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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異能力タイマン決闘。ハルvs藤原

作者: 桂丸

異能力バトルものです。

主人公のハルが闘技場の58階層でタイマンで敵と戦います。


以下がルールです。

参加者はそれぞれ1つのパッシブスキルと3つのスキルが与えられる。

試合を通し、パッシブスキルは常に発動し、スキルは好きなタイミングでそれぞれ一度しか発動できない。

相手を降参させるか、再起不能にさせた方が勝者です。

(多分)あんまり強くないスキルを持ったハルは果たして勝つことが出来るのか!?

58階層か。まだまだだな。


対戦相手はスーツを身にまとった40くらいの男のようだ。


「そんなに睨むんじゃない。まずは自己紹介だ。私の名前は藤原。君の名前は?」


自己紹介とは珍しい。舐められているようだが好都合だ。

ハルは「石を手の中に5つ発生させる」スキルを発動した。


「自己紹介なんて礼儀があるね。どうせやりあうんだろ。」


「はは。いいじゃないか。相手のことはなるべく知っておきたいんだ。」


「これからやり合うってのにか?」


「そう。だからこそだよ」

「ここに来て気づいたんだが、相手のことを知っていれば知っているほど、目一杯殴ったときの感覚が気持ち良いんだ」

「思い出すだけで気持ちよくなれる。ここに来てからは忘れられない体験の連続だよ」


想定外のセリフにハルは一瞬言葉を失う。


「......お前ほどのクズは初めてかもな」


「失礼な子だ。まあいいさ。会話のキャッチボールも済んだことだし、早速始めよう。」


ハルはすかさず振りかぶって藤原へ石を一つ投げつけた。

藤原は目を見開き身を躱す。

続けざまにハルは石二つを投げつける。

命中したーーが、手応えがない。


「全く...痛いじゃないか。」


ダメージが少ない。何かの能力が絡んでいるのだろうとハルは推測する。


「さあ。お仕置きの時間だ!」


藤原が地を蹴って一気に距離を詰めてきた。

想定外のスピード。そして繰り出される鋭い右ストレート。

ハルは咄嗟に身をかわすと、藤原の顔面へと石を投げつけた。

躱されるも、少し間合いができる。

しかし藤原はすぐさま翻って左フックを放つ。素早い身のこなしだ。一発でも当たればかなりの痛手だろう。 避けるもまたすぐに追撃がくる。

その繰り返しが続き間合いが徐々に縮まる。埒が明かない。

(このままじゃ防戦一方だ。)

ハルは頭上めがけて右腕を伸ばし叫んだ。

「落ちろ!」


藤原の視線は上へと移る。

その隙を突き、ハルは藤原の顔面めがけて、最後の石を全力で投げつけた。

(よし...!!)

命中したように見えたが、またもやダメージを食らったようには見えない。

(初めのダメージが薄かったのは、恐らく身体機能にバフを掛けるパッシブの効果だろう。今回はそれとは違うみたいだ。)


「...はは、危なかったな。なかなかやるじゃないか。石ころも案外侮れないもんだな。勉強になったよ。」


「はっ、どうも。」


「もうスキルを使わせられるとはね。ところで君はなんのために戦ってるんだい?」


「...」


「だんまりか。じゃあこういうのはどうだ?」

「君が教えてくれたら、私のスキルを一つ開示しよう。」


「...それはありがたい提案だな。」


「そうだろう?」


ハルは少し考えた後、


「...あんたの全てのスキルの開示、そして先にあんたが開示すること。それなら受けよう。」


「なるほど、堅実だな。」


「どうするんだ?」


「わかった。受けよう。先にこちらの開示だったな。」


「ああ...」


「まずパッシブスキルは君も感づいてるだろうが身体能力を上げるものだ。そしてスキル1はさっき君の石に使った無敵化だ。使った時点から5秒間だけ防御力が無限大になる。」

「そしてここからはまだ見せていないスキル。パッシブ以外のスキルは使い切りだ。しかしこのスキルは使っても消費されるわけではない。証明のため特別に使ってやろう...。見ろ。弓と矢を一つづつ創り出す能力だ。」


ズズ...


