第二話 剣は血とともに その2
「それで泣き寝入り気味で帰ってきたってわけね」
「お嬢、笑い事やないで。僕かて好きでボコられたワケとちゃいますわ」
紅茶を片手に微笑む少女、お嬢にゲンジュウロウは少しふてくされた態度をとる。
「いいじゃないの、それよりもあの町の状態はどうだった?」
「お嬢が好きそうな真っ黒な街でしたわ、治安も経済状況も見たところ良くありまへん」
「そう」
彼女は紅茶を飲み干し、ソーサーとともにカップをテーブルに置く。
そしてゲンジュウロウの方へ顔を向けると優しい口調で命令をした。
「それじゃあ、また行って頂戴ね」
「はぁ?」
「あの町には良いレースの職人がいるの。依頼をお願い」
「……わかりましたわ」
彼女の言葉にゲンジュウロウはただうな垂れながら頷くしかなかった。
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「というわけで爺さん、お嬢の依頼をお願いしますわ」
「はいはい、受け取りは三日後でいいかい?」
「ハイな、よろしくお願いします」
目の前にいる人が良さそうな白髪頭の老人に何度も頭を下げた後、店を後にする。
店から出るとペティが近付いてきた。
流石に今回ばかりは奪われたらいけないのか、ゲンジュウロウはわざわざ騎士の詰め所まで行き、彼女を呼び寄せたのだった。
「終わったの?」
「はいな。いやぁ、助かったわ。ペチ様」
「ペチじゃなくてペティ! それに完全に砕けた口調じゃないの! それくらいなら無理に様を付けなくていいわ」
「分かりましたわ、それならザックバランにペチと呼びますわ」
「うん、それでいいわ」
「で、ペチ。僕のお金のことなんやけど……」
「……ごめんなさいね」
「さよか。この町に来るのは二回目やけど、みんな暗い顔してまんな」
「当然よ、最近不景気でみんなの心が荒んできているのよ。貴族も引きこもって私腹を肥やしてるらしいし……本当に嫌になるわ」
俯き気味になるペティにゲンジュウロウは言葉を失う。
流石のゲンジュウロウも彼女がこの町に対して、落胆をしているのは手に取るように分かった。
「なるほど……。なら僕はここで失礼しますわ」
「ええ、今度はお金をとられないようにね」
「はいな」
町の外のペティに手を振りながら屋敷へそのまま向かう。
重い扉を開け、広間にいる彼女に声をかけた。
「お嬢、頼んできましたで」
「ありがとう」
例を言う彼女の目の前に水晶玉があった。かなり大きく、肩から上がその水晶玉に覆われている。
しかし水晶玉は不純物が多いのかかなりひび割れており、中は真っ白であった。
はっきりと言えば普通の占い師が使うような透き通ったものではない。
「めずらしいでんな、お嬢が占いをするなんて」
「最近力が戻ってきたからもの、まあ訓練の一環ね」
何かを撫でるかのように水晶玉に触れると玉から蒼白い光が放たれた。
何かを租借するかのように顔を上げ、ゲンジュウロウのほうへ視線を送る。
「あら……レースの屋の主人。殺されるわね」
「ええ!?」
「相手は……あら、あなたを殴った男たちね」
「どらどら……」
ゲンジュウロウも水晶玉を覗き込む。
そこには男たちが主人を襲う様子が移っていた。
刃物が振るわれるたびに地しぶきが飛び散り、鬼気迫る表情で主人を乱暴する。
その緊迫した様子を、まるで映画か何かを見るかのように見ている二人。
「ほんまや、これもお嬢の力でっか?」
「ええ、おそらく二日後の夜ね」
「それは予言でっか?」
「ええ、もちろん」
予言、彼女の能力だった。彼女の予言は絶対。
くじが当たるといえばくじが当たり、亡くなると言えばその日のうちに確実に亡くなる。
正確に言えば運命すら彼女は操れた。
「まあ、とりあえずのお楽しみにしましょう」
