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今回短めです
彩華とピアノを連弾し、事故が起こってしまった翌日。
俺は一人、気を引き締めながら登校していた。
何故気を引き締めなければならないのかと言えば今日は幌北高校史上最速の退学者が出る日だからだ。
退学者の名は桃崎凛、俺の幼稚園からの幼馴染だ。
俺は小学から中学に上がるタイミングで引っ越しをしたのでそこから彼女とは一切話したことはない、しかし彼女は俺の大切な幼少期の思い出に深く残っている人物である。
俺は幼馴染であり友達の凛の退学を阻止するべく今日は奮闘しなければならない。
まずは何故凛が退学することになったのかだ。
俺が人生一周目で高校に在学していた当時は凛が彩華を校舎裏に呼び出し、そこで暴力行為に及んだからと言う噂が流れていた。
しかし大人になってから彩華に直接聞いたところ、彩華に振られた男子が腹いせに凛を使って彩華に仕返しをしようとした結果色々な誤解が合わさって凛は退学と言う事になってしまったらしい。
彩華は細かい事を説明したがらなかったからそれ以上詮索する事はしなかったが、凛を退学にさせてしまった事を悔やんでいるように見えた。
だから俺は幼馴染を助ける為、そしてこれから先の彩華の後悔を無くすために頑張らないといけない。
「おはよう、達也と陽太」
「お、俊か。おはよう」
「おはようございます」
俺はいつも通り席が近い二人に挨拶をしながら席に座る。
そのタイミングでチラッと彩華の事を見たのだが目が合った瞬間に顔を反らされてしまった。どうやらまだ昨日の事を根に持っているらしい。助けようとした結果なんだから許してほしいものだ。
「そうだ、お前ら。今日の放課後暇か?」
「俺は部活があるからちょっと厳しいな」
「僕は暇です!」
「なら陽太。少し手伝ってほしい事があるんだ」
「僕で良かったら手伝いますよ!」
何かあった時の為に人手を多く確保しておきたかったので、声をかけてみたが想定通りに陽太を仲間に引き込むことが出来た。達也は運動部で体を鍛えているから本音を言えばついて来て欲しかったのだが部活があるのならしょうがない。
「実はこのクラスには既に篠原さんに告白した人がいるらしい___
俺は二人を自分の傍に近づけさせ、それから周りに聞こえないように小さな声でゆっくりと喋り始めた。
勿論そいつは振られたんだが、なんと振られた腹いせに篠原さんに仕返しをしようとしているバカだったんだ。だから俺たちはそのバカの馬鹿げた行動を止めないといけない」
「そんな情報をどこから入手したんですか?」
「企業秘密だよ」
俺は人差し指を立てて、ジェスチャーを加えながらまた話していく。
「だからまずは放課後までに俺らで篠原さんに告白した奴を見つけたいんだ」
「それで俺たちに声をかけたって事か?」
「そうだ。放課後実際に計画を止めるのは俺と陽太。そしてバカを見つけるのは達也、お前だ」
「お、俺か?」
「ああ、お前のコミュニケーションスキルでクラス内の情報を探り、なんとかして放課後までに篠原さんに告白したやつを見つけろ」
「あの、俊君は篠原さんと仲がいいから直接聞くって言うのは……」
「ああ、すまない。先日の一件で少し気まずいからその選択は最終手段だ」
「ならしゃーないな。俺が絶対に見つけてやるから期待してくれ」
そう言った達也が右手でグッドマークを作ったタイミングで教室に担任が入ってきたので俺らの会話はそこで終わった。
一応保険をかけておくために俺は朝のホームルーム中に机の下で芽衣に(緊急、今日中に彩華に告白した生徒を探し出したい)とメールを送っておいた。
最悪達也が見つけられなかったとしても芽衣が彩華本人から聞き出せばなんとかなるだろうと言う考えだ。
メールを送ると直ぐに携帯が震えたので確認すると芽衣から(了解、それとなく探ってみるけどアヤちゃんモテモテだからもしかしたら一人に特定は難しいかも。そして理由は後で訊くからね)と返信が来ていたので(感謝する)とだけ返して携帯を制服のポケットに戻した。
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