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課題と期限。

…前回のあらすじ…

術式のお勉強を少しした。

あとマスターに、外に出たい!ってお願いしたけどダメって言われた。

でも、この先ずっとこのままでいいのかな、という気持ちは日に日に大きくなるばかりで。

だから、思い切ってマスターに聞いてみることにした。


「あの、マスター。どうして自由に外に出てはいけないんですか?」

勇気を出してノックしたマスターの部屋のドア。

中に入れてもらって開口一番、私はそう切り出した。

この世界のことをもっと理解したいんです。と続けると、マスターは困ったように笑う。

「言い方が悪くなるけれど、キミは僕の器で、柊の研究成果でもあるんだ。出自がばれたら狙われる可能性がある。勿論、それは僕も同じだけれど、僕は自分の身を自分で護るだけの力があるからね。だから、僕の目の届くところでしか外出は認められないな」


確かに、マスターの言っていることは正論だ。

押し黙る私を見て、マスターは、それにね、と続ける。

「僕としては後を継いで貰いたいから、ずっと自由にしていてもいいよ。とは言えないんだ」

「・・・私は、マスターの後を継げるような器ではないです」

言ってから、あ、これ駄洒落になってる危ない。というとてもどうでも良いことが一瞬頭を過ぎったが、この世界に駄洒落は存在していないのか、マスターは特に追及してこなかった。助かった。


私の言葉を受けて、マスターは、うーん・・・と暫く悩んだ後、口を開く。

「じゃあ、こうしよう。僕が出した課題を期限内に達成できたら、祈の自由行動を認めるし、後継になるって言う話も白紙に戻そう」

「え、いいんですか?」

「ただし、達成出来なければ僕の目の届く範囲での生活に戻ってもらうし、僕の後継になる事をその時点で了承してもらう。チャンスをあげるんだから、それ位のメリットが僕にないとフェアじゃないよね?」

どうする?と聞かれ、私は悩んだ。


話としては凄く魅力的だ。

しかし、苦肉の策で出したとしても、マスターにとってデメリットの大きい賭けだと思う。

そう簡単に達成できるような課題を出してくるとも思えないし、達成できなかったときのデメリットは私にとっても大きい。

とりあえず課題を聞いてからよく考えて決めた方が良いと思い、私は先に話を聞くことにした。


「課題とはどういうものなんでしょうか?あと、期限についても聞いておいてから決めたいです」

「ふふ、祈は慎重だね。うん、悪くない選択だと思うよ」

マスターは笑って頷いてから続ける。


「まず、祈はこの家から離れた場所で生活して貰う。祈の言う、この世界を知りたいって言うのには僕も賛成だし、課題をするのがこの家だと、設備や情報がとても充実していて、僕にとってかなり不利になるからね。住んでもらう場所は、僕の領地の端のほうに昔使っていた山小屋があるから、そこで暮らして貰うことにするよ。期限は三年で条件は三つ。一つ目は、この世界で自分の身の安全を確保出来るようになること。二つ目は、自分の力で生活していく手段を身につけること。三つ目は、その山小屋から自力でこの家までたどり着いて、一つ目と二つ目の条件が達成できていることを僕に証明すること」

どうかな?とマスターは私を見詰める。

私は小さく唸った。


「うーん・・・正直、凄く魅力的なお話だと思います。でも、話が魅力的過ぎて逆に心配になるというか。疑って申し訳ないですが、これはマスターにかなり不利な条件ではないですか?」

マスターは一瞬瞠目した後に苦笑した。

「そう言われるとは思わなかったな。自分の案を難しく説明させられるなんて変な感じだけれど、この世界で自活しつつ自分の身を護る力を身につけるのは、そんなに簡単なことではないんだよ。自分の力で生活するのは大変なことだし、いくら祈が僕の創った器でも、殆ど知識を持たない君が身を護る術を一から身に着けるのは簡単なことじゃない。三年の期限は長いように感じるかもしれないけれど、あっという間に来る筈だ」

マスターの言葉を聞いて、確かに。と思う。

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