05 魔法での戦いも成立しない
HPに関してひとまず0を1回下回ったぐらいでは問題ないと分かったが、本当に0になると死ぬのでこれで一度終わり自分の魔力について調べてみることにした。
これが駄目なら俺は完全な役立たずだ。
少し前にゴブリンがいた場所に戻ってみたが、周囲を探した限りではもういなかった。
木に攻撃をして吹き飛ばされての繰り返しに時間を掛けすぎたのだろう。
太陽の位置を確認してみると夕方まではまだ時間がありそうなので別の魔物などを探してみることにした。
木で魔法を試しても良かったかもしれないが、火の魔法で大火災になる可能性も否定できないので魔物で試したほうが無難だろう。
残念なことに大火災になる可能性は凄く低いんだがな!
暫く歩き回るとまたゴブリンが見つかった。
大きさはさっきのゴブリンと同じぐらいだが、体に傷があり他も少し違うような気がするから別個体だろうか。
俺はゴブリンからやや遠く木などの障害物が少ない位置を選び、暫く待つ。
ゴブリンの動きがほぼ止まったタイミングで魔法を使う。
使用する魔法はファイアを選んだ。
火を出す魔法だが、位置指定すれば魔物を直接焼くことが出来る。
ファイアボールをぶつけるより威力が劣り、通常の構成であれば発現時間が短すぎて魔物を倒すには向かないのだが、消費魔力が少ないだけでなく、詠唱や魔法陣などの構築時間が短いだけでなく相手に到達するまでのタイムラグもほぼないので避けられる可能性や移動している相手に対し誘導する必要性が低い。
ちなみに火をおこす時はこれの更に下の基礎魔法ミニファイアが使用される。
これに関しては今の自分では詠唱した方が威力が上げられるが、ここでは相手に気付かれないよう無詠唱にする。
なんだろう、以前よりかなり早くなった気がする。
『ゴーーー』
魔法を発動すると激しい風のような音がした。
おかしいな、ファイアストームならまだしも、ファイアでこんな音が出るはずがない。
本来は相手を赤い火で焼くのだが、色は黒で元々使えたものと変わってしまっている。
黒い炎って一体何なんだ。邪悪な感じはないので暗黒魔法では無さそうだが。
形状に関してはちょっとおかしい気もするが、ファイアを使った場合とほほ同じなので一応ファイアを使ったことになるのだろう。
MP -3/-1
MPに関してはしっかり減っている。やはりHPと同じく正しい数値では無さそうだ。
ちょっとおかしいが魔法自体は使用できた。しかし問題は魔法の効果だ。
本来大きなダメージは与えられないはずだがこの程度の相手であれば部分的にやけどをしたりダメージを受けた影響で怯む、怒り出す程度の反応を見せるはずだ。
だが、その様子は見られず魔法を受けたことに気付いていないように見える。
全く効かなかったのだろうかとゴブリンを観察してみるが、一つ気付いたことがあった。
傷がなくなっている?
ゴブリン自体もかなり元気になっている気がする。
まさか魔法を受けて回復したのだろうか?
冷静に考えてみよう。
今魔力値はマイナスだ。
稀に生まれる魔力0の人は魔法を使えないとされている。
それを下回るマイナスにも関わらず魔法が使えた。
となるとマイナスになっている影響で効果が反転している?
試しに氷魔法のアイスビットを使用してみる。
氷の小さな欠片を相手にぶつける魔法であり、消費と威力のどちらも低く、ぶつける要素を排除してお酒に入れる場合もある。
発動すると普段より形状が整った四角い赤いものが飛んでいく。
色はおかしいがこれも多分アイスビットなんだろう。
『グサッ』
ゴブリンに当たった際刺さったような音がしたが、本当に刺さっている様子はない。
そしてゴブリンは相変わらず反応が薄い。
既に目に見える傷がなくなっていたので状態が変化したかは分からないが、やはり俺の攻撃魔法で回復している可能性が高い。
俺はヒールを使用することにする。
初歩の回復魔法でありながら比較的苦手としているが、今回はいつもより短時間で準備が終わった気がする。
ゴブリンから斜めに緑の線が現れる。音は特にない。
他の魔法と比べて原型を留めていないが多分あれがヒールだったんだろう。
その後ゴブリンが倒れる。
近付いて確認してみるが、完全に死んでいるようでどうやら有効だったらしい。
ということはこの回復魔法は攻撃魔法として有効だ。
しかし大きな問題がいくつかありそうだ。
一つ思いつくのが他人がこの魔法を見た場合、理解できないということだ。
少なくとも冒険者になってパーティーを組むのは無理そうだ。
もう一つの問題はこのゴブリンが無傷なことだ。
俺が倒したのは確かであるが、ギルドに持ち込んだ場合倒したことが認められるか怪しい。
だがMPに余裕があるし変な魔法だけど思ったよりは有効だし、冒険者としてやっていけるかも?
この後に身体強化の魔法を試してみたが、MPは消費したものの、効果が無さそうだった。ということは弱体化の魔法も恐らく効果がないだろう。
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設定に関する補足
ガーピーの魔法はマイナスで威力が反転していますが、魔法の習得レベルが崩壊している影響で効率化され、基本威力が凄まじく高くなっています。
そのため想定以上の効果となっています。
強化や弱体化に関しては原理の都合上で無効になっている。という設定。