第1話 ボクがアホの娘に魔法少女のオファーを出したのだが
「やぁ優香! 魔法少女になってみない?」
まったく、この前はひどい目にあったよ。
せっかくみつけた魔法少女候補が27歳だったなんて・・・。
しかも殴られたし。
だから今回慎重調査を進めてから候補者に接触したんだ。
仕事真面目なボクは、どんな状況下でも調査を怠らなかった。
晴れの日も晴れの日も、そしてあるときは晴れの日もあった。
そんな厳しい条件の中で調査を進め、身をボロボロにしながらも発見したのが優香だ。
13歳だ。
いいね、
13歳だ!
物凄い才能だよ。
だって13歳だもん。
ガチ少女ではないか。
「わぁ~、猫ちゃんだぁ。可愛いねぇ~可愛いねぇ~。おしゃべりできるの凄いねぇ~。」
第一印象は良いようだ。今回の交渉は楽勝かな?
いや、ボクにとっては楽勝じゃない交渉なんて無いけどね。
「ボクの名前はジローだよ。ヨロシクねっ。」
「猫ちゃんのお名前はぁ~、今日からマカロンちゃんですっ!!」
「いや、ジローです。」
はい、すみません。全然楽勝じゃなさそうです。
いきなり雲行き怪しいよ。
怪しいどころかピンチだよ。
「あのね? 魔法少女ってわかるかな?」
「知ってま~す! 物事が思い通りに進むという意味で~す!中国の伝説の仙女が~、長~いお爪なのでかゆいところに手が届くというのが由来なので~す!」
「それ魔法少女じゃなくて麻姑掻痒だよ! 全然似てないよ!」
なんだこの娘・・・。
アホの娘で間違いないけど、変な知識はあるのね。
「エクレアちゃん怒っちゃイヤだよぉ~。」
「エクレアちゃんじゃないよ、マカロンちゃんだよ!・・・いや、マカロンちゃんでもないわ、ジローだよ!」
もう帰りたい。完全に相手のペースだよ・・・。
「いいかい、優香。魔法少女っていうのは魔法の力で変身して悪者をやっつける女の子のことなんだよぉ~。」
「おぉー、悪者やっつけるのですかぁ~。凄いです~。どうやってやっつけるですか?」
お、食いついてきたぞ。ここで魔法少女のカッコ良さをアピールすればこっちのもの!
「魔法で攻撃するんだ。ミラクルハイパープリティぴょこぴょこサンダークロワッサンホップステップレモンスカッシュエナジーシューティングふわふわメルヘンアターーーック!って感じで出すんだよ!」
どうだ!このカッコいい技に惹かれて魔法少女になりたくなるはず!
「凄いですぅ~!ミラクルハイパープリティぴょこぴょこサンダークロワッサンホップステップレモンスカッシュエナジーシューティングふわふわメルヘンアターーーック!ですか~!」
いや、お前の記憶力の方が凄いよ。
「るんるんるる~ん らららんっ♪ るんるんるる~ん らららんっ♪
か弱いあの娘にっ し~の~びよるぅ~♪
謎めく魔物とっ く~ろ~い影ぇ~♪
ゆるさー ないわー みーてーなさい~~♪
この手に宿るー パワー放ちー 照らす光ですべてを護るぅぅぅぅぅ♪
ゆーけ! ゆーけ! マジカル優香~~~~~~♪
殴れぇ! しばーけ! わーるーいやつぅぅぅぅ♪
ピンチになったら爆弾つかえ♪
追い込まれたら賄賂を渡せっ♪
マジカルヒ~ロ~インっ! ゆぅうぅかぁぁぁぁぁぁぁぁ♪」
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