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三日後。ゲンジュウロウがレース屋の店の前まで来ると人だかり出来ていた。
何が起こったのか分からぬまま、ペティを見かけると声をかけた。
「ペチ、なにがあったん? 注文したレースを取りに来たんやけど……」
「……レース屋の主人が殺されたわ」
「ころ……ってアレでっか? 血がブシャーなるアレ……」
「ええ……」
言い回しはジョークを思わせるようであったが、事実だと告げられると流石に言葉を失う。
「犯人は? いったい誰や?」
「それは……」
言い淀むペティの態度にゲンジュウロウは全てを察した。
「まさか、またサッド団でっか……?」
「ちゃんと犯人を捕まえるから! お願い! もうちょっと待って!」
「……わかりましたわ」
苦渋に満ちたペティの顔を見てゲンジュウロウはただ頷くしかなかった。
レース屋の遺体がちょうど運び出されるとき、路地の奥で顔に手を当てている一団を見つけた。
サッド団の男たちだった。ゲンジュウロウは彼らがまるで笑いを殺してるかのような仕草に眉をひそめる。
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「お帰りなさい」
「ただいま帰りましたわ」
読書にいそしんでいる彼女。
帰宅をして最初に浴びせられた言葉がこれだった。
「なかなか面白いことになってるわね」
「笑い事やないで。お嬢が楽しみにしてたレース屋の主人。亡くなられましたわ。お嬢の予言通りに」
「そう」
ゲンジュウロウの報告に既に興味を失せたのか、彼女は再び読書へと戻る。
「レースの件、どないします?」
「そうねぇ、ほとぼりが冷めたら受け取りに言って頂戴」
「……主人を殺した奴、捕まるんやろか?」
「捕まらないでしょうね、身代わりを出してお終いよ」
「さよかー」
疲れを感じたのかゲンジュウロウはポットにあるお茶をカップに注ぎ、一気に飲み干す。
飲み干したカップをテーブルに置くと顔を上げて一息を付いた。
「あー、やりきれないわー あのサッド団とか言う奴ら、腹が立ちますわ」
「でしょうね、強請りにたかりに殺人に強盗、おまけに裏金の運搬までやってるわね」
「なんや、あいつら……チンピラの癖に妙に手広いわ」
ゲンジュウロウは腰にある剣にやたらと触れている。
イライラするときに彼がする癖であった。
「……せっかくだし、後でペティって子に差し入れに行ってやりなさい」
「ええんでっか?」
「お世話に対して御礼をするのは筋というものでしょう?」
「せやな」
彼女が二回ほど手を叩くと黒猫獣人のメイドが現れた。
「お呼びですかい、お嬢」
「ゲンジュウロウのために菓子折りを用意して頂戴」
「かしこまりやした」
メイドは頭を下げると奥の方へ下がっていった。
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翌日、メイドに手土産を持たされたゲンジュウロウは騎士の詰め所へやってきた。
今日はデスクワークがメインなのか、椅子に座って書類仕事をしている。
しかしどうにも浮かない顔をしており、やたらとため息をついていた。
ゲンジュウロウはそんな彼女に声をかける。
「ペチ、何やお悩みですか?」
「そうじゃないの、レース屋の主人を殺したのは自分だって出頭してきた奴がいるんだけど……」
「どうにも納得がいかん、わけですかいな」
「証言も矛盾してないし……どこにも……」
「さいでっか……。まあこいつでも食って気合を入れなおすことやな」
「これは?」
ペティの目の前で手土産が詰まった箱を開ける
中に入っているのはドーナッツであった。
チョコレートや白や黄色のクリームが入ったもの。実にさまざまだった。
「ドーナッツや、お嬢のおもてなし用のお菓子っちゅうわけやね」
「……貰うわ」
「……せや、僕も取り調べの様子みたいわ。ええやろ、ペチ」
