で真ん中凹ませるんだ?せっかく丸くしたのに、最後に形が変にならないか?」
「焼いてると真ん中が膨らんで来るから大丈夫。それで火の通りを均一にするために凹ませるの」
私が答えると、クロカゲは関心したように頷いた。
「へぇ、そうなのか。やること全てにちゃんと意味があるんだな」
「ね。レシピを考える人って本当にすごいと思う」
最初に中火で焼き色を付ける。
ひっくり返すころには、種はふっくらして凹みも殆ど無くなった。
「本当だ。不思議だなー」
「でしょ?私も最初に見た時はクロカゲと同じようなリアクションだったなぁ」
蓋をしてから弱火に変えてじっくりと焼いていく。
「あとは焼きあがるのを待つだけだね。これくらいの大きさなら5、6分焼けば大丈夫だと思う」
「了解」
5分経って、蓋を開けると台所にいい匂いが漂う。
火の通りを確かめる為に真ん中に竹串を射すと、透明な肉汁が出てきた。
中まで焼けている証拠だ。
「うん、大丈夫そう」
「もし生焼けだったらどうなるんだ?」
「その時は濁った汁が出てくるんだよ。その時は追加で2分位焼けば大丈夫」
「なるほどなー」
焼けたハンバーグをお皿に盛り付け、そのまま同じフライパンでソースを作る。
ハンバーグの旨味の残ったフライパンにワイン、マッシュルームを入れて、マッシュルームに火が通るまでかき混ぜながら煮る。
その後とんかつ用ソースとトマトケチャップを加えて、ぐつぐつするまでかき混ぜながら加熱する。
味をみて、隠し味で少し砂糖を加えたらハンバーグソースの出来上がり。
あとはハンバーグにたっぷりソースをかけて、付け合わせのブロッコリーと人参を添えたら完成!
タイトル通りのんびりハンバーグを作っているお話になってしまいました…!
こんなにのんびりで大丈夫か心配になりつつ、スローライフだからいいかなぁと言い訳してのんびり行きます(笑)
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いつもありがとうございますー!!
…おまけ そのきゅう…
◼️適当に質問コーナー◼️
Q …イノリとクロカゲは家事分担とかしてるの?
A…ぼんやりとしてます。イノリがお料理担当。クロカゲはお掃除担当で、手が空いてる時は手伝ったり、手伝ってもらったり。お買い物は基本的に二人で行ってます。
イノリ:クロカゲお掃除凄く上手になったよね。最初モップをよく絞らないで床をべちゃべちゃにしてた時はビックリした(笑)
クロカゲ:仕方ねぇだろ。掃除なんて初めてやったんだから。でも今はちゃんとやってるだろ?
イノリ:確かにお家に住んでる妖魔は普通いないよね。それが今は私が散らかした調合道具とか本とかも片付けてくれてて頭が上がらないです…。
クロカゲ:姉貴も掃除できないわけじゃないのにたまにすごい事になってるよな。特に書斎。
イノリ:調合とか調べ物に夢中になってると片付けが二の次になっちゃって…いつも助かってます。本当ありがとう。
クロカゲ:まーそれも俺の仕事の延長みたいなもんだし気にすんなよ。それにしても、台所は普通なのに不思議だよなー。
イノリ:お料理とかは流し台が使えなくなるから作りながら片付けるんだけど、調合とか調べ物はそういうの無いから際限なくやっちゃうというか、何というか…。
クロカゲ:放っておくと足の踏み場がなくなる時あるからなぁ。だから最近は姉貴が書斎にいるときは俺も一緒にいる事にした。
イノリ:ていうか、クロカゲが整理整頓してくれてるから物の在り方はクロカゲの方が詳しくて、寧ろ調べ物とか探し物はクロカゲが居ないと困るんだよね(笑)
クロカゲ:…そもそも姉貴って探し物苦手だよな。直ぐ近くにあるのに見当違いのところ探してるし(笑)
イノリ:痛いところを突いてくるなぁ…。思い込みがね、激しいというか、なんというか…。
クロカゲ:はいはい。次からはもうちょっとちゃんと探してからおれを呼ぶようにしてくれよ(笑)
イノリ:善処します…!(笑)




