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autumn

 雅之の疑念を晴らす糸口が見つかったのは、意外な所からだった。服部が彼に熱い視線を送るようになってから一週間が経っていたが、相変わらずそれは続いていた。

「知らなかったね。」

 雅之は学校の帰りの道中、幸彦とコンビニの前で話込んでいた。

「いや、どれだけ雅ちゃんテニスバカなんだよ。有名だったよ」

 幸彦はイチゴ牛乳に刺さったストローを吸いながら言った。

「で、どうなんだよ?東田とは」

「どうもこうも…普通の同じ部活の仲間だよ」

 話題を変える幸彦に、雅之は呆れて答える。あの雨の日の出来事を誰かに見られていたらしい。高校生の噂とは恐ろしいもので、翌日には「テニス部の北川と東田がつきあっている」という噂が出回っていた。「図書室の前でいちゃついていた」「雨の中部活を抜け出してデートしていた」という、事実に尾鰭をつけた噂がジェットブースターを搭載したラジコンカーのごとく校内を駆け回っていた。

「そのままつき合っちまえよ、東田はかわいいって人気だぞ」

 幸彦は考えを巡らす雅之に言った。事実、手が触れたあの時から雅之は彩奈を意識してしまっていた。先の大会初日での練習すらも、今の彼にとってはむず痒い記憶となっていた。

「あいつそんなに人気なのか?」

「そりゃあな…顔もいいしスラッとした手足、そして誰にも分け隔て無く接する態度…モテないわけが無いわ」

オレもあんな彼女ほしいなーとぼやくように幸彦は残りのイチゴ牛乳を飲み干した。

「で、服部のやつはどうすりゃいいんだ?」

 雅之は本題を切り出す。ゴリさんが雅之を邪険に思う理由がまだ完全にはっきりとはしないが、もう嫌気が指していた。

「まぁ、僕の予想が、当たっていればだけど…」

ゴミ箱に牛乳パックを捨てると、幸彦は雅之を見つめた。

「予想が当たっていれば…?」

「東田と話をしっかりするんだな」

「は?」

 雅之は謎が謎のままだったが、幸彦は「こっから先は人に言われて動くもんじゃない」と取り合ってくれなかった。


 閑話休題

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