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閑話35 夜LINE㉕【青葉昴・朝陽司・蓮見晴香・渚留衣】

日曜日、午後九時頃にて。


晴香

『急にごめんね! みんなちょっといいかな?』


朝陽司

『うん、いいよ』


朝陽司

『ってあれ、二組の部屋かと思ったら月ノ瀬さんだけいない?』


晴香

『あ、うん! それに関係がある話っていうか……玲ちゃんには内緒の話っていうか……』


朝陽司

『なるほど?』


晴香

『朝陽くんは時間大丈夫だった? ほんとに急でごめんね!』


朝陽司

『大丈夫だよ。暇してたから、むしろこうして話かけてくれて助かったかな』


朝陽司

『蓮見さんたちと話すの楽しいしね』


晴香

『はうぁぅぅぅ!!』


朝陽司

『大丈夫!?』


晴香

『うんだいじょうぶ。致命傷で済んだだけだから』


朝陽司

『それ大丈夫じゃないよね?』


晴香

『だ、だいじょーぶ!』


晴香

『そして青葉くんとるいるい! さっきからずっと見てるの分かってるからね!? 既読が三だもん!』


朝陽司

『あ、それ俺も思った。なんで会話に入ってこないんだよ?』


なぎ

『うわバレた』


青葉

『ちっ! 鋭いヤツめ!』 


晴香

『もー! なんでずっと見てるの!』


なぎ

『いや』


青葉

『だって』


なぎ

『ね?』


青葉

『ねぇ?』


晴香

『なんでこういうときだけ息ピッタリなの!?』


青葉

『そりゃもうマブダチだからな! なぁるいるい!』


なぎ

『だれ?』


青葉

『あれぇ?』


朝陽司

『マブダチとはいったい』


なぎ

『や、なんか邪魔したら悪いかなって』


青葉

『同じく』


朝陽司

『邪魔ってなんだよ。二人が邪魔なわけないだろ?』


青葉

『司、お前は一生純情なままでいてくれ』


朝陽司

『?』


なぎ

『どんまい晴香。あとごめん』


晴香

『そ、それ以上禁止! それと朝陽くんは気にしなくて大丈夫だから!』


朝陽司

『そうなの……?』


晴香

『そうなの!』


青葉

『で、どうしたんだよ蓮見。わざわざ月ノ瀬だけハブった部屋なんか作って』


青葉

『ハブはよくないぞ~? 先生に言っちゃうぞ~?』


晴香

『そういうのじゃないから! ハブとか変なこと言うのやめて!』


なぎ

『でも実際どうしたの晴香。月ノ瀬さん絡みのことなんでしょ?』


朝陽司

『俺はだいたい予想ついた』


青葉

『え、マジかよ。司のくせに?』


朝陽司

『くせにってなんだよ。このタイミングで月ノ瀬さんに関係することなんて、一個しかないだろ?』


なぎ

『あー、わたしも分かったかも』


青葉

『は? るいるいのくせに?』


なぎ

『埋める』


青葉

『掘り返して』


晴香

『さすがは朝陽くんにるいるい! もう分かっちゃったか~!』


青葉

『やべぇ全然分からん』


青葉

『なに? 俺だけ知らないことで話進んでる? まさかの俺がハブだったパターン?』 


なぎ

『いやあんたも知ってるから。月ノ瀬さん可哀想』


青葉

『へへへ。そりゃまた御冗談を……(笑)』


なぎ

『うざ』


青葉

『俺が知ってるのは月ノ瀬の身長体重、スリーサイズと初恋の相手くらいだぞ』


なぎ

『1』


朝陽司

『1』


晴香

『0』


青葉

『協力して通報するのやめて???』


青葉

『多分完全に忘れてます。すみませんが教えてください蓮見さん』


晴香

『しょうがないなぁ。いいよ!』


青葉

『((〇┓アザ-ス! ┏〇)) アザ-ス』


晴香

『ほら、来週って玲ちゃんの誕生日あるでしょ?』


青葉

『あー。あー。あーー』


青葉

『知ってた(笑)』


なぎ

『ねぇこいつホントに埋めていい?』


朝陽司

『いいよ』


なぎ

『ありがとう』


青葉

『助けてはすみん! 二人して僕をいじめてくる!』


晴香

『二人ともやめてあげて?』


青葉

『はすみん……!』


晴香

『せめて頭だけは出してあげてね?』


青葉

『???』


晴香

『???』


晴香

『それでなんだけどー』


青葉

『泣いた』


なぎ

『笑った』


晴香

『せっかくだから、玲ちゃんのお誕生日会でもどうかなって!』


晴香

『実際はまだ転校して五ヶ月くらい? だし、改めて親睦を深めよう……みたいな?』


朝陽司

『お、いいと思う! たしか十日だったよね。俺は賛成かな!』


青葉

『では拙者はアルカリ性をば……』


なぎ

『中和完了』


晴香

『おー!』


晴香

『じゃなーい! すぐふざけるの禁止!』


なぎ

『だってさ青葉』


青葉

『だってよ司』


朝陽司

『本当にごめんね蓮見さん……』


晴香

『なんで!?』


なぎ

『わたしもいいと思う。ていうかまだ五ヶ月なんだ。ずっと一緒にいる感じがする』


朝陽司

『だよね。半年も経ってないなんてビックリだよ』


晴香

