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本来は長かったのを半分に分割してしまったので今回短めです
新入生歓迎コンサートは俺と彩華の出番が終わった後も続いていった。
前世で見覚えのある人達が次々と自らの得意楽器を披露していく。
勿論芽衣もフルートで参戦していた。
芽衣のフルートは高校1年生としてはかなりの上手さだった。
それは聞いた俺はピアノだけでなくフルートも練習しないとなと思ったほどだ。
そして新入生歓迎コンサートが終わった後は軽く部活の説明が始まり、それが終わると今日は解散だった。
学校を出ると太陽が落ち始めて、空は赤く染まっていた。
「もうこんな時間か。久しぶりに楽しかったな」
彩華と芽衣は少し二人で寄り道をするらしいので俺は1人で帰る事にした。
数十年ぶりに通る高校からの帰り道に懐かしさを感じながら俺は帰宅すると妹の香奈がお迎えしてくれた。
「おかえりお兄ちゃん。今日はお兄ちゃんの大好物のハンバーグです」
「ただいま。ハンバーグか、楽しみだな」
俺の家は両親が離婚していて少し大きめの一軒家で母さんと妹との3人暮らしをしている。
そして家の料理当番は基本的に妹がしていた。
俺は料理以外の家事を担当していて色々頑張ってた記憶がある。
俺は制服から部屋着に着替えてテレビを付け、ゆっくりと妹と2人でハンバーグを食べ始めた。
「お兄ちゃん学校の話聞かせてよ」
「学校の話か……今日は入学式があって、その後は吹奏楽部の先輩の前であの篠原さんと一緒にピアノを弾いたぞ」
「お兄ちゃんが篠原さんとピアノ? 確かに才能はあるってお母さん言ってたけど篠原さんと一緒に出来るくらい上手いの?」
「こっそり練習してたから結構上手いんだよ」
「へえ、にしてもお兄ちゃんがあの篠原さんとピアノを弾くなんて夢でも見てるのかしら」
「正真正銘の現実だよ。まあ俺と篠原さんが釣り合わないのは認めるけどな」
「篠原さんは2学年下の私の所まで噂が届くくらいの美人だからね。正直言ってちょっと前までのお兄ちゃんが篠原さんと関りがあるとか言ってたら一瞬で嘘認定してたと思う」
「はは、我が妹ながら辛辣な事」
「ただの事実だからいいじゃん」
確かに言われてみれば今までの俺だったら絶対に経験できなかった事をタイムリープしてから既に経験している。
この調子で人生のやり直しが上手くいけばいいなと思っているとテレビから「オーケストラ特集」と言う声が聞こえてきたのでテレビの方を見てみた。
するとテレビに映っていたのは前世ではかなりお世話になったヴァイオリニストの前沢由紀さんが映っていた。
若い頃の前沢さんは初めて見るけどこんな感じだったんだな。
テレビの内容的には世界的に有名になり始めた前沢さんを持ち上げるような番組なのだろう。
前沢さんがヴァイオリンの弾き方をちょこっと解説したり、実際に曲を演奏したりしていた。
「いい演奏だな」
「ん? テレビの事?」
「そう。彼女はこっちの界隈では結構有名なヴァイオリニストなんだ」
「へえ、確かにいい音ね。そしてとっても綺麗な人」
「確かに。前沢さんは大人の女性って感じの綺麗さがあるかも」
テレビには前沢さんの所属する白鳥交響楽団のメンバーが多く映っていて、これまた何人か知っている人の顔を見る事が出来た。
機会があればまた白鳥交響楽団に加入したい。
その夜、俺が自室で読書をしていると携帯がブブッと震えた。
俺の携帯に登録されている連絡先は数少ない。
流石に大学生になってからはLINEが普及し始めて色々な人と連絡先を交換したが、高校生の俺の携帯には8人ほどしか登録されていなかった。
「ん? 彩華?」
携帯を覗いてみるとメールを送ってきたのはまさかの彩華だった。
彩華の連絡先は登録されていなかったので恐らく芽衣が教えたのだろう。
「どれどれ、内容は_____」
川崎君、突然追加しちゃってごめんなさい。
今日は一緒に連弾してくれてありがとうね。
私のせいで今川先輩に絡まれちゃったのはごめんなさい。
でも、今川先輩の驚いた顔はちょっと面白かったわ。
「わざわざ連絡してくれるとか、彩華って可愛すぎでは?」
俺はこちらこそありがとうと言った旨の内容を送り返し、ベッドに横たわった。
今日は、色々あって疲れたので早めに眠ろうと思う。
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