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異世界×科学は無双の予感。  作者: 水滴
【第一章】王都内戦闘編
6/18

対冒険者用魔道具が発動しました。

 階段を下ること10分ほど。

 やっと地下の部屋を見つけた。


「よし、一斉に入るぞ、この扉の先はどうなっているか分からない。心して行くぞ」

「入ってからどうする?」

「まずは密集して、警戒を強めていく。すぐに敵が出てくるかもしれないから気を付けるんだ」

「了解」

「行くぞ...3...2...1...」


 勢いよく俺たちが入ると、そこは誰もいない、真っ白の部屋だった。


「ソウタ、隠密の魔法を使っている可能性は?」

「今のところはない。が、油断するな。俺たちがここに来ることはバレているんだ」


 ()()


「何だ!?」


 後ろを振り向くと、先ほど入ってきた鉄製のドアが閉まっていた。


「リグル、この扉開かなくなってる」

「まさか遠隔魔法をどこかから!?」

「それじゃ、私たち閉じ込められたって事!?この扉破壊できる?スフィア」

「私でもこれはキツいかも..です。太い上に魔法で固定されてる」

「じゃあどうすれば...」


 リグル達は閉じ込められてパニックになっている。

 敵の狙いはこれだろう。


「落ち着け。今のは遠隔魔法ではない。ただの魔法だ。魔道具で生み出した異空間に逃げ込んでいるのだろう」

「まさか...魔法鞄(マジックバック)の応用?」

「そんなところだろうな。しかし、問題はそこではない。あそこを見ろ」


 俺は部屋の中心を指さした。

 そこには先ほどまでなかった四角い物体が置いてあった。


「あれ...なんか力が抜けて...」

「これは...体力を吸収されている...?」

「おそらくこの魔道具の影響だろう。効果範囲は狭いが、部屋に閉じ込めてしまえば必殺の魔道具となるという事か」


 割合的には10秒に100ダメージ位だ。

 このままだと、リグル達は3分も持たないだろう。


「うっ...」


 四人はその場に倒れてしまった。

 もう半分以下になっているのかもしれない。


「カッカッカッ!滑稽!滑稽だぞ!冒険者!」


 すると、部屋の上の方から黒いフードを深くかぶった人物が下りてきた。


「これは貴様の仕業か?」

「ほう、まだ立っておれるとは...なかなかしぶといのぅ。楽になってもよいのだぞ?」

「なに、この程度でへばったりはせん」

「カッカ、無理はしない方がよいぞ。もうじき体力値が尽きる頃だろう。冒険者ども、貴様らはこれから生贄となるのだ!魂だけになった体を()()()に捧げるのだ!!!」


 あの方、というのは奴の上司かなにかだろう。

 しかし、リグル達の体力が尽きるまで時間が無い。


 うむ。とりあえず魔道具を壊すか。


「んー?まだ足掻くか...まぁ好きにしろ」



——〈断絶剣(ディスコネクト)〉——


 俺は魔道具に向けて魔法をかけた剣を放つ。


 しかし、魔道具は斬れていなかった。


「カッカッカッ!言っただろう!無駄だ。貴様がどう足掻こうと敗北は決定!既に決定されているのだ!」


 ふむ。断絶剣で斬れない。

 いや、剣ではなく魔法に反応した...


「....反...ま..法...」


 もう虫の息といったところのリグルが呟いた。


「そうか、反魔法とはこれの事か」

「ほう。気付いたか...しかし!気づいたところでもう遅い!この魔道具はミスリルよりも固い!魔法無しで破壊することは不可能なのだよ!!」


 俺はゆっくり魔道具の方へ歩みをよせる。


 そして手のひらサイズの四角形をしたその魔道具をつかみ、()()()


