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楽しい転生一家  作者: ちょもらん
転生一家誕生
7/7

七、四男はまだ悪役顔ではない

先日、両親はボルボ伯爵家の訪問に僕を連れていった。なんかヤバくなったらお兄様たちに会いたいと泣き叫ぶ仕込みである。どうしたって逃げようがないので、僕はとてもいい子にして過ごした。ただ、肝心のボルボ伯爵は僕の動向より顔の怖い両親の一言や一仕草にびびっていたのでいらない仕込みだったと思う。


はてさてそれでは肝心な本題だが、最終的にこの縁談はどちらもなかったことになる。無茶苦茶意外な結末だ。


レイチェル嬢にはなんかものすごいストーカーがいて、彼女を奪い去るように拐っていったのだ。事件だ、助けなきゃ! と、僕たちは大騒ぎをしたのだが、ボルボ伯爵は「とても娘を愛してくれるやんごとない身分の方なので、このまま嫁にだします」と諦めてしまう。正直、そっちも逃げられない縁談があったのにどうして申し込んできたんだ? と思ってしまったが、女性から告白できない文化的背景から、鈍感ラルフお兄様に最後に思いを伝えるといったイベントであったと女性陣からこの世の常識にあわせて説明された。その文化だとラルフお兄様だけでなく世の男性はみんな鈍感になってしまうのではなかろうか? とりあえず、これで長男の脱落はなくなった。


次にアンネマリーお姉様の件。お姉様の熱心なファンであるフレッドは、結局お姉様に告白することなく次の恋に旅立った。こう聞くとアンネマリーお姉様に問題がありそうに聞こえるが、完全にフレッドに問題がある。

フレッドはアンネマリーお姉様に武道系の授業中に殴られて恋に落ちた。想像つくと思うがフレッドはこれで変態に目覚めている。痛いのが気持ちいい。痛いことをしてくれる人が素敵だ、という具合だ。それで暫定一位の痛さを出したアンネマリーお姉様が彼の中の一番になっていた。なのでアンネマリーお姉様より痛いことをしてしまった、やらかした女性が出てきたのである。


名をマルガリータという。そう、うちの長女がやらかした。ラルフお兄様とアンネマリーお姉様の件を理由に断っているが、ボルボ伯爵が納得してもフレッドは理解しない。現在マルガリータお姉様の婚約者候補たちが争いながらフレッドを防いでいる。いつか候補の誰かにフレッドが恋することを祈りつつ、アンネマリーお姉様は再び静かに暮らせている。マルガリータお姉様は、まあ、一人増えるくらいならお代わりないはずだ。



なんか急に平和になりだした。兄弟七人、いつかは領地にみんなで引きこもるつもりであるが、誰一人安牌な婚約者を確保できてはいない。

僕は一人年が離れているので兄弟たちと王都で暮らすことはできないけれど、みんな仲良く転生ライフを送れるのはとても恵まれているなと幸せな気持ちになれる。できればこのまま平和が続き、みんながいい感じの相手を連れてこれたらいいなとも思う。実は男兄弟たちで誰が売れ残るかトトカルチョをしていて女性陣の人気が高いのは内緒だ。







簡単個別解説


父→結婚十七年、子どもも七人。ここで急に妻も転生者だとわかって愛や恋を大解放。残りの人生、ラブラブリア充がしたい。ついでに子どもたちとわくわく日本村を作る予定。今人生で一番輝いているが、顔は怖い。


母→とっても亡国セミスターカ派な家に生まれて、ステルス一族に嫁いできた人。子どもたちは肝っ玉母ちゃんでしっかりしてると信じているが、実は前世が男性のTS転生者である。流石にこれだけ産んどいて言えぬと黙っている。あけっぴろなアピールをしているが、一番謎が多いミステリアスな人物だ。


長男→ものつくりが好きで仕事も趣味も手仕事な前世をもつ。あまりお勉強やスポーツが好きではなかったが、自由研究になると幾らでも持ちネタがあるタイプ。写真はオーバーテクノロジーと母に禁止されてしまったので今は編み物をしている。ただ、彼が作るのは普通の編み物ではなく写実的な立体編み物だ。3D顔付きヒョウ柄セーターでお外を歩いて怒られる日は近い。ちなみに専門学校ではレイチェルが退学したのでぼっち力がアップ。


長女→中等部最後の年を謎逆ハーレム状態で苦労している。ポールの先輩リストから六人を選び見合いをしたらみんな食い付きがよすぎた。この兄弟たちは気付いていないが、元貴族騎士で結婚相手を探すのはものすごく難しい。平民には贅沢をしる人間と誤解されるし、騎士は生涯現役が許されない職。若い内に彼氏にはいいがと言われる悲しき職である。その辺りを把握していないので猛アピールのとめかたがわからない。マルガリータの友人たちからしたらだめんずに群がられる可哀想な子羊で、とても同情的な目で見られている。三男にだけでなく学校でも不憫枠の称号を得た。