ハルに緊張と警戒が走る。

藤原の言った通り弓と矢が彼の手元に現れる。


「私のお気に入りだ。最初は使うのが難しかったが、慣れると結構楽しいもんだ。鈍器や凶器としても使える。」

「そして最後...。その前に君の動機の方を少し聞かせてくれないか。」


「話が違うだろ」


「いいじゃないか、少しくらい」


「...わかったよ。いいだろう。」

「俺には父親がいない。母さんだけに育ててもらったんだ。母さんは一生懸命俺を育ててくれた。いつも母さんは家にいなくて、深夜に帰ってきて早朝に家を出るんだ。 父親のことは聞かされなかったが、前にタンスの奥から若い頃の母さんと知らない男と赤んぼうが写った1枚の写真を見つけた。 その男が多分俺の父親だった人だ。 父親についてはそれ以上考えないようにしてた。 でもある日、このゲームに誘われた時、俺はこのゲームにその男が参加しているのを知った。」


「ほう、なるほど」


「母さんを捨てた男に償わせて、賞金を得て母さんを楽させたい。」


「ありがとう。ここまで素直に話してくれるとはね。」


「次はそっちの番だ。」


「では、私の最後の能力を開示しよう。 これはすこし特殊でね。まず対象となるのは自分自信のパッシブ以外のスキルに対してだ。そしてその効果は...」

「「相手にスキルを一つ正直に開示して、相手がそれを信じた時、その能力の効果が上がる」スキルだ。」


「......!」


「私はこのスキルを弓矢の能力を開示する時に使った。 この弓矢の威力はとても人間に避けられるものではない。つまり私が今これを引いて君に放てば君は少なくとも再起不能は免れない。 でもこの力はまだ使わない。君に拳を十分にお見舞いしたあとに使う。」(なんてな。このスキルはハッタリだが怯えさすのには十分だ。本当のスキルも温存できる。)

「...ほら私の言う通りにしろ。そしたら少しは手加減してやる。」


「...母さんを捨てた男がこのゲームに参加していると知って、俺は参加する前にそいつの素性を調べたんだ。」


「......?」


「それなりの会社に勤めてるっぽくて、バレたらまずいことになるっぽいんだよね。 だから念の為、最初に布石を打っといたんだ。そいつの名刺をある弁護士に預けて、お母さんと訴訟の準備をすでに進めさせているんだ。」


「...ならいいじゃないか。後のことは弁護士に任せて、君は大人しくするんだ。」


「本当にそうかな?...藤井努さん。」


「!!?なぜ私の本名を...!?」


「俺の復讐相手はあんただ。藤井努。」


「な、なんだと!?まさか...こ、こいつ...!」


「俺を倒しても弁護士のほうで話は進んでいる。あんたは事が大きくなる前に弁護士を介して示談を済ませるべきだ。 だが弁護士の情報は俺から聞き出すしかない。」


(こ、こいつ...!ほ、本気か!?バカな。信じられん...。)


「あんたはもう八方塞がりだ。俺を倒したところでどうすることも出来ない。大人しく降参しろ。そしたら多少は甘く見てやる。」


「は。はは...ははははは!」

「なあ、あんまり大人を甘く見るもんじゃあない。むしろ好都合だよ。存分に痛めつけて君の口から吐かせてやる。その弁護士とやらの情報を。痛みで失神しないうちにな。」


「...クズが」


「それに降参しても無駄だ。君の顔と俺の子供だという情報は手に入った。現実の方で君にたどり着くのも難しくない。」


「...」


「どうした?怖気づいたのかい?」


「.......これを使うか迷ったが、あんたになら使っても良いかもしれないな」

「このスキルは発動条件が厳しいが、ハマるととても強力だ。」


「......なんだまだやるのか。一体どんなスキルだ?教えてみろ。」


「教えてやるよ。このスキルの効果は!「相手が相手自身のスキルについて嘘をついていた時、それがこのスキルとなる」!」


「...なに!?」


「効果発動!スキルの効果が更新された! 「能力について開示した時に相手が信じたらその能力の効果が上がる」!あれはブラフだったか!」


(まずい...!)


