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新章だー!
部員選考から二日が経ち、今日は水曜日。
どうやら本日は祝日なようで街中のビル群では大勢の人が歩いていた。
さて何故俺がこんな街中にいるのかと言うと、凛の家でパーティーをした日に結んだ彩華との約束があって来たのである。
約束の内容は部員選考で俺が勝ったらデートすると言ったモノだった。
この日の為に貯めていた貯金を切り崩し、流行の服を買い、昨日は放課後にデートスポットの視察まで行った。
準備は万端、だけど気合が入りすぎて約束の時間よりも30分早く到着してしまった。
俺は集合場所にしていた駅にある何とも言えない謎の白いオブジェの周りを回るように歩いて時間を潰す。
こんな時にスマホがあれば暇つぶしに便利だったのだが2007年だとまだスマホはそこまで普及していなかった。
「あ、篠原さん!」
「遅れてごめんなさい、待ったでしょ?」
「いやいや、俺が早く着きすぎただけだよ」
集合の10分程前になって彩華が姿を現した。
彩華の今日の私服は薄い青色をベースにした長袖ワンピースだった。それにいつもよりしっかりとメイクをしているように思えた。しかもいつもより高い位置に彩華の頭があると思ったらヒールを履いているようだった。
この最近は制服姿ばっかり拝んでいたからたまに見れる私服のレア度が上がってたまらんな。
「篠原さんの私服めっちゃ可愛いね」
「そ、そう? ありがとうね」
つい、思っていた事を口に出してしまう。
すると彩華はあからさまに顔を赤らめてから俯きありがとうと返してくれた。
恐らく今日の為にかなり準備をしてくれたんだろう。
「よし、まずは新しくオープンした猫カフェだな。篠原さん猫好きでしょ?」
「猫は好きだけど川崎君に言った覚えはないわよ、なんで知ってるのかしら」
「そっちは企業秘密だな。まずは猫カフェに行くぞ」
「そうね、猫ちゃんに会いたいし」
今日のデートプランは俺が考えた物で事前にどこに行くとかは伝えていない、いわばサプライズ的なデートでもある。
前世の知識を活かして彩華の好きな物からデートスポットを考えればプランの組み立てくらい簡単に終わらせる事が出来た。
さて、まず最初にチョイスしたのはこの最近オープンした猫カフェだった。
彩華はこう見えて大の猫好きなので猫カフェに連れていけば勝手に猫と戯れ始めるだろうと言う打算も込みで選んだのだが……思ったよりも凄い食いつきだった。
彩華は店内に入るや否や目にも止まらぬ速さで近くの猫ちゃんの所まで移動し、逃げようとした猫ちゃんの反応速度を超えるまさかのキャッチング能力を見せた。
これには思わずカウンターにいた店員さんと俺は苦笑い。
そんな状況を気にせず彩華は捕まえた猫ちゃんに頬を摺り寄せていた。
「えっと、二名です」
「二名様ですね、あちらの席でお願いします。店内は移動自由ですが飲食の際はお席にてお願いします。それと長時間の滞在はご遠慮くださいませ」
「分かりました」
店員さんから説明を貰って俺は入り口から割と近い二人用の席の片方に座った。
「篠原さん、何か頼みたい物は?」
「そうね、メニューを見せてくれるかしら」
「猫は離さないんだな。これがメニューだよ」
うんざりした顔の表情の猫ちゃんを抱えたまま彩華はメニューに目を通した。
ざっと見た感じ量が多めのスイーツが沢山あるメニュー表だったのだが彩華は何を頼むんだろうか。
彩華のスタイルはかなり洗練されていて恐らく食事とかも気を使っているだろうし少し店選びを間違えただろうか。
「えっと、イチゴパフェを特大でお願いします」
「えっと今なんて?」
「聞こえなかった? イチゴパフェ特大よ」
「と、特大……? 流石に大きすぎないか?」
メニュー表を見た限り特大サイズだと軽く20センチはありそうな大きさだったんだけど彩華のお腹にそのサイズのパフェが入るのか……?
「別にこのくらい私はいけるわよ……、女の子でも食べる人は食べるんだから」
「わ、分かった」
彩華は少しだけ恥ずかしそうに目を逸らしてそう答えた。
「すみません! イチゴパフェの特大一つと猫パフェの通常サイズをお願いします」
俺は猫パフェと言うトッピングとして乗っているフルーツが猫のシルエットになっているパフェを頼むことにした。
注文を終え、また彩華の方に視線を移すと彩華の周りに猫の塊が出来ていた。
真ん中にいるのは最初に捕まえられた黒猫、他の猫ちゃんは茶トラだったり三毛猫だったりと色々な柄の猫ちゃんが彩華の近くに集まっていた。
黒猫ちゃんだけ見るからにうんざりしているけど他の猫ちゃんは彩華に興味があって寄ってきたようだった。
どうやら彩華は人間世界だけでなく猫の世界でもモテモテらしい。
「お、君はそっちに行かなくていいのかい?」
ふと、足元を見れば小さな灰色の猫ちゃんが俺の周りをクルクル歩き回っていた。
その愛らしさに負けて俺は屈んでから灰色猫の頭をなでなでしてあげると「グルグル」と小さく唸り声をあげて喜んでくれた。
「可愛いな、お前は」
撫でれば撫でるほど気持ちよさそうな表情をする猫ちゃんが可愛すぎて、気が付けばパフェが出来上がっていた。
猫ちゃんとお別れして机の方に戻るとそこには大きな大きなイチゴパフェが圧倒的存在感を放っていた。
「美味しそうね。いただきます」
そんなイチゴパフェを見た感想が「美味しそう」の彩華を横目に俺もパフェを食べ始めたのだった。
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