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買い出しと訳ありリンゴ。

その後は3日目にまた買い出しへ行った。

まさか冷蔵庫があるとは思っていなかったので、食材も必要最低限しか買っていなかったからである。

冷蔵庫は結構な大きさだし、お肉やお魚、葉物野菜なんかももっと買って良さそうだし、ついでに町の掲示板も覗いて、従業員募集!みたいな情報がないかも確認したい。

最初に調味料や青果を買って、お肉屋さんに寄って、最後に掲示板を覗いて帰ろうかな。

まだ町には詳しく無いので、マスターから貰った地図を頼りに目抜き通りを目指した。


立ち寄った青果店で葉物野菜などを一通り籠に入れた所で、リンゴが破格の値段で売っているのを見つけて吃驚する。

物凄くツヤツヤしている訳ではないけれど、果実は真っ赤で大ぶりだし、春先のリンゴって言うだけで高そうなのに。

「えっ…何でこんなに安いんだろう」

ジャムにどうぞ!って書いてある値札を見ながら首を傾げる。

値段は籠いっぱいに入って隣に置いてあるイチゴの半額以下だ。傷物扱いだとしても安すぎる。

ずっとそこで立ち止まっていたのが気になったのか、青果店のおじさんが声をかけて来た。

「あぁ、そのリンゴね。行商人が新種のリンゴを安く仕入れたって言うから買ったんだけど、全然蜜が乗ってないし追熟もしそうになくてさ。あと何だかボケたような食感だし…本当にジャムにする位しか使い道は無いと思うけど、それでも良ければどうだい?」

なるほど。と納得して私は頷く。

「買います!あと、そこのブドウジュースも下さい」

因みにボケたって言うのはリンゴの食感の事だ。

パサパサとか、ポソポソする感じで、主にリンゴが古くなって来たりするとそういう食感になることが多い。

この世界に来る前に暮らしていた町がリンゴなどが特産品で、その地域で使われていた方言だったんだけど…この辺りは文化がすごく似ているのかもしれない。

実際、この町は周りが田畑で囲まれているし、一帯が果樹園みたいになっている場所も遠くに見えたから、この町もリンゴが特産品なのかもしれない。

「助かるよ。買っていく人が殆ど居なかったから困ってたんだ」

そういってお会計を少し安くしてくれた。

「有難うございます、また来ますね!」

お礼を言って、私はおじさんに頭を下げた。

売れないって困っていても商品のことを正直に話してくれるなんて、物凄く良い人なんだなぁ。

「あぁ、またよろしく頼むよ」

そう言って、おじさんは片手を軽く挙げて笑った。


その後はお肉屋さんとお魚屋さんに寄ってから掲示板を見に行く。

今は募集をかけているところは少ないみたいだったけれど、唯一パン屋さんですぐ働ける人の募集をしているとのことだったので、後日訪ねてみることにして家に帰った。

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