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15歳。  作者: 月森優月
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第47章 祭り。

 日曜日、空は快晴だった。明が屋上で待っていると、浴衣姿の里恵と斐羅がやってきた。


「斐羅ちゃん可愛いー」

「へへ、ありがとう」


 斐羅は照れたように笑った。


「アタシはどうなんだよ」


 里恵は黒地に赤い花が描かれている浴衣だ。アップにした髪が、大人っぽい雰囲気を醸し出している。


「里恵も綺麗だよ」

「マジ? やったね」


 里恵はガッツポーズをした。


「明は浴衣じゃないんだな」

「あー、私持ってないんだ」

「そうなんだ」

「斐羅ちゃんも髪上げてると大人っぽいね」

「そうかなあ」

「里恵、斐羅ちゃんと仲直りはしたの?」

「ああ。斐羅が心配かけたくないって気持ち、分かったからな。アタシはいつでも斐羅の味方だから」


 直史が屋上に入ってきた。


「可愛い女子三人と一緒にお祭りだなんて夢みたいだろ?」


 里恵が言うと、直史は、


「お前は論外」


 と言った。


「ふーん、直史、また里恵キックをお見舞いされたいようですな」

「それだけは止めてくれ! あれ、意外と痛えんだよ」


 明と斐羅は笑った。


「じゃ、そろそろ行こうか?」

「おう」


 そして四人は祭りのやっている公園へと向かった。


「あ、かき氷! 食べよーっと。明たちは?」

「あ、私も食べる」

「俺も」

「斐羅は?」

「……どうしようかな」


 斐羅はそう言ったあと、


「だって舌が色変わるんだもん」


 と呟いた。


「じゃあイチゴにすりゃいいじゃんか」


 最もな提案だと思った。


「じゃあ……食べようかな」


 明はメロン、里恵はブルーハワイ、直史はレモン、斐羅はイチゴを食べた。


「くーっ、頭痛え」


 食べ終わった後里恵が頭を押さえた。


「それ、アイスクリーム頭痛って言うんだよ」


 斐羅が豆知識を披露する。


「さあ、次はたこ焼きだ! いや、お好み焼きもいいなあ……ベビーカステラってのも有りかも」


 迷っている里恵を横目に、直史はフランクフルトを買って食べていた。


「ねえ、後でみんなで花火しない?」


 斐羅が提案した。


「いいねー」「賛成」


 里恵はクレープをほおばりながら、


「アタシもしゃんせい(賛成)」


 と言った。

 最後に明たちは金魚すくいをした。明や直史が一匹もすくえないのに対して、斐羅は七匹もすくっていた。


「斐羅ちゃんすごーい」

「唯一の特技なの」


 と言った。


「アタシも一匹すくったぜ?」

「でも、こういうところの金魚ってすぐ死んじゃうんだよね」


 袋の中の小さな金魚を見つめながら、斐羅は哀しそうに言った。


「でも、こんなに大きくなった金魚の話もたまに聞くじゃんか」


 直史が手を広げる。


「育てばいいんだけどね」


 斐羅は金魚の入った袋をつんとつついた。

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