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第一部ラストの章です。気合入れて書きましたよ(笑)

「皆さんおはようございます!」


 元気のいい声で俺ら一学年全体に向かって挨拶をしたのは教頭先生だ。

 今日から3日間幌北高校一学年は校外学習として戸谷湖へと向かう。

 みんな校外学習が楽しみなのか、先生が話している間も少しだけ浮ついた空気感が漂っていた。


「俊は校外学習、楽しみなのか?」


 バスに乗り込むと隣の席だった達也が話しかけてきた。


「俺はそこそこって所かな。もうそんなにイベントではしゃぐ年でもないし」

「何言ってんだ、高校生なんて色々楽しんでなんぼの年齢だろうがよ!」


 たしかに高校生ってのはもっと色々楽しむ姿勢を見せるべきなのかもしれない。


「それより知ってるか? 恋の噂なんだけどよぉ」

「なんだ急に? 恋の噂なんて聞いたこと無いぞ」

「俊はそう言うのに疎そうだからそうだよな。噂って言うのは二日目の夜のキャンプファイヤーで一緒に踊った男女はやがて結ばれるって話だ」

「なんだそれは、噂と言うよりも迷信じゃないのか?」


 たしかにその話は一周目の時もかすかに話題になっていたような気がする。

 俺の懐疑的な表情を見た達也は続けて説明を加え始めた。


「俊は信じてないようだな? でも実際に過去の先輩たちは絶対にその後付き合っているんだぜ」

「人間は珍しい事だったり、都合のいい事をより鮮明に記憶する生き物だからそう感じているだけだぞ。踊っても付き合わなかった男女は皆から忘れられてるだけだ」

「そんな現実的な事を言うなよ、俊」

「まあそうだな、でも、そんなロマンチックな設定があるならカップルも生まれやすいだろうさ」

「そうだよな、全くの嘘って事はないよな」


 俺が少しだけフォローをいれてやると、達也は軽く笑って窓の向こうの景色を見始めた。

 どうやら達也はそのキャンプファイヤーの迷信を割と真面目に信じていたようだった。


「ところで何故お前は隣のクラスのバスを見ているんだ?」

「そ、それはだな、特に理由はない」

「嘘つけ、今どう考えても誤魔化したな」


 もしやこいつ隣のバスの中に好きな人でもいるのか……?

 俺も隣のクラスのバスを見てみると隣は5組のバスだった。

 5組は確か凛がいるクラスだったな……。


「お前、5組に好きな人がいるんだろ?」

「ぐっ、決してそんな事はない」

「顔に『YES』って書いてあるぞ。少しだけでもポーカーフェイスとやらを学んだらどうだ?」


 俺の指摘に対して明らかに顔を赤らめた達也は大変分かりやすい部類の男だった。

 と言うかこいつモテそうなのに案外恋愛経験無いんだな?


「俊、笑わないで聞いてくれ」

「今度は恋愛相談か?」

「そうだよ。お前は学年の二大美女を知っているか?」

「そんな噂は聞いたこと無いぞ」

「ああ、お前はそうだろうな。篠原さんのファンクラブ(非公式)にストーカー行為を繰り返されてもやつらを自分の意識に入れすらしない俊が知っているわけないよな」

「なんか今俺ディスられた?」


 篠原さんのファンクラブ(非公式)が知らない間に俺の事をストーカーしてたの怖いんですけど?

 意識に入れてないとかじゃなくて単純に気づいてないだけだし、俺をストーカーするくらいなら俺のファンクラブを名乗れよ!


「まあその話は置いといてだな。学年の二大美女はお前も知っている篠原さんと、お前は知らないかも知れないけど5組の桃崎凛さんなんだ」


 えっと、凛なら滅茶苦茶知ってます、と言うか物心ついた時には友達でした。

 で、話の流れ的にもしかして達也って……


「まさかお前凛の事が好きなのか?」


 この線しか考えられないよなぁ?


「お恥ずかしながらそうです。てかなんで俊は桃崎さんの事を名前で呼び捨てしてるんだ?」

「いやだって2歳くらいからの幼馴染だし」

「それは本当か!?」

「いや、ここで嘘つく必要ないでしょ」

「それもそうだな」



 ここに来てかなりのビックニュースが飛んできた。

 速報・達也は凛に恋をしていました。


 てか達也はいつ凛と知り合っていたのだろうか?


「一つ訊くけどいつ凛と知り合ったんだ?」

「それが……一目惚れなんだ」

「はぁ?」

「信じられないかもしれないけど彼女を一目見た瞬間、こう、おお! と俺の全細胞が震えちまったんだ。それで恋に落ちた」

「うん、恋に落ちた理由は何一つ共感できなかったけど取り敢えずお前が凛に恋をしているのは理解した」

「分かってくれたか、友よ?」

「ああ、凛は幼馴染だから達也が彼女と仲良くなりたいなら俺が紹介してやるよ」

「おお、ありがとう友よ!」


 もしこの会話を陽太か彩華が聞いていてなら間違いなく二人がまずい方向に進んでしまっているのに気が付き、何とか止めていただろう。しかし現実は非常な事にここには鈍感系主人公と純粋系陽キャしかいないのである。


「そうだ、今日の最初のハイキングは基本班での行動なんだが別に他クラスの人と一緒に行っても大丈夫だそうだ。だからそのタイミングで凛を誘ってみないか?」

「本当か?」

「勿論本当だよ。さて、俺はお前に期待してるぞ」


 前のパーティーの時に聞いたんだけど俺の幼馴染()は可愛いけど恋人は出来たことがないらしい。

 だから達也はいい人だから幼馴染に恋をしてもらいたいと言う意味も込めて達也の恋心を叶えさせたいと思う。


 こうして鈍感系主人公()は凛の恋心に気付かぬまま恋のキューピットになろうとしてるのであった。

久しぶりの篠原さんファンクラブ(非公式)の登場でした(笑)

ここまで読んでくれてありがとうございます!!!

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