ナイトダイビングの楽しみ方
雪原で、私達は話していた。
「ある学者はニュースで泣きながら、そして優しい笑みを浮かべて笑いながら、こう言ったそうだ。
『皆さん、『当たり前』に感謝しましょう。『当たり前』は『当たり前』だからこそ、『当たり前』の 価値があるのです。』
『『当たり前』に気付く事は難しい。だからこそ、それがなくなったときの有り難さが分かるので す。』
『そしてそれが無くなってしまった時、価値がなくなってしまった時、皆さんはこう思うでしょう。』
『『ああ、あれは『当たり前』だったんだなぁ・・・・』とね。
そういった後、その学者は飛び降りて死んでしまった、らしいぞ。」
友は首を傾げた。
「何で死んでしまったんだ?」
次は俺が首を傾げた。
「さぁ・・・・俺に言われてもなぁ・・・・・」
友は少し苦笑した。
「もったいないなぁ、その学者。」
「何がだ?」
「こんなに美しい太陽も見れないなんて、そいつはかわいそうだなぁって思ったのさ。」
私は少し納得した。
「だよなぁ。」
「昔の太陽は白かったらしいぞ。眩しくて直視できなかったとか。」
私は頷いた。
「なんでも、その学者が死んだ1時間後に、太陽がこうなったそうだ。」
そう言って、私達は暗い空に輝く青く輝く無数の太陽を見た。
「だな・・・・・・おっと」
友が声を上げた。
「どうした?」
「平均寿命が15歳に下がった」
私は驚いた。
「と、いうことは、私達の年齢がちょうど平均寿命なのか。」
「だな」
「ということは、私達だけか」
「・・・・・何がだ?」
「分かっているくせに」
友は少し笑った。
私は言った。
「・・・・・話は変わるが、昔は緑色の『植物』という生物がいたらしいな」
「・・・・・気持ち悪ぃ・・・・・・・・」
「・・・・・まぁ、そう言うな」
少しの沈黙が続いた。
「お前、呼吸が苦しんじゃないのか?」
私は友に聞いた。
「はは・・・・・バレた?」
「ああ、見え見えだ」
「・・・・・そう言うお前もな」
「だな。」
「ああ。」
「もう今日は遅いな。」
「・・・・・だなぁ・・・・・・」
「寝るとしよう」
「気ままなもんだ」
「気ままさ」
「そうか・・・・・・お休み」
「お休み」