プロローグ
どうもkudoです。
ようやく『カオスゲート・サーガ』の第1章改訂版が完成したので、今日から順次投稿していきます。
表現方法や内容など、色々な所を書き直しており、以前よりも幾らか読みやすくなっていると思います。
正直作り直している間は結構大変でした。とはいえ、それと同じ位楽しくもあったので苦ではなかったのですが。
それはそれとして、読者の皆様には当作品を読んで頂き、楽しんで頂ければ幸いです。
2021年7/20に内容の大幅修正を行いました。
夜空に輝く黄色い月。その光が大地を優しく照らす中、とある山中に存在する村のとある一軒家の一室にて、一人の少女がその小さな両手で一冊の絵本を抱えながらベッドに座っていた。
「お母さん、お母さん!寝る前にこの絵本を読んで!」
少女はその手に持っている本を目の前にいる人物―――自身の母親に見せる様に差し出しつつ、読んでほしいとせがむ。
「はいはい、分かったよ。お前は本当にこの本が好きだなぁ」
そんな少女の様子にしょうがないなぁと言いたげな苦笑を浮かべた母親は、少女の手からその絵本を―――『大魔王と勇者の冒険譚』というタイトルが書かれた絵本を受け取った。
「昔々、あるところに平和な村に暮らす平凡な少年がいました。少年は農民の生まれで毎日毎日、朝から晩まで畑を耕していました。ですが、少年はそんな日々を苦しいとは思っていませんでした。彼は自分の家族が大好きで、自分の生まれ育った村も大好きだったからです」
少女から絵本を受け取った母親は、少女が聞き取りやすい様にゆっくりと優しい声音で絵本に書かれている物語を読んでいく。
「そんなある日のこと、村に一人の司祭様がやってきました。その日は毎年一度だけ子供達の才能を確認する祝福の儀という儀式が行われる日でした。村の子供達は司祭様の力で自分達が持つ才能を確認して貰い、その多くは戦士や魔法使い等の戦いに秀でたモノであったり、商人や鍛冶師等の生活に根付いたモノだったりしました」
母親は次のページをめくる。
「その中には当然少年もいて、司祭様に才能を確認して貰いました。そしてそこで少年は司祭様にこう言われました。”すばらしい。君は勇者になれる才能を持っているよ”と。それを聞いた少年は驚きました。”まさか、自分にそんな才能があるだなんて”と・・・・・・」
母親は次のページをめくる。
「少年は司祭様に勇者になる事を勧められました。勇者をなることを目指すならば、修行の為にこの村から旅立つ必要があると司祭様は話します。その話を聞いた少年は悩みました。彼は自分が住んでいるこの大好きな村から離れたくなかったからです」
母親は次のページをめくる。
「ですが、少年は旅立つことを決めました。両親も含めた村の皆から勇者になる事を勧められたからです。”皆が望んでいるのであれば、自分は勇者になろう”。そう心に決めた少年は、自分が生まれ育った村から離れる事に寂しさを覚えながらも、涙を堪えて旅立ちました。心の中では、村の皆に誇れる勇者になったら帰って来て自慢してやろう、とそう思いながら」
母親は次のページをめくる。
「ですがこの時、少年はまさか自分がこれから長く苦しい旅路を歩んで行く事になるだなんてこれっぽっちも想像すらしていませんでした。・・・・・・そして彼は、その旅路の途中で一人の少女と出会うことになるのです」
―――「これは勇者を目指す少年と、そんな彼に出会った大魔王の少女の冒険のお話です」―――
以上プロローグでした。
尚、この後にも1時間おきに第3話まで投稿予定です。
とりあえず2日掛けて第6話まで投稿し、それ以降は1日おきに1話ずつ投稿していきます。