閑話4 夜LINE④【にのに】
午後九時にて。
晴香
『そんなわけで、玲ちゃん。改めてよろしくね!』
朝陽司
『よろしくなー』
なぎ
『よろしく、月ノ瀬さん』
月ノ瀬玲
『うん、よろしくねみんな。ありがとう』
晴香
『だからもうありがとうはいいってば! ありがとう禁止!』
月ノ瀬玲
『なによそれ(笑)』
朝陽司
『そういえば昴は?』
なぎ
『さぁ? 土に還ってるんじゃない?』
月ノ瀬玲
『ありえる』
青葉
『ありえませんから。昴くんが帰るのは……そう、美少女の腕の中さ』
なぎ
『晴香』
晴香
『おっけー!』
青葉
『なんとなく察したからやめてくれません???』
朝陽司
『お、来た来た。なにやってたんだよ』
青葉
『いやちょっと……考えごとをだな……』
朝陽司
『考えごと?』
青葉
『ほら、月ノ瀬って今までおしとやかお嬢様キャラを演じてたわけだろ?』
月ノ瀬玲
『あ、私?』
青葉
『それで、だ。今までこう……わざとおどおどしてたりとか、わざとそれっぽく恥ずかしがったりしてたとか……そういうことを考えると……』
朝陽司
『考えると?』
青葉
『萌える』
なぎ
『キモ』
青葉
『あの、もう少し言い方柔らかくしてくれません? キミ普段はそんなこと言わないよね? いや言うわ』
月ノ瀬玲
『晴香、コイツグループから飛ばすことできるんだっけ?』
青葉
『だからもういいってそれ! お前まで乗り始めたら敵しかいないじゃん俺!』
なぎ
『あんたの周りは敵しかいないよ』
青葉
『くっ……蓮見! 優しいお前なら味方してくれるよな??』
晴香
『ん? あ、ごめん。お菓子食べてた!』
青葉
『????』
なぎ
『笑った』
朝陽司
『昴は相変わらずだなぁ』
月ノ瀬玲
『青葉のそのハテナ連打見ると笑いそうになるのよね』
なぎ
『分かる』
晴香
『あ、そうだ。青葉くんのことはまぁ……うん。置いておいて』
青葉
『頑張ってフォローする感じ出すなら最後までやってくれよ』
朝陽司
『蓮見さん、どうしたの?』
晴香
『玲ちゃんさ』
月ノ瀬玲
『ん?』
晴香
『学校ではその、どうするのかなって』
月ノ瀬玲
『どうって?』
青葉
『アレだろ。引き続きお嬢様キャラやるのかって話じゃねーの?』
月ノ瀬玲
『あーなるほどね』
なぎ
『確かに。わたしたちは別にもう知ってるから合わせられるけど』
晴香
『うんうん。どっちの玲ちゃんでもいいと思う!』
朝陽司
『そのあたりどうするか決めてるのか?』
月ノ瀬玲
『そうねぇ……』
月ノ瀬玲
『なんとなくだけど、こうしようっていうのは決めてるわ』
晴香
『あ、そうなんだ!』
青葉
『朝、扉をバーン! と開ける月ノ瀬。そして彼女は言った。あんたたち! 跪きなさい!』
月ノ瀬玲
『……アンタ、私をなんだと思ってるの?』
蓮見
『ははー!』
朝陽司
『ははー!』
なぎ
『ははー』
月ノ瀬玲
『ちょ、みんな!?』
青葉
『おうおうおう! 月ノ瀬様の登校でい! てめぇら有り金全部出しな!』
なぎ
『あんたはだれなの?』
晴香
『で、でもなにか考えてるならよかった! 心配なことあれば相談してね!』
月ノ瀬玲
『ええ、ありがとう晴香。楽しみにしててね』
晴香
『楽しみ……?』
朝陽司
『週明けっていうと、もう六月だなぁ』
なぎ
『あ、そうだ夏服じゃん』
青葉
『夏、服……!!!!!』
朝陽司
『落ち着け昴』
なぎ
『青葉、あんた変な目でこっち見てきたら目潰すから』
青葉
『でーじょーぶだ。目は二つある』
月ノ瀬玲
『片方の目は私に任せて、留衣』
青葉
『うーん失明チャンスッ!!』
月ノ瀬玲
『じゃ、明日の準備もあるから私はそろそろ』
晴香
『あ、うん! また学校でねー!』
なぎ
『わたしも素材マラソンしないと』
朝陽司
『それじゃ俺も。またな!』
青葉
『ぐすんぐすん。みんな元気でね……!』
なぎ
『だからあんたは誰なの?』
× × ×
「友達……か」
ベッドにスマホを投げて寝転ぶ。
そして改めて、今日のことを思い返した。
「……本当にありがとう、司。ありがとう、みんな」
アイツには恥ずかしくて直接お礼なんて言えないけど。
せめて心の中では……。
ふふ。
久しぶりに、今日はよく眠れそうだ。