次男→姉の婚約者が決まり次第卒業、赴任の予定なので基本的な訓練だけで過ごしている。前世は柔道と空手をしていたので体術が得意。武器と魔法ありになると次女には勝てなくなるくらいの武力バランス。兄弟で同居しはじめてから、家事ができるのが彼だけだと発覚した。火おこしができないならコンロを作る兄弟と、弁当を買ってくる姉妹のために今日も彼は鍋をふるう。自分とレオナルドが帰郷したらどうするんだろうと気になっているが聞けないのが悩み。


次女→景色に溶け込んでおきながら武力系の学科だけでフルスロットル。最近兄弟たちに暗殺者というあだ名をつけられた。前世はギャルであったことを考えると一番この世に適応したといえる。できれば派手な格好をしたいが、陰気な一族の雰囲気を壊すといけないからコスプレしていると主張した。


三男→兄弟同居をはじめてから、嫌がらせをしてくる同輩を急にみなくなった。多分アンネマリーが暗殺(未遂)をしている気がする。アンネマリーがいれば帰郷せずに卒業できるのでは疑惑があるが、気にせず予定の開始を待つことにした。最近は王宮で外部提携の計画を浸透させようと、先生方が政治面でも鍛えてくれている。その課題として先生の孫娘たちを婚約者にするか損をなく袖にするというものが与えられている。先生いわく、ハニートラップを避けていく術は必修科目らしいが、多分楽しいのと親戚になれたらラッキーくらいの遊び要素が強い。これを次兄に羨ましがられるのが頭痛のたねでもある。


三女→一年後の入学までのんびり実家暮らしを満喫している。前世は双子を抱えて離婚して、職業占い師という変わった経歴をもつ。頭はいいはずなのだが、深いことは考えないように止める癖がある。最近の趣味はラルフの作品集め。綺麗な写真コレクションの他にも木魚、ビーチパラソル、グラデーションに染色して貰ったワンピースなどがある。多分来月くらいにリアル編み物シリーズが届くだろう。


四男→よく喋る一歳児。前世は政経学部をでて政策秘書をしていた。一番領主にむいてるだろうという経歴。一人だけ歳が離れているのでちょっと寂しい。ただ寂しがると兄弟たちがガラクタを贈ってくるのであまり言わずにいる。独身トトカルチョではマルガリータにかけた。


レイチェル→やんごとなき方に強制徴収された。自分と一緒にものつくりをしてくれる旦那さんに嫁ぎたかったのに何も作らない夫と、作れなくなった自分を憐れんでだいぶシリアスムード。でもまあ、そのうち色々判明してラブラブになる王道展開が待っているよ、多分。


フレッド→変態性しか語られなかったが、それを除くと意外といい男。伯爵家次男で卒業後は家にある騎士爵をもらい、中央で政治をする長男の代官として伯爵領の領地運営をする予定。


ボルボ家→長年中央政治で役職をもつ中堅貴族家。長男が中央に残り、それ以外の兄弟で他をカバーするという伝統により、何かに優れた伴侶を連れてくるという謎文化ができている。現ボルボ伯爵の兄弟たちも子どもたちと変わらない婚約劇をしていた。レイチェルがやんごとない身分の方に嫁いだ件に関しては政治理解派と恋愛絶対主義派で親戚内で別れている。これから御家騒動を起こすぞ!


ランバーク王国

うっかり大陸制覇をしちゃった元小国。どうしてこんな大勝利なんて重なったのかというと魔法と道具がすごい優れていたから。大体の国が騎士などの物理戦闘能力で武力を高めるが、ランバーク王国はたまたまその時、魔法戦闘能力に極ぶりだった。魔法使いは攻撃力が高い分防御力が弱いので、防衛戦になると多分負ける。なので攻められそうだと聞いたら先にお邪魔する戦法だった。ちなみにこれは三百年前の話で、なんでまだ亡国派がいるのか中央貴族にはわからない。


元セミスターカ王国

大陸の北にあった亡国。黒髪で彫りが深い顔のヒューマンとずんぐり爺婆姿のドワーフ(この設定にはロリドワーフは存在しない)が住む国だった。なんでそんなにランバーク王国が憎いって尾を引いてるかというと、ちょっと伝承が入る。「セミスターカの初代王は大地の精霊とヒューマンの子で、これによりドワーフという種族が生まれた。大地の精霊は愛する子孫を守っているしこの地はドワーフのために尽きることなく鉱石がわく」つまりドワーフが王の国でないと資源が枯渇すると思われている。元から無限な資源なんて眉唾なのだが。ファンタジー世界のファンタジー脳って病気なのか正常なのか、まずそこから議論が必要そう。


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