もう一つの条件。
…前回のあらすじ…
やっぱり外に出たいってマスターにお願いしたら、賭けの話を持ち出された。
どうしようか悩む。
この世界でマスターの力を借りずに生活するには、まず手に職をつけないといけない。
元居た世界なら自分の就きたい職業を決めて、それに関する知識を学校などで学んでから就職活動、という流れになるけれど、この世界の職種や需要は今得られる情報だけでは分からないし、就職活動というものがキチンと出来るのかも街などの様子を見てみないと分からない。
それから、自分の身を守る手段。
これは多分、私が危険な状況になった時に自分の力で解決、あるいは文字通り切り抜けていく力を付けなければならない。
考えなければならないことや、やらなければならないことが山積みだ。
ただ、情報や行動を制限されている状態でずっと此処に居ても、何も解決しないのも事実だと思う。
確かにこれは、私にとっても賭けだった。
・・・でも、私は流れに身を任せてずるずると後継ぎになるのだけは嫌だし、何より外の世界を見てみたい。
何も知らないのに言われた通りしていくのは、違うと思う。と言ったあの言葉は紛れもなく私の本心だ。
「…そうかもしれません。でも、私はそれでも外の世界のことを知りたいです。マスターが宜しいのでしたらその条件で頑張ってみたいのですが、あとは他に何もないですか?」
「うーん…そうだね、僕としては祈に危険な目に遭って欲しくないから、祈の命が危ないと判断したら僕が強制的に助けに入るからね。勿論、何か困ったことになる前に祈から僕にお願いしてもいいよ。でも何回も助けたりするのは祈の為にならないし、僕が不利にもなるから、もし何かあったら3回までなら助けよう。こういうのを『仏の顔も三度まで』っていうんだろう?」
キミが居た世界のことわざを調べてみたんだ。と言うマスターだけれど、意味としては少し…というかかなりズレてる気がする。
「えぇと・・・ちょっと違うと思います」
私が微妙な顔をしていたのか、マスターは首を傾げた。
「あれっ?おかしいなぁ…もう少し勉強してみるよ。…あぁごめん、話が逸れたね。3回助けている状態での4回目のお願いか、危ない状況に直面した場合は問答無用で失敗と言うことにするよ。勿論、4回目もちゃんと助けるから心配しないで」
これで大丈夫?と続けるマスターに私は頷いた。
「はい、お願いします」
「そうと決まればお互い行動は早いほうがいいね。早速明日の朝山小屋に送ろう。これから荷物をまとめて、あとはゆっくり休んでおくといいよ。あぁ、部屋にあるものは好きに持って行っていいからね」
「いいんですか?有難うございます…!」
洋服などを持って行けるのはすごく助かるので、私はマスターに頭を下げた。
お話の切れ目が上手くいかず短くなってしまってすみません。
安定した文量で1話を区切るって難しい…!!
 




