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七話 さらばリリア! バカ貴族と金のゴーレム現る! その3

 外壁から降りるとすぐさまギルド長のところへ駆け寄る。


「ギルド長! 例のアイテムを貸して!」

「リリア!? 裏切ったのか!?」

「何言ってるのよ! 相手を罠にはめるのよ!」


 あたしの突然の提案にとんでもないことを言い出すギルド長。

 まあこの状況で例のアイテムを寄越せって言われたら当然か。

 でも今はそんなことを言ってる場合じゃない。

 あたしはギルド長にアイツのことを一通り説明をする。

 遠距離攻撃無効のこと。ドロが嫌いな綺麗好きなこと。そしてあたしが考えた罠のこと。


「なるほど、だが上手くいくと思うか?」

「わからないわ……。でも、上手く言ったら儲け物でしょ?」

「……そうだな。リリア、君に任せる」


 ギルド長が大きく頷いた。そして例のアイテムを手渡された。

 ……これが黄金を無限に生み出すアイテムか……。

 見た目から言って、バカでかい金色の鉄アレイというか砂時計みたいな形。

 重さはそれほどじゃない。大きさお皿くらいの重さ。

 それでも不気味な感じがするのも否めないわね……。

 とにかく作戦開始だ! あたしは例のアイテムを手にあの貴族の元へ向かう。


 罠と言っても大したことはない。

 逃げるあたしを追いかけて貴族が折ってくる。

 そのとき奴の通路に水をまく。泥はねを嫌がって蛇行を行う貴族。

 そのうちお神輿の人が足取られて身動きがとれなくなる。

 その隙に捕縛トラップを発動させて、身動きを奪う!

 あとはフルボッコのタコ殴り! うん、完璧!


 そんな構想を描きながら戦場へ再び舞い戻った。のだが……。



「………ぐえー」



 あたしが来たときにはもうバカ貴族はボロボロだった。

 お神輿はボロボロ、当の貴族は尻を突き出してバカみたいなアヘ顔をさらしている。

 顔のいたる所に青あざがあった。おまけに鼻血まで出して……。

 あーあ、よっぽど強く殴ったのね。

 あたしはすかさず近くにいる冒険者に聞いてみる。


「一体何があったのよ?」

「そりゃあ……なぁ?」

「何か神輿の奴らが裏切って、神輿がひっくり返って……」

「上にいた貴族が放り出されてなぁ……」

「けど遠距離攻撃が効かねぇっていうんだから……」

「数に任せて袋叩きにしてやっただけだけど」



 ………えええええええええええええええええええええええええ!?



 あまりのことに肩を落とすあたし。

 これからやるはずだった華麗なる活躍は、あっさりと無しにされてしまったのだ。

 ふと周囲を見渡してみると、神輿を担いでいた人たちが冒険者達と酒盛りをしていた。

 戦争なんて馬鹿らしい、と楽しげにお互いに酒を注いで飲み交わしている。


「あーあ……。あたしは一体どうしたら良いのよ?」


 そう思った矢先、黄金を生み出すアイテムの様子がおかしい。

 妙にピカピカ光って……点滅をして何か信号飛ばしてる感じだった。


「な、何!?」


 それと同時に小さな地震起こった。

 そして地震が収まると山の一部が吹き飛んだ。


「なによ、あれ?」


 土煙が立ち上る中、山を吹き飛ばした何かがゆっくりと動き出す。

 風で土煙が晴れると出てきたのは金ピカ、というより黄金の塊。

 それが悠々自適に歩いているのだった。


「ゴールデンゴーレムだな。いやぁ、金ピカが眩しい」


 のほほんと言われているが、あまりにも大きい。

 山を吹き飛ばすくらいだから当然なんでしょうけど……。

 おまけになんか不格好だ。

 首がないというか、胴体の部分に顔があるといったほうが正しい。


「いや、ゴーレムは良いけど……なんか大きすぎない?」

「ああ、大きいな」


 いや大きいと言うにも限度がある。もはや一種の塔。それくらい大きい。

 そのゴーレムが地響きを上げながら、ゆっくりとこちらへと近づいてきている。


「なんかこっちに近づいてきてるみたいなんだけど……」

「……みんな! 逃げろぉ!」


 一人の冒険者の声でみんな一目散逃げていく。もちろんあたしも。

 ふと、視線を落とすと手に持っているアイテムが何度も激しく点滅をする。

 これって、アニメとかゲームとかでよくある、共鳴現象ってやつよね?


「まさか……あのゴーレムはコレがお目当てなのかしら?」

「ああ、っていうか絶対にそうだ! で、どうする?」

「どうするって……こうするしか無いでしょうが!」


 あたしは倒れているバカ貴族の前にアイテムを置く。

 そしてバカ貴族に向かって叫びながら再びゴーレムから離れようとする。


「あんたが欲しかったものよ! ゴーレムと一緒に持って帰って頂戴!」

「誰がいるか! あんな”おまけ付き”だとは聞いてないぞ」


 そりゃあそうだ。あたしも聞いてない。

 というかみんな聞いてない。持ってきた冒険者も聞いてない。

 つまり誰も知らないのだ。あのゴーレムとアイテムのことを。


 そして置いていかれたバカ貴族の前にゴーレムが現れた。

 大きな足がバカ貴族の前に迫る!


「ぎゃああああああああああああああああ!」


 虫でも潰すかのようにバカ貴族はゴーレムに踏み潰されてしまった。

 遠くから聞こえる音を聞き、あたしは思わず振り向いて見る。

 ……良かった、地面に人の形で沈んでいるだけだ。死んではない。

 こう言っちゃ何だがあたしより強いというのはこういうことらしい。


 しかしゴーレムは止まらない! 今度はガイアの街を目指してひたすら進んでいく。

 あのアイテムを持って帰ってくれれば元の場所に戻るというわけではないらしい。


「どうすんのよ!?」

「俺たちにも分からん!」 


 あんな馬鹿みたいにでかいゴーレムに対抗策なんぞ何一つ無い。

 バズーカは……外壁の上に置きっぱなしだった!