「俺はこの、「手榴弾を手の中に生成する能力」を開示し、これに使うぜ!」


「ちっ...!」


「これで終わりだ!」


ハルは努へ手榴弾を投げつけた!


「うわあああああ!」


「......なんてな!ブラフじゃない本当の私のスキルは「相手と位置を入れ替える」スキル!くたばるのはお前自身の方だ!!残念だったなあ!!」


二人の位置が入れ替わった!

しかし10秒ほど経ったが爆発は起こらず、努のもといた場所にハルは平然と立ったままだ。


「......ど、どういうことだ。」


「......俺の能力はどれもあまりぱっとしなくてね。 ブラフやらでやり通すしかなかった。「相手の嘘のスキルをトレースするスキル」ってのはハッタリだ。「手りゅう弾」もな。

でもあんたが言った「開示したスキルにバフを掛ける」スキルが嘘だとは知っていた。 俺のパッシブは「相手の嘘を嘘だと見抜く」スキル。

あんたの本当の能力まではわからなかったがそれももう今使わせた。あんたにカードは残っていない...」


「...は、はははははは!!そうかい。で?まだ何か隠し持っているのかい? 君の能力は残り2つ。身体バフと弓矢を持った私に勝てるのか?」


「ふふ。勝てるよ。 だって最後のスキルは...」


「...」


「「相手が試合中に動揺した分に応じて威力が増す爆弾を相手の体に仕掛ける」スキルだ!」


「......なに!?」


「............なんちゃって。嘘だよ。」


「こ、こいつ...!」


努は怒りに任せ弓を構える。 それと同時にハルは足元に転がっていた石をその弓への投げつける!見事命中し、弓と矢は床へ転がり落ちた。


「チッ..!」


ハルは一気に加速し距離を詰める。努はハルの方を注視する。弓矢を拾い上げる隙は無さそうだ。 ハルは一直線に向かってくる。

(おそらく何かしてくる。その前に潰す!) 努はファイティングポーズを見せる。

(間合いが近づいたとき、足元の弓矢を蹴り、浴びせる! 怯んだ隙に間合いを詰めカタをつける!)

(今だ!)

努は弓と矢を蹴り、命中!したはずだがハルは怯まず向かってくる。

(なに!?防御系の能力...!!)


ハルは距離を詰めながら自身に当たった矢をキャッチし、努へと突き立てた。

矢は腹に食い込み、努は声を上げ、後ろに倒れ込む。 ハルは床に倒れた努の腹部に上から矢を向ける。


「これで終わり。お前の負けだ。」


「はぁ...。はぁ...。」


「...なにか言い残すことはあるか?」


「......お、お前の事は絶対忘れねえ。お前ら親子が私から金や地位を奪っても、わ、私のほうが財産は多い!今の地位からして、不祥事の一つで面目丸つぶれにはならない!お前が私に勝ったとしても、お前らを追いかけて復讐する!そしたらお前らはどうしようもない! お前にとっての勝利は俺から金を取ることと、そして俺を殺すこと、この2つを両立することだけだ!それがお前に出来るか!?」


「あっそ」


ハルは矢を努の腹の奥へと突き刺した。

努は理解出来ないというような表情を見せる。


「......な、なぜ...。」


努は流れる血の量に、自身の命がもうもたないことを察する。


「俺を殺せば...金は手に入らないぞ...」


「金...ねぇ。あったね、そんな設定」


ハルのスキル

「石を5つ手の中に発生させる」

「5秒間防御力が無限になる」

「相手の名前と相手の自分が知り得ない情報を一つ知ることが出来る」

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