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06  合成スキルもやっぱり成立しない


 さて回復魔法で魔物と戦えそうと分かった。

 そして使えそうだと感じたが調べていないスキルがあと一つある。合成だ。


 合成スキルはいくつかのアイテムを組み合わせ別のものに変えるスキルである。

 比較的強力なスキルでかなり希少ではあるものの、組み合わせによって全く関係ないものになることはなく、ポーションを2つ合成すると質の良いポーション、それを10本程度で中級ポーションになったり、食べ物を複数組み合わせて合成し完成した料理にしたり、剣に魔石の力を合成し魔剣が作れてしまったりする。


 魔剣クラスになると失敗する確率が高く、素材の質や運も重要になってくる。

 質量保存の法則が機能していない事が多い気もするが原理は謎である。


 さて現状貴重な素材は持っていないがスキルのテストはしてみたい。

 昔読んだ本では合成スキルを持った冒険者が薬草を合成して少量のポーションを作成したというものがあった。

 薬草であればこの辺りにも何種類か生えているので十分実験できる。

 上手く行けばこれで大きな収入を得ることも出来るかもしれない。


 付近にあった薬草2種類をそれぞれ片手に持つ。

 合成を発動し薬草が消滅する。


 周囲を確認してみると目の前に地面に埋まった剣が現れていた。


 は?


 意味が分からないので薬草の種類を変更し、もう2回試した。

 結果、地面に埋まった剣が3本になった。見た目は同じらしい。


 最初に作った剣を抜いてみようとしたが抜けなかった。

 その後残りの2つも試したが同様だった。

 見た目はそこまで悪く無さそうだが今の自分はこれを引き抜いて装備にしても意味がないだろう。

 もしかすると売れるかもしれないが、かなりの労力が必要になりそうなのでこの剣は諦めることにした。


 薬草の合成は駄目そうなので周りを見渡した結果、木の枝と石を合成してみることにした。

 この2つの合成は聞いたことがないので発動しなかったとしても仕方がない。


 だがスキルは問題なく発動し、木の枝と石が消滅、手に茶色の物体が残る。

 なんだこれ。が、すぐにその正体は分かった。


 不快な臭いが到達し、俺はすぐさまその物体を投げた。

 間違いない、これはなにかの動物の糞だ。


 合成結果は元の組み合わせとあまり関係無さそうに見える。

 このスキルは役に立ちそうにないから封印だな。


 辺りはまだ暗くなっていないが、近くの街で宿を取ることを考えるとそろそろ限界だろう。

 俺はこの森を離れることにした。


- - - -


 伝説の抜けない3剣


名もない小規模な森を少し入った場所に3本の剣があった。

 その剣はいつからあったか分からないが、大半が地中に埋まっていた。

 柄を見る限りではかなり良い剣に見える。


 その場所を訪れた何組かの冒険者達がその剣を抜こうとした。

 しかし誰にも抜くことは出来なかった。


 いつしかその剣は有名になり多くのものが訪れるようになり、しっかりとした道が整備された。

 だが、神聖な場所とされ近くに人が住んだり建物が建つことはなかった。

 多くの者がその剣を抜くことに挑戦したが、結局成功するものは現れなかった。


 ある者が周りは土だから掘ればいいのではと提案した。

 それはないだろうという者も多かったが、3つもあるから一つぐらいは有効活用してもいいだろうと掘ることになった。


 周囲は問題なく掘れた。しかし剣が空中に浮いただけで、結局その場所から動かすことは出来ず埋め戻すことになった。

 だがこの剣が神聖な力を持っており、選ばれたものしか使えないことはこれで完全に証明された。


 名もなかった森はいつしか聖剣の森と呼ばれるようになった。

 選ばれた者のみがこの剣を抜けると言われている。


- - - -


設定に関する補足


 3本の剣ですが、それがそこに存在していること以外は定義されていないので、当然選ばれたものは現れることはなく、抜く方法はなく装備できたとしても威力はありません。

 ガーピーであればバグを利用して装備できるかもしれないですが…


- - - -


if この物語を早く終わらせる方法 2


 ガーピーは合成の検証を続けていた。

 合成スキルで出てくるものは合成に使用したものと全く別物であり、通常の合成とは根本的に異なるものだった。

 組み合わせる数を変えると結果は無限大である。

 時間が過ぎるのも忘れ、夜が来ているが何か有用なものが作れないかと手あたり次第に試していた。


 そしてそれは突然生まれた。

 それはなんと呼ぶべきだろうか。

 無なのか、nopなのか、nullなのか。


 それは周囲の物質と相性が悪く、周りを蝕んでいく。

 その存在はどんどん広がっていく。


 森を飲み込み、街を飲み込み、大陸を飲み込み。

 人々に抵抗の手段はなく、逃げる時間も許されず、程なくして惑星が消滅した。


 それは当然惑星外も侵食していく。

 他の惑星の住人ですら当然これを止めることが出来ない。


 それが生まれた時点でこの世界の寿命が決まった。

 猶予は非常に短い。

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