「ええ!? まあいいか」
二人は取調室へと向かう。
出くわした人物にゲンジュウロウは思わず声をあげた。
「おまえは……」
「あれぇ? 俺に土下座したヘビ男じゃん」
バンダナを巻いたリーダー格の男だった。
椅子を横に座り、ふざけた態度でずっと取調べを受けている様子である。
ペティは再び席に着く。
「で、ちゃんと説明しなさい!」
「だから爺さんが俺に向かってきたわけ! ンで俺は反撃をしたの! 正当防衛って奴!」
「嘘をつきなさい! なんであんたがレース屋に用事があるのよ?」
「俺にだって彼女ぐらいいますからー、っていうかそれ事件と関係あるわけ?」
「あるから聞いてるんじゃないの!」
「まあ、まてや」
茶化されて完全にもてあそばれているペティにゲンジュウロウが割って入った。
「で、ほんまのことを教えてくれへん?」
「本当のことって?」
「お前……何か隠してるやろ?」
ゲンジュウロウが男の目を睨み付けると男もまた自然と口を開いた。
向こうも何か違和感を感じ取ったのか、視線をそらしてかったるいと言った顔で首を左右に振る。
「別に何もー?」
「ほんまかぁ? お前ほどの奴がなんもせぇへんかったわけないやろ、あの爺さんはそこそこ喧嘩で鳴らしたらしいでぇ」
「へぇ、そいつは初耳だな」
完全に大嘘であった。ゲンジュウロウの話は何一つ真実は無い。
しかし意にも返さず話を続けた。でまかせ、大ボラ、冗談を入り混じり相手を休ませることなく話し続ける。
「それだけやないで、実は――」
「んなバカな……それだったら――」
男の方はまるで何かに乗せられているかのようにゲンジュウロウの話を聞き入っていた。知らず知らずのうちに口数も多くなり、ついに男は口を開いた。
「で、マクベスの旦那がさぁ……」
「ちょっとちょっと!? 今、あんたマクベスって言ったの!?」
「そうだよ、俺の背後にはマクベスの旦那が付いてるんだよ」
「なんや、マクベスって?」
「マクベスって言ったらこの町の貴族よ! それがなんで……」
「マクベスの旦那はレース屋の主人に頭が上がらなかったんだと。何かと付けて比べられてさぁ。それにあの爺さん、ああ見えて結構やり手で地道に金を稼いでたんだよ」
「つまり小金持ちやったってことか?」
「おお、その証拠にでっけぇ袋の中に金貨の塊がたくさん入っててよ。それでみんなで山分けってわけ」
「そんな……」
金貨の塊はゲンジュウロウが持ち込んだレースの料金であった。
ここ最近で大金を支払ったのはゲンジュウロウしかいない。
「でもまあ、俺がやったって言っても証拠は全部一致しないし、マクベスの旦那にたてつくバカはいないだろ? つまり俺の勝ちってワケ」
高笑いを挙げる男にペティは怒りを隠せない。
殴ろうと拳を振り上げるがゲンジュウロウはそれを制した。
「まてや、こいつを殴っても何の解決にもならん」
「そうそう、殴ったら騎士失格、だもんねぇ。最近多いよなぁ、騎士の不正? 不祥事? まあどっちでもいいか!」
「ぐっ……」
騎士の不祥事はここ数年増えていた。
犯人の見逃し、隠匿。裏金の受け取り。そして誤認処罰。
民衆からは騎士の評価は芳しくは無い。もっとその上にいる貴族はもっと評判が悪かったが。
「とにかく後は牢屋に入れといてくれ。こいつは後でしょっ引けば良いだけや」
「へいへい、大人しくしますよー」
そっぽを向く男にゲンジュウロウはペティを引きずるかのように取調室から連れ出した。
部屋の外に出ると苛立ちを隠せないのか地団太を踏むペティ。
「ああもう! どうしたらいいのよ!?」
「天の裁きに任せるしかないわな」
「神様なんて……頼りにならないわよ!」
「せやな……」
押し殺していたものが飛び出したかのようなペティの言葉に、ゲンジュウロウも大きく頷いた。
その顔はどこと無く真面目だった。
悔し涙を浮べるペティにゲンジュウロウはかける言葉がないのか頭を掻く。
