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8/16

23:00~0時間経過~

 走っても、走っても、景色が動かず、徒労に終わる夢を見た。


 辺りは砂しかなく、日照りが肌を焼いている。


 また数刻走ってスタート地点に戻っていることに気づいて目が覚めた。


 夏至が始まり、そこそこの汗が俺の体を伝っていた。


 時刻は、九時を回っていた。蝉がか細く鳴っている。


 折角の休日に少し早起き出来たので、暇つぶしがてら外に出ることにした。


 目的地はひとまず、野間野の居る神社だ。いつもなら自転車で行くが、特に呼ばれもしていないので徒歩で行くことにした。


 適当に歩いてマンションとか公園とかを見ている最中、見知った顔を見かけた。


 少し前に身体に妖怪が入り込んだ恋に恋する乙女。御花くらげの姿であった。


 彼女は俺の顔を見ると同時に笑みを浮かべてこちらに駆け寄ってきた。


「やぁ調君。奇遇だね」


「そうだな」


「どこか行くの?」


「まぁ、ちょっと散歩にな」


「私もついてって良い?」


 そう頼まれたが、特に断る理由もないので俺は承諾した。ついでに野間野に彼女の様子を見せてみるか


 そんなこんなで途中本屋に寄ったり、カフェなんかで昼飯を取ってゆっくりと野間野のところへと向かった。


「段差、気を付けてくれ」


「はーい」


 時々振り返る彼女が転んでも大丈夫なように、少し後ろの位置から階段を上っていく。


「着いた!」


 秦水はたみ神社。長い階段の先にある手水舎てみずや、賽銭箱と拝殿はいでんだけの小さくて廃れた神社だ。普段そこに野間野は過ごしている。


 だが、今はいないようだった。


「せっかくならさ調君。お参りしてこうよ」


 というわけで珍しく、手を清め、お参りしたのであった。因みに、お賽銭は全て野間野の元に行く。正直、あまりあげたくはない。


 その後は、一緒に夜ご飯を食べたり、ショッピングモールなんかで、服などを見たりして解散した。中々充実した休日な気がする。


 帰り道、特に用はないものの、秦水神社に寄って野間野が居ないか確認してみた。また長い階段を上ってみたが、やはり居ない。


 しかし、賽銭箱の前に、12歳くらいの背丈の黒髪セミロングの少女が立っていた。時刻は20時を回っているというのにこんなところで何をしているのだろうか


「おーい。そこの君」


 そう言うと少女はむき出しの懐中時計の金属音を鳴らしながら振り返り、黙っていた。


「こんな時間に外出ちゃ危ないぞ。早いとこお家に帰った方がいい」


 そう忠告しても少女は沈黙を貫いていた。口下手なのか何か帰りたくない理由があるのだろうか。いずれにしろ、俺が介入するべきことではないだろう。


「何があったかは聞かないけど、ちゃんと帰れよ~」


 そう言って、立ち去ろうとした時


「ポストの中」


 少女がそうポツリと呟いた。振り返って聞き返しても、それ以降喋ることはなかったので家に帰ることにした。


 必要なことを済まし、今日買った本を読み、ふと時間が気になり時計を確認した。時刻は23:00。


 時間の進みが異常に遅い。秒針だけは、完璧に動いていた。携帯で時間を確認しても、同じことだった。何かが変だ。俺は野間野に話を聞きに行こうと、外に出る準備をした。


 そういえば、今日少女からポストの中と言われたが、何だったんだろうか。


 ポストの中を開けると


 そこには野間野の首が俺を見ていた。

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