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私、篠原彩華は何故か今、今日初めて出会ったばかりの人の家にいます。
家主の名前は桃崎凛さん、どうやら川崎君の幼馴染のようで彼とはとても仲良さそうに見えました。
明らかに女慣れしていない川崎君にこんなに可愛い幼馴染がいたとは少し意外でした。
「それでその時に俊が~」
「あの、なんで私はずっと訊いてもいない川崎君の幼い頃の話を聞かされているのかしら」
「それは泥棒猫と私の格の違いを教える為よ」
「格の違いってなんの事かしら」
「そのままの意味よ」
そしてどうやらこの桃崎凛と言う女はとても川崎君の事が好きなようで私の事を邪魔者扱いしてきます。
正直なところ私は川崎君に対して恋愛感情を抱いた事は無いので私を巻き込まないで欲しいと言うのが本音なのです。
だけど恋バナには少し興味があったので、男子たちが出て行って暇な間に話を振ってみる事にしました。
「それにしても桃崎さんは随分川崎君の事が好きなようね。私は桃崎さんの話の方が興味あるわ」
「な、ななななんで私が俊の事を好きだって知ってるのよ!」
「えっと、流石に誰でも分かると思うのだけど……」
あんな事を普通に言っておいて何故バレないと思ったのか、かなり疑問に感じてしまったが、これが彼女の性格なのだろう。
良くも悪くも恋に真っすぐな姿勢は私としてはかなり好きである。
「そんなに私って分かりやすいのかな……?」
「ええ、かなりね」
先ほどまであんなに強気な表情をしていた凛は途端にしょんぼりとした表情を見せてしまう。
「もしかして俊にもバレちゃったりしてるのかな? 私まだ一回も告白してないのに……!」
「彼は……彼も彼でかなり鈍感だから多分大丈夫よ」
川崎君のあの表情を見る限り、恐らく桃崎さんの恋心に気が付いていなかった。
彼には鈍感系主人公の称号が似合いそうなほどである。
それと、八坂陽太君は多分この歪な人間関係に気が付いているでしょうね。それが当たり前ではあるんだけれど。
「それで、あなたはなんで川崎君が好きなのかしら」
「それは……言葉で言うのは難しいわね。って、あんた私に何言わせようとしてんのよっ!」
「ごめんなさいね。随分好きなように見えたからつい気になちゃって」
桃崎さんって結構表情豊かで可愛いのね。
こんな可愛い幼馴染がいたら手ごわそうね_________って私何考えてるかしら。
「私の話はこれくらいにして泥棒猫は俊とはどういう関係なんですか?学校でもまるで俊が泥棒猫を助けるために出てきたように見えたんですけど」
「そうね、短く説明するならクラスメイトで部活の仲間ってとこかしら?」
「あの根暗な俊がその程度の関係で人と仲良くなるなんて思えないんですけど……。何か裏があったりするんじゃないの?」
「そんなの私も知らないわよ。ただ川崎君は中学を卒業してから変わろうとしているみたいだから、もう昔の川崎君とは似ても似つかないわよ」
「それもそうね……、久しぶりに会ったら雰囲気が全然違ったわ」
「そう、だから中学の根暗な川崎君とは関りは殆どなかったけど今の川崎君とは友達として関りがあるのよ」
そう言いながら私は桃崎さんが用意してくれた珈琲を一口飲む。
家で飲む珈琲よりも美味しい珈琲だったのでつい、そのままもう少し口に珈琲を流し込んだ。
「この珈琲美味しいわね」
「母親が好きでこの家ではかなりこだわってるのよ」
「そうなのね」
少々静かな時間が流れた後、会話が止まって少しだけ気まずい空気の中、凛が口を開いた。
「そう言えば泥棒猫も吹奏楽部なのよね? 楽器は何をしているの?」
「私は基本的にピアノだけれど吹奏楽だからトランペットも吹けるわ。そして趣味でヴァイオリンも少々って言った所かしら」
「3つの楽器をやってるなんて泥棒猫って凄いのね」
「トランペットとヴァイオリンは演奏出来るってだけで大したこと無いわよ。複数の楽器を高水準で扱えるのはそれこそ川崎君よ。彼、見ない間にピアノはプロレベルになってるし、フルートも凄い成長していたの。まるで長年練習してきたベテランのような音色を出してくるのよ」
「随分と俊の事を褒めるのね」
「事実を並べただけよ。川崎君が吹奏楽部の中でも飛びぬけている実力を持っているのは確かなのだから」
少し自慢げに俊の話をする彩華に対して、凛は自分の知らない俊の一面を知っている彩華に嫉妬してか、猫のような目を彩華に向けていた。
「へえ、母親に泣かされながらピアノをやっていた俊が飛びぬけて上手いなんてねえ」
「何その話、少し興味あるわ」
「仕方ないなぁ。この俊の幼馴染である私、桃崎凛が仕方なく話してあげるとしましょう」
「一々強調しなくいていいから」
「しょうがないなぁ。じゃあまずあれは幼稚園の時の話で~」
結局最後には俊の幼い時の話に戻る二人なのであった。
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