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夕暮れ帰り道。

帰り道。

夕日に照らされた道を二人並んで歩く。

「な。言っただろ」

そう言ってクロカゲは笑った。

「うん、ありがとう」

「帰ったらやってみようぜ」

クロカゲはそういうけれど、私としてはまだ半信半疑だ。

「でも、本当にこれだけで調合が上手くいくのかなぁ…?」

「当然だろ。今までの失敗は魔力反応が起きなかったせいなんだからさ」


クロカゲ曰く、私の持っている調合書は魔力反応を起こすことが前提になっている調合方法らしい。

この世界には魔力を使う調合と、使わない調合の2種類があって、魔力を使う調合の場合、魔力伝導率の良い銀の棒を使って調合を行うことが大前提で、魔力を通さない鉄の棒は論外なんだとか。


「それは分かったけど、本当に銀の棒に替えただけで上手くいくかなぁ?」

話を聞いて一応理解はしたけれど、あれだけ失敗続きだったのがそれだけであっさり解決するのかやっぱり不安になる。

「だーいじょぶだって」

クロカゲはそう言ってくれるけれど、その根拠が何処から来るのか分からない。

「だって私、魔力の流し方とか全然分からないし…」


じっと手を見る。

必要な道具が揃っても、肝心の私が使いこなせなければ意味がない。

実際にやってみて、まったく出来ないとかだったらどうしよう…。


「あの日、なんでおれがすぐに元気になったか不思議に思わなかったか?」

クロカゲが突然脈絡のないこと質問してきたので思わず面食らう。

「え…葛湯が効いたんだよね?」

その時は元気になってくれて安心していたから深く考えなかったけれど、一通り考えて出てきた答えを口にしてみた。


「仮にそうだとしても、流石にそんな即効性がある訳ねぇだろ。あれは、おれが姉貴の魔力を食べたからだよ」

クロカゲの言っている意味が分からなくて困惑する。


私の魔力を食べた?何時、どのタイミングで?

それに、そもそも私は魔力なんて食べさせた記憶がないし…。


私が考え込んでいるのを眺めていたクロカゲはくつくつと笑った。

「本当に分かってなかったんだな。葛湯を食べさせてくれただろ?あの時だよ」

「え?でも私本当に何もしてないよ?葛湯を冷ましながらクロカゲにーーー」「魔術師が」

言いかけた言葉をクロカゲが遮る。

「魔術師が術式を呪文で発動させられるのは何でだと思う?」

またよく分らない質問が出て来て面食らう。

「えぇと…呪文、つまり言葉に力があるから?」

「半分正解。術者の言葉に力があるのは、それが術者の口から発せられたからだ。つまり、術者の体の中にある魔力が口から出てるからだよ」

そこまで言われてはっとする。

「あ、私が冷ました息!?」

「それも半分正解。あとは、姉貴が持ってたスプーン、アレ何の金属でできてると思う?」


何の金属って…それは鉄とかそういう…鉄?

いや、もしかしてその逆の存在の…。


「まさか、あれ…」

「そう。あれは銀食器だ。銀は魔力をよく通す、つまり?」

クロカゲがニヤリと笑ってこちらを見る。

「知らない間に、私の魔力が息とスプーンからクロカゲにいってたんだ…」

「そういうこと」


私の答えに満足そうに頷くと、彼は続ける。

「だから大丈夫だって言っただろ?さ、早く帰ってやってみようぜ」

そういって、彼は歩みを速めて私を追い抜く。

「うん、そうだね」

クロカゲに呼び掛けて、私もその背中を追いかけた。

心が軽くなったからか、足取りも軽くなる。


「クロカゲ!」

先を歩くクロカゲに呼び掛けた。

「ん?」

歩みは止めて彼は振り返る。


「ありがとう!」


ちゃんと気持ちが届くように、感謝と同じ位の大きさの声でそう伝えると。


「おう」


クロカゲは満足そうに笑った。

その笑顔が眩しかったのは、きっと夕日のせいだけじゃなかったと思う。

ブックマークしてくださった方がいらっしゃいました!!

有難うございます…!感謝してもし足りません…!!


のんびり後半になってしまったので、次の更新の目処が立ったときに活動報告でお知らせしていこうと思います。

…そう思って、早速それをお知らせしにいったら、前回と前々回のタイトルを盛大に間違えていることに気付きました…何やってるんだろう私。


間違えないようにとコピペしてたのが仇になりました…。

次からは気をつけていきます!!

…気をつけていこうとは思うのですが、もし何か誤字脱字や大幅な間違いなど見つけましたら教えていただけると助かります。泣いて喜びます。

最近スマホの予測変換がおかしいのも原因の一つだと思いたいです…。


うっかり多めな作者ですが、頑張っていきますので、これからもどうぞ宜しくお願いします!!


それから、ブックマークしてくださっている方々、評価してくださった方、本当に有難うございます!

とても嬉しかったので、お礼にもならないかもしれませんが、ブックマーク、評価してくださっている方の人数分、後書きで何かちょっとした文章をおまけで付けていこうかなと思います。今回から6話分おまけありです。

またブックマーク、評価してくださる方がいらっしゃれば、その都度おまけも追加していきますので、お時間あるときに覗いてやってください!!


!追記!

お礼あとがきがもしかしたら規約に引っかかるかもしれないとの情報を読んだので、ここからは感謝を込めてあとがきにおまけ小話が毎回入ります!!

いつも読んでくださってありがとうございますー♬


…おまけそのいち…

◼️薬草紹介◼️


◯薬草タンポポ◯

もっともポピュラーな薬草。

柔らかい黄色の花に、雲のようなもくもくした形の葉を持つ。

春先から秋の終わりまで、ほぼ一年を通して採取することができる。

調合には主に根を使う。乾燥させて保管できるので、一年を通して困ることは無いだろう。

花や葉は食用に出来る。


イノリ:私が一番最初に採取した薬草だね。葉っぱとか花は天ぷらにして食べると美味しいよ。

クロカゲ:えー…おれはあんまり好きじゃないなー。結構苦いぞ、アレ。

イノリ:そう言えばクロカゲはあんまり食べてなかったね。そこまで苦くないと思うけど…。もしかして、クロカゲって割とお子様舌?

クロカゲ:…そんな訳ねぇだろ。…でも、これからはあんまり作るなよな。

イノリ:うんうん、了解しました(笑)


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