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運命の一歩。

…そんな感じであっという間に7日目。

振り返ると中々内容の濃い1週間だったんじゃないだろうか。

そんなことを考えながら朝ごはんの最後の一口を食べる。

「ごちそうさまでした」

ゆっくり手を合わせてから、後片付けの為に台所へ向かう。

窓を開けると、朝の冷たい風が吹き込んできた。

窓の外に広がる森の香りを胸いっぱいに吸い込んで深呼吸。

よし、今日も頑張ろう。


チヨさんから薬草を買って帰った後、書斎用の部屋に調合器具が少し残っていたので、調合用スペースを簡単に作った。

そこで昨日、一昨日と天気が芳しくなかったため、家で一日中薬を作っていた―――と言えれば良かったんだけど、実際は失敗続きでまともなものは何も出来なかった。

もし言い訳が許されるなら、家に置いてあった調合書がすっごく不親切なせいだと言いたい。

完成品以外の図は殆どないし、説明も簡素過ぎると思う。

工程の説明は磨り潰したものを煮るとか、煮出した液体を混ぜるとかだし、材料も、薬草タンポポの根1本と乾燥妖精草(フェアリーフ)2~3枚とか、かなり大雑把にしか書いてなくて、もはや覚え書きのレベル。

・・・そのせいなのか、参考書通りに作っているはずなのに、判別薬品を入れても基準色に変化しないのだ。


薬品はちゃんとした効能のものになっているかどうかを判別するために使う別の薬品が存在していて、それを最後に入れて出来具合を判断するようになっている。と本に書いてあった。

悲しいかな、一度も成功例がないので、文章をそのまま引用した言い方しか出来ない。

正しく出来ていれば指定された色になるようになっていたり、特有の匂いになるようになっていたりするらしい。

恐らく、リトマス紙みたいなものなのだと思う。

薬の色がそれぞれはっきりと違うなんて不思議だな。と本を見ながら思っていたけれど、確かにきちんと完成しているか判断出来ないと薬として使えないから、そこは物凄く納得できた。

余程のことが無ければ薬を使い間違えることもないだろうし、機能としては一石二鳥だとも思う。


それから、作る薬品によって使う判別薬品が違っていて、家の棚には何種類かの判別薬品のストックが揃っていたから、参考書と睨めっこしながら調合を始めた訳なんだけど・・・。

失敗に次ぐ失敗により、簡単な傷薬用の判別薬品を全て終わらせてしまい、これ以上の調合が出来ないと言うのが今の現状なのである。

書斎兼調合部屋に散乱している失敗作を片付けながら、私はため息を吐いた。

・・・いけない。気分が暗くなってきた。

早速気分が落ち込んで来ているのを自覚して、カーテンを開ける。

部屋が明るくなるだけでも大分気分が違うもんね。

綺麗な青空と森の景色が窓の形に四角く切り抜かれていて、それだけで絵画のように綺麗だ。

晴れ渡る青空には太陽が元気に輝いていて、窓辺にいるだけでもぽかぽかしてくる。

さっきは肌寒かったけど、この調子なら日中は暖かくなりそう。

外に散策に出るには持って来いのお天気だ。

よし、今日は頑張って素材を沢山集めよう!


失敗作を片付け終わると、付箋だらけの植物図鑑と部屋の片隅においてあった手提げカゴを持って、私は意気揚々と家を出た。

素材採取なんて初めてだから上手くできるか分からないけれど、子供の頃に木苺を採りにいったのを思い出して、ちょっとわくわく。

突き抜けるような青空を見上げると、太陽の光が真っすぐに私を射して、思わず手を翳す。

少し歩いた所にある森の木陰に入って植物図鑑を開くと、開いた頁に木漏れ日が綺麗な光の模様を描いた。

今日は傷薬の判別薬品の材料集めがメインで、その他にも調合材料とか食材なんかが見つかればいいなぁと思っている。

街に降りる小道以外を歩くのは今日が初めてだから、くれぐれも迷ったりしないようにしなくちゃ。

本を閉じてあたりを見回す。

この先が明るくなっているから、恐らく少し開けた場所があるのだろう。

最初からあまり鬱蒼とした場所に踏み入るのは良くないし、まずはその辺りから行ってみよう。と思い、私は草の生い茂る地面を一歩踏み出した。


・・・その選択がこの先の生活を大きく変えてしまうことになるなんて、その時は思ってもみなかった。

新しくブックマークしてくださった方、本当にありがとうございます!!嬉しくて画面を眺めながらお布団でごろごろしてしまいました。

さらに評価してくださった方もいらっしゃいました!とても嬉しいです!!

もっともっといいお話が書けるように頑張ります!

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