9,人助け
やがて森の中を抜け、戦いやすい広大な平地に出た。
案の定まだ生きて戦っているのはさっきの魔法使いさんと、ボロボロな鎧の大剣を持った男だ。その男の身長は高く、ジャンプさえすれば魔物の上に飛び乗っていた。
その魔物は太っている人がそのまま大きくなったような大きなお腹が特徴的で、丸い棍棒をもっていて、緑色の肌をしている。俗に言う「オーク」というやつだろう。
オークは既にボロボロだが、鎧の男も隙間から血が溢れるほど流血していた。
「はぁっ!」
大剣で攻撃を繰り出した男は、俺が追いかけてた人、ライカの力を借りてやっとの思いで上から攻撃し、オークの頭が凹むほどの威力を出した。
オークの顔は切れて、もう死ぬかと思ったがその傷がすぐ再生し始めた。
魔力の流れを感じるのでたぶんそういう魔法だろう。
「すっご……あんな魔法あるんだ」
「誰だ!」
思わず感嘆の声を出したら、居場所がバレて男に怒鳴られた。
おそるおそる顔を出すと、すぐに、女性は気付き、オークもちょっと警戒しているようだった。
「あの子だよ!私を助けてくれたの!」
「助けてくれた……?てことは味方か?」
俺はコクリと頷いた。
「言葉もわかるのか、じゃあ、あとは……頼む……」
「えっ?ラス?ラス!」
その男、ラスは気絶してしまった。安堵したのだろう。寝顔がすやすやとしていた。
戦場なのに呑気に寝やがって……と俺は心の中で愚痴を吐いた。
どうやらライカも同じ気持ちのようで、ため息を吐いていた。
「ごめんね、こんなこと押し付けちゃって、こいつ後でぶっ飛ばすから。」
「……ガゥ」
ほどほどにな、と言うように訴えながら笑いかけた。
そのことを理解してかはわからないが、微笑み返してくれた。なんとなくそれが嬉しく、それに危うく心を掴まれそうになった。
彼女は俺に向かって手を差し出した。
「じゃ、手伝ってくれない?」
俺は大きくうんと頷き、オークの方を向いた。
オークはかわらず俺のことを警戒して動かない。さっきまで暴れ散らかしてたくせに、急にどうしてしまったのだろう。俺がそのくらい強い存在なのかどうかしらないが、俺は心に穴が空いたような寂しさをちょっとだけ感じた。
まあいい、俺にはすでに味方はいるんだ。
俺の転生後初めての人間である、ライカがいる。彼女はすでに服装と体はボロボロだが、まだ余裕がありそうな顔立ちをしていた。
なので俺は目を合わせ、がぁ、と一声鳴いてからオークの方へ向かっていった。




