ボケたリンゴの美味しい食べ方。
荷物を冷蔵庫にしまってから、リンゴとブドウジュースを台所の机の上に置く。
試しに一口齧ってみると…うん。確かにこれはあんまり美味しいとは言えないかも。
皮は薄くて食べやすいけれど、リンゴ特有のシャキッとした触感はなくて何だか柔らかめの歯ざわりだ。
一応風味はあるものの、酸味がなくて甘みが少ないので、全体的にぼやっとした感じがする。
これはボケたリンゴって言われてもしょうがないかも…。
でも大丈夫。ボケてしまったり、甘くないリンゴでも美味しく食べる方法はちゃんとあるのだ。
それは…煮リンゴである。お洒落な言葉で言えばコンポートという奴だ。
私のお祖母ちゃんは少しのレモン汁にお砂糖たっぷりで煮詰めるのが好きで、お母さんはシナモンとか、ジュースと一緒に煮詰めるのが好きだった。
今回はあんまり美味しくないリンゴだから、レモン汁とお砂糖たっぷりと、ぶどうジュースとお砂糖で煮詰める2種類を作ってみようと思う。
そういえば、お祖母ちゃんはよく、皮に栄養が詰まってるから食べなさい。って言ってたなぁ。
そうだ!レモン汁の方は皮付きで、ぶどうジュースのほうは皮をむいて煮てみよう。
皮を付けたまま煮ると、皮の色が移るから見た目も綺麗になるんだよね。
リンゴを切ってそれぞれの鍋に入れて、片方はお砂糖とレモン汁、もう片方はお砂糖とぶどうジュースを入れて弱火でコトコト煮込む。
お水を入れても良いんだけど、リンゴから水分が出るから、弱火で調理すればお砂糖の方も少しのレモン汁だけで大丈夫。
暫くすると台所にリンゴやレモン、ブドウジュースの甘い香りが立ち込めて来て、幸せな気分になる。
あとは自分の好みの硬さまで煮るだけ。
私は食感が残るくらいの硬さが好きだから、もう少し煮たらもう完成だ。
少しシャリシャリした感じがたまらないんだよね。
ちなみに、ボケたリンゴでも煮ると食感がしっかりするからすごく不思議。
…お砂糖とか、煮た時に水分が出るのと何か関係があるのかな?
そんなことを考えている間に丁度いい硬さになったので、火を消してお皿に並べる。
2種類を交互に並べていくと、薄紅掛かった黄色と薄紫で色合いも綺麗になっていい感じ。
香茶を淹れて、暖炉前のテーブルにコンポートのお皿と一緒に並べる。
「いただきます」
手を合わせて、レモン汁とお砂糖の方から一口。
リンゴの風味が少ない分を、たっぷりのお砂糖とレモン汁が上手くカバーしてくれて凄く美味しい。
最初に食べた時に皮が薄いのは分かっていたけれど、煮ると更に柔らかくなるのか、皮つきで食べても全然気にならなかった。皮付き調理に向いているのかも。
次はブドウジュースとお砂糖の方。
こちらもブドウジュースがリンゴに風味をプラスしているので物足りない感じは全然なくて、ブドウの美味しさの後にリンゴの風味も顔を出して一石二鳥の美味しさ。
ワインで煮ると高級感が出るけれど、ブドウジュースでも充分美味しいし、子供も好きな味だと思う。
普通に食べる以外にもヨーグルトに混ぜたり、パンケーキやアイスクリームに乗せたり。
パイ生地があればアップルパイも作れる。
まだお鍋に沢山残っているし、冷蔵庫で暫く待つから、これからは毎日美味しいデザートが楽しめそう。
 