「ば...ばかな...あれを壊す...だと?...それもあんなガキが...素手で...」

「何か悪かったか?」


 俺は倒れていた四人に回復魔法をかけた。


「リグル、お前のおかげで助かった。感謝する」

「...いいや、今のはソウタのおかげだよ。こっちが助かった」

「でも、ソウタくんはなんであの魔道具が効かなかったの?」

「別に効いていなかったわけではない。10秒に100ダメージなど、俺の体力量から考えれば話にもならん」

「やっぱり、ソウタくんは変態です」

「変態ではない。ステータスが高いだけだ」


 俺達が会話をするなか、黒フードの男は顔を見るまでもなく焦っていた。


「くっ...今回はここまでにしておいてやろう」


 とんでもないモブ台詞だな。


「そんな簡単に逃がすわけないだろ。貴様にはこのあと尋問をする必要がある。貴様には上がいるらしいからな」

「カッカ、捉えられるならやっててみよ!」


 そういうと、男は目の前に現れたブラックホールのようなものに吸い込まれていった。


「待てッ!」


 リグルが追おうとするが、俺は彼を止めた。


「あの先は恐らく敵地のど真ん中。1人で行けば一瞬で殺される。今は抑えろ」

「...ああ」


 ブラックホールは一秒もせずに消えていった。

 その場には壊れた魔道具も男の姿も無くなっていた。


「逃げられちゃったね」

「仕方ないです。ソウタくんがいなかったら、私たち全員殺されるか連れ去られるかしてたです」

「そうだ。今日はとりあえず帰ろう」


 俺達が一息つくと、閉じられていた扉の向こうから無理やり開けようとしている冒険者たちの声が聞こえた。


「スフィア、回復直後で悪いが、あの扉を引っ張ってくれるか?俺が補助をする」

「分かったです」


 スフィアはドアノブに手をかけると、身体強化を使った。


「せーので行きますよ?」

「ああ」

「せーのっ!」


 すると、ズズズ、と音を立てながら扉が開いていく。

 俺が使った魔法は、スフィアがかけた力を一点にまとめ、倍加させるもの。


 スフィア単体の力では開かないであろう扉が少しずつ開いていく。


「リグルさんたち!無事ですか!?」

「なんとか、ソウタのおかげでね」

「ソウタくんですか...リグルさんたちよりも強いんすか?」

「圧倒的にね」


 リグルの言葉を聞き、冒険者たちは背筋を凍らせた。


 一瞬固まったかと思うと、俺の方にダダダっと走り寄ってきた。


「さっきはバカにしてすみませんでした!!!」

「命令してもらえば、俺らにできる事なら何でもしますので!!!」

「どうかお許しを!!!」

「お願いします!!!」


 やれやれ、面倒なことになった。


「別に俺は気にしていない。これからも友好的な付き合いが出来ればそれでいいと思っている。だからお前たちも気にしないでくれ」


 こいつらは俺を何だと思っているのだ。

 あえて人を傷つけるようなことをする人間ではあるまいに」


「...友好的な付き合いって...」

「さ...サンドバックとかか?」

「ま...まじかよ...いつまで生かしてもらえるんだろう...」

「い、いや、即殺されないだけいいだろ!慈悲だよ慈悲」


 本当にこいつらは俺を何だと思っているんだ。

 これでは本当に俺が鬼のようではないか。


「皆、まだ依頼は終わってないぞ?この下にいる、攫われた人達を保護しないといけないだろ?」

「で、でも、ここにいたのは下っ端と逃げられた黒フードの男だけ。他は全員逃げてるんだよ?」

「攫われた人達も連れていかれてるかも、です...」


 ふむ。そうだな。

 思った以上にもぬけの殻。おそらく事前にバレていたのだろう。

 という事は、どの経路でバレたのか...


「リグルさん!先に下を見に行ってきたんですけど、皆さんいました!人数確認はできていませんが、ほとんどいると思います!」


 途中で分かれたらしい冒険者の一人が下の階から上がってきた。


「下の状況は?」

「はい、盗賊団に見れる人物はいませんでした。全員同じ檻に閉じ込められて、怯えている様子でした」

「よし!それは待たせるわけにはいかないな!全員、全速力で下へ向かって檻ぶち壊せー!!」

「「「はい!!!!!!」」」



 その後、俺達は地下に囚われていた女性や子どもを一人残らず保護し、王都へ戻っていった。



 一方その頃...



「ももも、申し訳ございません!今回の失態の埋め合わせは必ず!!」

「そんな事は聞いていない。あの魔道具に対抗できる人間とはどのような者だ」

「は、はひ!見るからにはただの子どもですが、逃げ遅れていたら今頃どうなっていたことか」


 玉座の間に似た作りをしたその空間には、男と同じフードを被った人間が数十名、そして玉座に中性的な面立ちをした人間が一人いた。


「しかし、単に一個体が強いだけであれば、我々の計画になんら問題はない。今回利用した盗賊どもは使えそうか?」

「はい、そう強い者はいませんが、()()を使えば、如何様にも」

「では、他の者達も、準備に励め。あの方がお目覚めになる前に、世界を暗黒に」

「「「正義の御心のままに」」」


 冒険者の勝利の裏では、世に蔓延る闇が、ゆっくりゆっくりと根を広げていた。











 今回も読んでいただきありがとうございます!

 

 そろそろ、皆さんお待ちかねのヒロインが登場する...かも?


 感想、アドバイス、お待ちしております!参考にさせていただきます。


 評価も頂ければ、とっっっっても嬉しいです!


 次回の投稿は4月2日の朝9:00です


 世の中、ウイルスが蔓延しております。できるだけ家の中にいましょうね。


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