「まあ、僕はこれで失礼するわ。ペチ、今日はありがとうな」
「……ありがとう……か、その台詞は事件を解決した時に言ってよ」
「ペチ……」
「ごめん、ちょっと気疲れしてた。ありがとうゲンジュウロウ」
「どういたしまして」
お互いにお礼を言い合うとゲンジュウロウは詰め所を後にした。
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今日も今日とて夜が来る。その日は満月であった。
ゲンジュウロウは屋敷の廊下を歩いている。
手に持っている提灯の火が揺れる。まるで何かが弾けるかのように。
冷たい風が吹くと提灯の火が消えた。それと同時に主人である少女が立っていた。
「お嬢、何の用でっか?」
「はい、外出許可証。欲しかったんでしょ?」
手渡したのは手のひらサイズの小さなカードだった。
ゲンジュウロウはそれを両手で丁寧に受け取る。
「え? ええんでっか!?」
「ええ、でも……」
「はいな、やりすぎには気をつけます!」
お嬢が闇の奥へ引っ込むとゲンジュウロウは小躍りをしながら屋敷の入り口へと向かった。
「お嬢、やっちまって良かったんですかい?」
「ええ、さすがにそろそろ解放させてあげないと可哀想ですもの。殴られたり嫌な奴にからかわれたり。大変でしょうしね」
「まあ屋敷の中でも剣をカチカチさせられるよりはマシ出さぁね」
「でもゲンジュウロウはやりすぎてしまうことがときどきあるのよね……」
「やりすぎと言う意味でならガルバのおっさんも似たようなもんでさ」
「そうね」
夜の闇の中をゲンジュウロウはひたすら走った。
その動きはまるで豹や隼を思わせる速い速度だった。
町へ着くと自らの得物に手を伸ばす。荒い息遣いを押さえ、周囲を見渡す。
「なんだ、お前?」
「あれ、お前……またかよ」
「何? また俺らに金をくれんの? ラッキー!」
下品な男たちに対してゲンジュウロウは何も言わない。
「おい、黙ってないで何とかい――」
全てを言う前に男が倒れた。
赤い水溜りが地面に作られるが男たちには何が起こったのか分からない。
「え? え? え?」
「おいおい、冗談が過ぎるだろ?」
倒れた仲間を起こしてみる。だが完全にことが切れていた。
思わず死んだ仲間を突き飛ばす。まるでゴミクズかの様に力なくその場に倒れた。
「おいおいおいおいおい」
「お前、何やってるのか分かってんのか!?」
「なんやったっけ? ボク異国人だからワカリマセーン」
「ふざけんな! なんだよ! クソが!」
「調子こきやがって! ぶっ殺してやる!」
「待てや、話し合おう! な?」
「うるせぇ!」
まるで茶化すかのようなゲンジュウロウの言い回しに我慢が出来なくなったのか、ナイフを持ってゲンジュウロウへ向かっていく。
だがその前に男の身体は地面叩きつけられた。
「え? え? え?」
周囲を見渡すとそこにあるのは自分の足だった。
「なんで、俺の脚、あそこにあるの?」
「ほいっと!」
彼は男の腕を蹴り飛ばす。腕はまるで棒切れのように飛んでいった。
「う、うでが……」
「もうええやろ、な?」
そういって最後に首が転がった。
「後はあんさんだけやで?」
「ひえええええええええ!」
最後の男はひたすら逃げていった。
夜の街をひたすら走る男。そして大きな屋敷の前に立つと扉を勢い任せに叩く。
「旦那! マクベスの旦那! 開けてくれよ! やべぇ奴が来た! ロブもジャンも死んだ! 助けてくれ!」
何度も扉を叩いて中に入れるよう懇願する男。
しばらくすると扉が開いた。そのことに一息を付く。
だが扉が開いて中に迎え入れたのは……ゲンジュウロウであった。
「よう、また会いましたわな」
「なぁ、なんでお前がここにいるんだよ!?」
「なんでって? あんさんが言うたんやろ、マクベスの旦那―って」
その場にへたり込む男。
