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久保田さん
「と、これがお父さんの中学生の思い出だ」
「へ〜!じゃあお父さんはもしかしたら、誰かの妄想かもしれないってこと?」
「なんか妄想って言い方嫌だな…」
お父さんが誰かの妄想なら、ぼくは一体何になるんだろう…?
「そうだ、久保田さんは結局どうなったの?」
みんなの口から突然話されなくなった久保田さん。
彼女はどこに行ってしまったんだろう?
「…さあな」
そう言ってお父さんは、不自然にテレビの前に目を向ける。
お父さんが最後に書いた言葉。
『俺が居る限り、一生生き続ける』
もしかしたら、お父さんにはずっと久保田さんが見え続けているのかもしれない。
「…ぼくもいつか見れるのかなあ」
「は?」
「書き直された久保田さん…つまりはお父さんの理想の女性ってことだよね。見てみたいな…お父さんの妄想」
「だから妄想って言い方やめろ…」
お父さんの話は嘘か本当か分からないから好き。
また明日も聞こう…お父さんのこわ〜い話を。
久保田さん おわり