『ありがと! 青葉くんは?』


青葉

『いいんじゃね? 具体的にはなにやんの?』


晴香

『うーん。放課後にどこかでご飯食べるとか?』


青葉

『無難だけどいいと思うぜ』


なぎ

『同じく』


朝陽司

『俺も』


晴香

『よっし! 志乃ちゃんたちには私から別で声かけておくね!』


晴香

『まずはクラスメイトのるいるいたちからって思ったからさ』


朝陽司

『いい提案だと思うよ蓮見さん。ありがとね』


晴香

『そうかな?』


朝陽司

『うん。蓮見さんっていつも皆が楽しめる提案をしてくれるからさ』


朝陽司

『だからありがとね』


晴香

『はぐぅぅぅ!!』


朝陽司

『また!? 大丈夫!?』


晴香

『だいじょうぶ。だいじょうぶ』


青葉

『心配すんな司。どうせ布団の上でバタバタ暴れてるだけだぞ』


なぎ

『そしてニヤニヤしてる』


青葉

『間違いない』


晴香

『二人ともやめて! だめ!』


青葉

『はーい』


なぎ

『はーい』


朝陽司

『なんだかこの四人で話してると、去年を思い出しちゃうな』


朝陽司

『まだ志乃たちも入学して来てなくて、月ノ瀬さんもいなくて……』


なぎ

『たしかに懐かしいかもね』


晴香

『うんうん! いろいろ思い出しちゃった!』


青葉

『あのときはまだ蓮見もギャルだったよな』


晴香

『違うよ!? だとしたらこの一年でなにがあったの私!?』


青葉

『キャハ☆はるかだぉ♡ るいるいっちはあーしのトモダチっしょ♪みたいな感じだったよな。人って変わるもんだなぁ』


晴香

『それ誰!?』


なぎ

『あまりにも怪文書過ぎる』


なぎ

『そういうあんたのうざさも相変わらずだけど』


青葉

『でもそんなうざいところが好きなんだろ~? このこのっ!』


なぎ

『うわ、きっ』


青葉

『も、まで言ってくれ。きっで止められるとガチ感増すんだよ』


なぎ

『ガチだけど』


朝陽司

『二人のそのじゃれ合いも相変わらずだな』


なぎ

『ホントにやめて朝陽君。志乃さんに言うよ』


朝陽司

『なにを!?』


なぎ

『あることないこと適当に』


朝陽司

『せめてあることだけにしてください』


晴香

『また来年も一緒のクラスになれたらいいね!』


晴香

『もちろん玲ちゃんも!』


朝陽司

『うん、そうだね』


なぎ

『退屈はしなさそう』


青葉

『ま、面白いかもな』


青葉

『誰か一人だけ違くなったらそれもそれで面白そうけど』


晴香

『えー! そんなの寂しいよー!』


青葉

『どうなるかは分からんけど、来年のことは来年のお楽しみってことで』


青葉

『仮に俺だけ別のクラスになっても忘れないでね(泣)』


朝陽司

『なに言ってんだよ』


晴香

『そうなったら休み時間のたびに遊びに行くね!』


青葉

『お前マジでいいヤツだな蓮見。好き……♡』


晴香

『ごめんなさい』


なぎ

『返事早すぎる』


朝陽司

『泣いていいぞ昴』


晴香

『とりあえず話はこんな感じ! ありがとねみんな!』


なぎ

『ん』


朝陽司

『またなにかあったらいつでも言ってよ』


青葉

『おー。んじゃまた明日から学校でよろしくな』


青葉

『あと、いよいよ演劇の練習もあるからなお前ら! るいるい副監督と一緒にビシバシ指導してやるぜ』


なぎ

『え。わたしいつから副監督になったの』


晴香

『じゃー明日からまたがんばろー!』


晴香

『おやすみ!』


朝陽司

『おやすみー』


青葉

『おつー』


なぎ

『副監督? え?』


× × ×


「トークだと別にいつも通りか。キレキレの毒舌だったな」


 改めてトークを見返し、呟く。


 いつも通り――というのは渚のことだ。


 対面だとどこかぎこちない感じだったのに、トーク上では変な点はなにもなかった。


 相変わらずの鬼様、といった具合である。


「月ノ瀬の誕生日……か」


 十月十日は月ノ瀬の誕生日。


 完全に忘れていたけど、そういえば俺の誕生日のときにそんなことを聞いた気がする。


 蓮見たちがバッチリ覚えていたのは流石だ。


 月ノ瀬のヤツ、嬉しすぎて号泣するかもしれないな。


 スマホの画面をスワイプして……指を止める。


 ――『また来年も一緒のクラスになれたらいいね!』


 蓮見が残した、何気無いメッセージ。

 きっと言葉通りの意味で、深い意味なんてあるはずないのだろう。


 蓮見がいて。

 

 渚がいて。

 

 月ノ瀬がいて。

 

 司がいて。

 

 そして――俺がいて。


 そんな『いつもの』毎日が、彼らはこれからも続くと思っている。続くと信じている。


 それは悪いことではない。

 なにもおかしなことではない。


 彼らの日常は……これからも回り続ける。

 彼らの物語は……これからも進み続ける。


 例えそこに――



 俺がいなくても。


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