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 彩華と結婚してから約10年(体感時間)、俺は彩華の意外な一面をこのタイミングで知る事となった。

 元々そこまで小食な方ではないのは知っていたんだけど、まさかここまで食べる方だとは思わなかったのである。なんでかな、同棲して以降こんなに食べている姿見たこと無いんだけど……。


 気が付けばあれほど大盛に盛られていたパフェが半分程姿を消していた。

 対して俺はまだ半分以上のパフェが手元に残っていた。


「少し食べる……?」


 俺の食べている猫ちゃんパフェと彩華の食べているイチゴパフェは乗っているトッピングが違うので味がかなり異なる。だからちょっとお裾分けしてあげようと思いそう提案してみた。


「そうね、少しもらうとするわ」

「分かった。ほらあーん」


 ここで俺は今日一番(暫定)の失敗を犯すことになる。

 ついつい、昔の癖で「あーん」と言う声と共に自分のパフェが乗ったスプーンを差し出してしまった。

 失敗に気が付いた俺は心の中で「しまったー!」と叫ぶ。

 しかしながら今更伸ばした手を戻すのはあまりにもダサいので出来ない。


 彩華は少し戸惑った表情を取り、少し赤面した後。

 なんとそのまま口を開けてしまった。


 なんでここで意地を張るんだ、彩華!

 普通に「そう言うのいいから」とか言ってくれよー!


 俺の心の声による抵抗も虚しく、スローモーションに映る世界の中でパクッと言う擬音と共に彩華がパフェを食べてしまった。


 何やってるんだぁぁ!?!?!?!?


「た、食べるんだな」

「先にスプーンを出してきたのはあなたでしょ? ほら、私のも食べたらどうかしら」


 そう言った彩華は目を少しだけ逸らして今度は俺にパフェの乗ったスプーンを差し出してきた。

 どうしようこれ、絶対に食べないといけない雰囲気が凄いし、奥にいるご老人が凄い穏やかな笑顔でこちらを見ているので気まずい。


 俺の口元に差し出されたイチゴパフェ。

 僅か数センチの距離がもの凄く遠くに感じられる。

 でも悪いのは自分なので口を開いてパクリと食べてみた。


 口の中に広がるイチゴパフェの甘みと、脳内に広がる恥ずかしさがいい感じにミックスされて今までに感じたことの無い感覚を感じてしまった。

 恋人でもないのに俺らは何をやってるんだか……。


「イチゴパフェも美味しいな」

「その可愛らしいパフェも結構気に入ったわ」


 そう言った彩華はまるで何事もなかったかのように再びパフェを食べ始めれる_________訳が無く、俺にも分かるくらい手を震わせてパフェを食べていた。

 普通にやってる事間接キスだし、恋愛経験がなさそうな彩華だったらそうなるよなと同情しつつ、俺も自分の手元にあるスプーンを見て「これどうしよう」と言った感想を吐きだす。


 ここは何食わぬ顔でパフェを食べて彩華に元妻子持ちのレベルを見せてやろうと考え、気にせず普通にパフェを食べる事にした。

 するとその様子を見た彩華は負けじとパフェを食べるスピードを上げ始めた。

 別に食い意地を張るつもりではなかったけど俺も対抗して食べるスピードを速める。


 すると残り少なかった両者のパフェは簡単に無くなり、二人で合わせて「ご馳走様」と言ったのだった。


「篠原さん、少し飲み物でも頼まないか?」

「そうね、そうしましょう」


 パフェの皿を片付けた俺たちは続いて飲み物を注文することにした。

 頼んだ飲み物はイタリアンソーダ。

 イタリアンソーダとは簡単に言うとシロップを炭酸で割ったジュースの事でシロップの分だけ味があるので色々な味を楽しめるのが特徴だ。

 俺はブルーベリー味、彩華はイチゴが好きなのかストロベリー味を頼んでいた。


 席に着いたらまずは底に溜まっているシロップをストローでかき混ぜていく。

 この工程をサボると最後の方に激甘のトンデモジュースが完成してしまうので注意しないといけない。


 猫ちゃんに囲まれながらゆっくりとジュースを飲んでいた時、彩華が突然グラスをこちらに差し出してきた。


「そっちの味も少し飲んでみたいわ。さっきみたいに一口交換……しない?」


 少しだけ躊躇いを見せた後に彩華から発せられた言葉に俺は唾を飲んだ。

 その表情が可愛すぎて俺は思わず脊髄で「分かった」と返信してしまった。


 ゆっくりと彩華が飲んだストローに口を付けてストロベリー味のイタリアンジュースを飲む。

 うん、彩華が飲んだものを共有できていると言う感覚、そして二回目なので緊張が少し減った事によりかなり美味しく飲むことが出来た。


「ストロベリーも美味しいな」

「ブルーベリーも中々だったわよ」


 俺は自分の手元に戻ってきたブルーベリー味のイタリアンジュースに再び口を付け、寄ってきた猫ちゃんの頭をなでなでした。

 それから俺と彩華は猫ちゃんと触れ合いながら猫カフェを普通の楽しみ方で楽しんだ。


 ふと時計を見るとそこそこ時間が経っていたので会計を済ませて店を後にする。


「あの黒猫ちゃんは最後まで篠原さんになつかなかったな」

「変ね、他の子はなついてくれたのに。それで次はどこかしら?」

「次は……デートの定番、水族館だ」


 そう言った俺は事前に用意した二枚のチケットを彩華に見せたのだった。

ここまで読んでくれてありがとうございます!!!

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