 というかあんな金の塊にバズーカが効くとは思えない!


「DE! なんとかならないの?」

【オーバードライブを推奨します】

「オーバードライブって何よ?」

【オーバードライブはアバター七人の能力をすべて使える能力です】


 アカネの技やヴェルダの無敵の肉体が使えるのか……。

 たしかにあれなら金のゴーレムを絶対に倒せる保証はある。

 ……上等じゃない。やってやろうじゃないの!


「DE、申請するわ。オーバードライブ!」

【了解しました、オーバードライブを始動します】


 腕についてる小さなディスプレイにオーバードライブ始動中と出ている。

 これでオーバードライブ状態なのかしら?

 なんかこうオーラみたいなものとか、姿かたちが変わるとかがない。


「……なんにも変わった様子はないんだけど?」

【戦えばわかります、狙う場所はゴーレムの頭部です】


 悩んでいても仕方がない、あたしは走ってくるゴーレムへ向かっていく。

 ある程度距離が近づくと自然と構えを取るあたし。

 それにしても頭部って言われても……。

 あのゴーレムには頭部に当たる部分がない。

 胴体の部分に顔があるからあそこが頭部なのかしら? せっかくだから試してみるか。


「でぇぇぇぇぇぇい!」

 

 大きく大地を踏み、ジャンプをする。そしてそのままパンチを繰り出した。

 あたしの拳がゴーラムの胴体、ならぬ頭部に当たった。

 手から伝わる硬い感触とともに体の一部、金のかけらが周囲に飛び散る。

 殴られた衝撃でゴーレムがまるで人間みたいにその場に尻餅をついた。

 いける! コレなら張り倒せる! 着地と同時に再び構えを取る。


「え?」


 普通に立ち上がると思いきや、ゴーレムは器用にハンドスプリングをした。

 ジャンプしたゴーレムの足が、あたしの目の前に迫ってくる。

 回避することもできず、当たり前のように踏み潰されるあたし。

 目の前が真っ暗になり、土の匂いが鼻をくすぐる。

 

「リリア!」

「リリアさーん!」


 遠くでリックとミリィが叫び声を上げてる。

 けど、あたしの身体はピンピンしていた。どこも全く痛くないのだ。

 ……すごいわね。こう言ったらあれかもしれないけど、今のあたしは完全に無敵!

 暗い地面の中でそんなことを思いながら、目の前の足を力技で押し上げる。

 ゴーレムの方もなんとか踏み潰そうとするがあたしのほうが力が強いらしく、あっさりとその足を退けた。


「おお! なんて馬鹿力なんだ!」

 

 足を力任せに押しのけ、地上に出るとそのまま手のひらを大きく前に出す。


「フラッシュ・バスター!」


 叫びと同時に手のひらから閃光は放たれる。

 閃光はゴーレムを砕き、その場に横たわらせた。

 おお、ちゃんと使えるんだ! せっかくだ、このまま一気に決める!

 他人の技が使えるということに喜びながらひたすらパンチやキックで攻撃を加える。

 ゴーレムも殴りかかってくるけどあたしには当たらない。というか、先が読めてしまっている。

 何度も殴ってるうちにゴーレムにヒビが入った。


「最後くらいは自分の技でいくわよ!」


 手のひらから不思議な紋様が現れる。確か錬金術だったわよね?

 ゴーレムの体の一部、砕いた金色のかけらが集まり、一発の銃弾となる。

 コレをいつもの拳銃に装填し、照準をゴーレムのど真ん中に合わせた。


「いい加減にしなさいよ、この成金ゴーレム!」


 叫びとともにトリガーを引くと黄金の銃弾が放たれた。

 銃弾は金ピカのゴーレムの身体を貫通し、そして爆散した。


「勝ったわ……」


 金のかけらが周囲に飛び散る中、あたしはその場でひっくり返った。


「やったぞ!」

「さすがリリア!」

「やったぁ! 俺たちの勝利だ!」

「やりましたね、リリアさん!」


 みんなの声が聞こえるが、あたしの意識は深い闇へと堕ちていった。



 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「お疲れ様」


 口火を切ったのは他ならぬガブリエルだった。

 そこにはあたし含む七人全員が居た。


「まさか私達の能力を使うとは思っても見なかったわ」

「私の技、役に立ったよね!」

「錬金術、お披露目できて光栄だったッス」

「私は無敵だからな!ふはははははは!」


 それぞれが思い思いのことを口にする。

 が、二人だけ役に立たなかったやつがいる。


「すみません、私、役に立ちませんでしたね」

「別にいいけどさー、僕の力なんてそんなもんだしー!」


 セルリアとマキナがそういった。二人共、完全に不貞腐れている。

 

「でもリリア、私の力を使ったのだからもっとスマートにも物事を成して欲しいわ」

「私の技はもっとこう絞り出すように使うと良いかも!」

「ところであのリックとかいう男はお前の何だ?」

「後でヘンダーソンさんに御礼の品をプレゼントして差し上げないといけませんね」

「あの金ピカのゴーレムいくらで売れるかな?」

「錬金術はとてもデリケートな技ッスよ! くれぐれも悪用しないように!」


 みんな口々に物を言い放つ。この統一感のなさにあたしは思わず震える。


「みんな色々言いたいことがあるのはわかったわ。それでも一言言わせて頂戴!」


 あたしは叫ぶしなかった。


「七人も……いるぅぅぅぅぅぅ!?」

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