あまりのことに考えが追いつかないのか、顔からは生気が失せていた。
「せっかくや、ほれ」
「え?」
そういってゲンジュウロウは男に向かって何かを投げ渡す。
ぶよぶよとしたやわらかい感触。見るからに醜悪な悪人面。
男に手渡されたのはマクベスの首であった。
「ひゃああああああああああああああああ!」
そして情けない叫びとともにマクベスの首を後ろに放り投げる。
「なんや、お世話になっとる人を放り投げて……無礼もほどがあるで!」
「ああああああああああああああああああ……」
もう言葉すら発せなくなった。目をも開いたまま、抵抗を何一つ出来なくなっている。
見苦しいと思ったゲンジュウロウはそのまま首を刎ねた。
「よう言うやろ、自分がされたら嫌なことは他人にしてはいけまへんって」
剣を鞘にしまうと男は笑い出した。
喜ばしい狂気、それだけがこの男の心を満たしている。
「これだからやめられませんわ! 人殺しっちゅう奴は!」
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翌日、彼女から事の顛末を見届けろと言われ、町に来た。
町はなにやら騒がしい様子だった。走り回っているペティを見かけると声をかけた。
「ペチ、なんかあったんか?」
「あれ見てみなさいよ、あれ……」
「……なんやぁ、あれ」
”この者、悪逆の徒に付き天罰を下す。”
そう書かれた看板とともに無数の首がいくつも並んでいた。
マクベスだけではなく、サッド団の男たちも。さらに屋敷にいた兵士たちも。
あまりのことにペティの顔色も良くない。
「いったい誰がこんなことを……」
「こわいわぁ……ホンマにこわいわぁ……」
「大丈夫よ、いざとなったらあたしが護ってあげるから」
「たのみまっせ、騎士様」
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「ただいま戻りましたわ」
「お帰りなさい」
紅茶を手に今度は新聞を読んでいた。
「お嬢、なんやそれ」
「新聞に決まってるでしょ?」
「新聞……ってそないなもん、始めてみましたわ。何新聞?」
「世界新聞、私が知りたいことを教えてくれる素敵な新聞よ」
「スマホ持ってる癖してこういうところは古風ですなー」
「それよりも昨日、派手にやったそうね」
新聞の一文を彼に見せる。
謎の殺戮! マクベス卿惨殺!!
本日未明、屋敷の中にいた兵士。そして主であるマクベスが死体となって発見された。
騎士団の調べでは鋭利な刃物による凶行と断定。
生存している使用人の話では突然身体が真っ二つにされた、という話も出ている。
詳しい報告が入り次第追記をする。
町の人間たちの情報をまとめたものだった。
「ああ、あれでっか? あれは……まあいわゆる勢いですわ」
「勢いねぇ……」
「所でお嬢、ボクの後処理したのお嬢やろ」
「あら? 何か不満でも?」
後処理、すなわち首を並べ見世物にしたのは他ならぬ彼女であった。
そのことにゲンジュウロウは抗議の態度を取る。
「個人的にああいう悪趣味はやめて欲しいわ。冷めるっちゅうか……。恥ずいっちゅうか……」
「そうね、ちょっと自己主張が過ぎたわね」
「天誅とかそういうかっこつけはいらんねん、扉を開けたとき、これはいったい!?っちゅうのがボクの考えるシナリオですわ」
「変なところにこだわりがあるわねぇ……」
ため息をつくと新聞を四つオリにしてテーブルの上におく。
珍しく隣にいたガルバも不機嫌な顔になる。
「あーあ、俺も暴れてみたかったぜ」
「何言うてんねん、ガルバはんは寝て込ましてやろが」
「うぐ……」
「暴れるのは良いけどここでやるのはやめて頂戴ね」
「はいな」
「あいよ、ガブリエル様」
ガブリエルと呼ばれた少女は大きくあくびをする。
「じゃあ、後のことはよろしく」
「おやすみ、お嬢」
「良い眠りを……」




