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魔族になりました




おかしい。

明らかに、魔王城に入るメイド、従者の魔族たちの様子がおかしい。

なんというか妙によそよそしい、こちらの気を伺っている、例えるなら上司の気を伺う社畜、前世の私のようだ。

皆何をそんなに隠したがっているのだろうか。


「ねぇ、貴女たち、何をヒソヒソ話してるの?」

「へっ!?わ、わたしたちですか?」

「そうだけど……」

「な、なんでもありませんよ」


嘘つけ、なんでもなくてそんなにビクビクするか。

いくらなんでも分かりやすすぎやしないか。


「じゃあさ、ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「な、なんでしょう?」

「最近みんながそわそわしてるなって思ったの。

なんでだろう?」

「さ、さあ、なぜでしょう…」

「き、きっと1週間も原因不明で寝込んでいたお嬢様を心配しているんですよ!!」

「ふうん、まあいいや。ありがとう」


1週間も寝込んでたのか、私。

私の記憶があるのはアルムに稽古をつけてもらった後に随分と豪華な食事をしたところまでだけど…

寝込んでた記憶とかないんだよな。

ラレーヌに聞いてみようかな?




「あっ!ラレーヌ!」

「お嬢様?どうかなさいました?」

「もうっ!やっと見つけたわ!ラレーヌに聞きたいことがあったの。」

「はい、なんでしょうか?」


ラレーヌは私の専属メイドであるが、ずっと私に付きっきりなのは申し訳ないと私から言ったため、普通のメイドの役割も兼任している。

他の仕事を少しするくらいかなと思っていたら、全然そんなことなかった。

もともと有能なメイドだったラレーヌは、洗濯係、料理係、清掃係などなど、大量の仕事が舞い込んできていた。

だから私が探そうと思ってもすぐには見つからない、超多忙メイドなのだ。


「最近、みんながそわそわしてるでしょう?

なんでなの?」

「えっ……と、ですね…」

「私に言えないようなことなの?」

「いえ、そう言うわけでは……」

「ならいいでしょう?」

「〜〜〜〜はぁ、分かりました。」





「…………何をしているの、お父様は。」


ラレーヌが話してくれた内容はこう。


あの日、あのお父様が手配したとかいう食事には、お父様の“血”が入っていたそう。


(気持ち悪すぎる……、どんな趣味してんのよ……)


で、もともと魔力があるらしい私は、魔王の血を飲むことで、“魔族として”の魔力が芽生える……

という考えだったらしい。

そして、無事魔王の血を飲み、魔族の片鱗が見え出したが、元が人間なだけあってそれが身体に定着するまでに時間が掛かり、その反動で私は寝込んでしまったということだ。



「……ありがとう、ラレーヌ。私、用事ができたからもう行くね、お仕事頑張って」

「ど、どこへ行かれるので……?」

「そりゃあもちろん、







 お父様の所へ」


後にラレーヌに聞いたが、この時の私は笑顔だったが青筋が浮かんでいたらしい。



「……だから言ったではありませんか、ノワール様。私はどうなっても知りませんよ。自業自得なのですから。」







ギィィと木が軋む音がする大きなドアを押し開け、お父様の職務室に立ち入った。


「お、と、う、さ、ま。

 少しお話ししたいのですが」

「どうしたんだい?シエル。

とっても素敵な笑顔だけど……」


「お父様が私に血を与えたことについて、お話が。」

「え゛」

「どうかなさいました?もちろん、話してくれるでしょう?ね?お父様」


先ほどラレーヌに見せたように、しっかりと口角をあげ首をこてんと傾けて可愛らしく、お父様に詰め寄った。




「〜〜〜と、いうわけで、娘に内緒で何かする人は信用できませんっ!!ましてやそれが種族をどうこうする問題だなんてっ!!」

「ご、ごめんよ、魔法が使えるようになりたいと言っていたから、つい」

「もっと別の方法はなかったのですか?」

「魔王からしたらこういうのが普通なんだ。

どうしたら許してくれる?」


異世界の普通を持ってこられるのも困るが、魔王の普通を持ってこられるのはもっと困る。



「……の…………しを……さい。」

「え?」

「魔法を使えるようにしたんですから、魔法の教師を探してください、と言ったんです。

それで手を打ちます。」

「……なんだ、そんなことか。構わないよ。

すぐに手配しよう。」


ノワールは娘に向けて優しく微笑み、頷いた。


「えへへ、やった!」

「シエルも年相応の態度をすることがあるんだね」

「どういう意味ですか???」

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