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魔力調合の秘密。

その後はチヨさんの提案通り、私たちは3人でお茶をする事にした。

と言っても、クロカゲは本当にお茶を飲んでお菓子を食べているだけなので、お喋りをしているのは私とチヨさんだけなんだけど。


「まぁ。この軟膏、本当にイノリちゃんが作ったの?」

お店に置いてもらう為に、半分だけ詰めた試供品用の軟膏をチヨさんに使ってもらった所、凄く喜んで貰えた。

「中々治らなかった手のあかぎれがあっという間に治ったわ!それに凄くいい香り。…本当に初めて作ったの?」

「はい。最初は失敗ばかりだったんですけど、何とか上手く出来たので売れたらいいなぁって思って…」

最初の失敗の山を思い出すと複雑な気持ちになるけれど、まさか軟膏一つでチヨさんがこんなに喜んでくれるなんて…。

諦めずに頑張って良かった。


「でも凄いわ。普通の軟膏じゃこんなに早く治らないもの。難しい調合だったんじゃない?」

「えぇと、初歩的な軟膏だったと思います。私もまだ難しいことは何もできないので…」

余りにもチヨさんが褒めてくれるので、逆に申し訳なくなってしまう。

失敗続きだった事もあり、初歩的な参考書の中でも特に手順や材料入手が簡単なものを選んで作ったから、本当に初歩の初歩だ。


しかし、私の発言を受けてチヨさんは目を丸くした。

「まさか、そんな筈ないわ。私も軟膏を使うことがあるけれど、それとは比べ物にならない程良い軟膏よ」

「えぇ!?」

流石にここまで言われると、チヨさんがお世辞で褒めてくれている訳ではないことが分かる。

でも私が調合したのは本当に簡単な軟膏だし…しかも初めて出来た物だし…。


困り果ててクロカゲを見ると、彼は私にしか分からないようにこっそり。

「魔力反応を使った調合」

と喋った。

そこまで言われてはっとする。


そう言えば、クロカゲが魔力反応を使った調合と、普通にお薬を作る調合の2種類があるって言ってたっけ。

チヨさんが使ったのは、普通にお薬を調合した軟膏だったんじゃないだろうか。

そうだとすると、軟膏の効果に差があったというのも頷ける。


「あの、私の調合は魔力反応を使った調合なんです。だからチヨさんの使った軟膏と効果が違うのかもしれません」

「イノリちゃん、貴女、魔力反応を使った調合をしたの!?」

これで納得して貰えるかなと思ったけれど、チヨさんは更に吃驚してしまったようだった。

「え、はい。そうですけど…」

家の参考書がそういうものだったので…と付け足す。

「その方法は今じゃ殆どやっている人が居ないのよ。良く参考書が手に入ったわね。しかも、ちゃんと調合出来るなんて…」


何でも、昔は魔力調合が主流で、それぞれの調合者がアトリエを構え、レシピを研究しながら一子相伝のような形で弟子へ弟子へと技術を託していたらしい。

しかし、魔力調合は効果の高い薬が作れる半面、自分の魔力を使って調合する性質上大量生産が難しく、一度に作れる数に限りがあるため、徐々に衰退していき、今の調合が普及していったとのことだった。


「私の若いころはまだ魔力調合が主流だったんだけど、今はもう殆ど居ないんじゃないかしら。ここら辺でもやっているって話は聞いたことがないわ」

そう言ってチヨさんは香茶を一口飲んだ。

私も香茶を飲みながら今の話を考えてみる。

その中でひとつ、今までのチヨさんの発言で気になったことがあった。


「大量生産が難しいなら、沢山お弟子さんを取って調合すれば問題なかったんじゃないでしょうか?どうして一子相伝なんですか?」

「それはね、魔力と材料には相性があって、レシピによって適応する魔力の質が違うからよ。レシピを作った人と同じような魔力の性質の人でないとお薬が上手くできないの」

「え、そうなんですか!?」

その話を聞いて吃驚する。


銀の棒に変えてすぐに調合に成功したから、てっきり正しい道具を使って調合すれば魔力調合は成功するものだと思っていた。

…まさか、魔力の性質も必要だったとは。

ブックマークした下さった方がお二人もいらっしゃいました!!

ありがとうございます!とっても嬉しいですー!!

おまけの薬草紹介のネタが尽きたので、また新しいネタを探して来ました!

暫くしたらお料理ネタも尽きるので、また新しいおまけを探して来ますね!

なんて幸せな課題!嬉しいなぁー♪

これからも宜しくお願いしますー!!


!追記!

お礼あとがきがもしかしたら規約に引っかかるかもしれないとの情報を読んだので、感謝を込めてあとがきにおまけ小話を毎回入れていくことにします!!

いつも読んでくださってありがとうございますー♬


…おまけ そのご…

◼️お料理紹介◼️


◯リンゴのコンポート◯

リンゴの皮を剥いて8等分に切りタネを取る。

鍋にリンゴ、砂糖、レモン汁を入れて煮る。

お好みの柔らかさになったところで火を止めて出来上がり。


イノリ:ワインとかブドウジュース、オレンジジュースなんかを入れて煮ても美味しいよ!お砂糖だけの場合は皮付きで煮ると皮の色が移って綺麗になるから皮が大丈夫な人は是非!!


クロカゲ:俺はブドウジュースで煮たやつが好きだなー。アレは美味かった。


イノリ:甘くないリンゴとか、ボケたリンゴでも美味しく食べられるから嬉しいよね。


クロカゲ:そういやアレ、元は不味いリンゴなんだったな。


イノリ:そっか、クロカゲが来る前に買ったリンゴだから元の物は食べてなかったよね。不味くはないけど…みたいな味だったよ(苦笑)


クロカゲ:普通に美味かったからなー。言われないと分かんないと思うぜ。


イノリ:それなら良かった!訳ありとか、癖がある食材を下拵えとか調理法で美味しく食べられるようにするのって凄く素敵な事だと思うんだ。


クロカゲ:姉貴の所に来て料理を食うようになってから、俺もそう思うようになった。美味しく料理するのって大変なことなんだなー…作ってくれる人に感謝しないとな。


イノリ:そうだよね。私も料理するようになってお母さんやお祖母ちゃんに感謝するようになったなぁ…。クロカゲはそう言うところに気付いてえらい!


クロカゲ:そうか?俺からすると姉貴の方がえらいと思うぜ。いつもありがとな。


イノリ:え…!?いえいえ、こちらこそ!何か、そんなこと言われると照れる…。


クロカゲ:本当の事だからしょうがないな(笑)


イノリ:あんまり揶揄わないでー…!


クロカゲ:本当、そんなつもりじゃねーんだけどなー(笑)


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