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閑話22 夜LINE⑮【お勉強組!】

数日後、午後八時頃にて。


星那

『突然すまない。皆、少し時間はあるか?』


晴香

『星那先輩からお話なんて珍しいですね! 私は大丈夫ですよ!』


朝陽志乃

『こんばんは。私も大丈夫です』


朝陽司

『たしかに珍しいですね』


月ノ瀬玲

『問題ないです』


ひなた

『漫画読んでました! あたしも暇だったのでだいじょぶです!』


なぎ

『同じく』 


星那

『よし、全員問題ないな』


青葉

『まてまてい!!!』


青葉

『問題あるわ! 誰よりも目立つこの俺様を忘れてもらっちゃあ困るぜ!』


星那

『む、どうした? 迷子か?』


青葉

『グループに迷い込むヤツってなに??? そんなセキュリティガバガバだったっけこのアプリ』


星那

『冗談はこれくらいにしておいて』


星那

『改めて全員揃ったな。少しだけ時間をもらおう』


朝陽司

『どうしたんですか?』


晴香

『なんかちょっと緊張してきたかも』


月ノ瀬玲

『分かるわ』


星那

『単刀直入に聞くが』


青葉

『キミたち、青葉昴は好きか?』


なぎ

『嫌いです』


晴香

『うーん……』


月ノ瀬玲

『まぁ、まぁ……うん』


ひなた

『あたしはちょっと……』


朝陽司

『いや、まぁ……』


朝陽志乃

『えっ』


青葉

『ふっ、今宵の涙はいつもより少し甘いぜ……』


星那

『満足か昴?』


青葉

『はい。邪魔してすみませんでした。大人しくしておきます』


青葉

『約一名だけ異様に反応早かったのは許しません』


なぎ

『言われてるよ晴香』


晴香

『私!? 絶対るいるいだよね!?』


なぎ

『???』


なぎ

『っと、ごめんなさい生徒会長さん。続きお願いします』


星那

『うむ』


星那

『ちなみに私は、昴のことをとても好ましく思っている。安心するといい』


青葉

『会長さん……!!!!』


星那

『昆虫としてな』


青葉

『誰が虫だオイ。こちとら生まれて十七年れっきとした人間だわ!』


星那

『なんだって!?』


青葉

『急にキャラ変わるのやめて!?』


月ノ瀬玲

『先輩がビックリマーク使うの珍しすぎて笑っちゃったわよ私』


なぎ

『迫真のビックリマーク』


ひなた

『笑いすぎてお腹痛い~!!笑』


朝陽志乃

『私も……ごめんなさい昴さん……』


晴香

『先輩って意外とユーモアありますよね……』


朝陽司

『意外とっていうか、結構溢れてる人だよ。ギャップに驚くけど』


青葉

『まったく。話逸らさないでくださいよ。困るなぁ』


なぎ

『あんたが一番言うな』


星那

『さて、話を戻そう』


星那

『改めて、キミたちに一つ聞くが……』


星那

『海は好きか?』


朝陽司

『え、海ですか?』


晴香

『数えるくらいしか行ったことないかも……』


月ノ瀬玲

『私もそうね』


ひなた

『あたしは部活メンバーと何度か! 楽しいから好きですよ!』


朝陽志乃

『日向らしいね。私は全然行ったことないかもです』


なぎ

『海とかいう陽キャの生息地。あたしみたいな陰の住人が足を踏み入れたら浄化される』


青葉

『お前は一回浄化されろ。そして俺に優しくなれ』


なぎ

『は?』


青葉

『本当に申し訳ないと思ってる』


晴香

『るいるい、またそんなこと言って……』


星那

『まぁ、それはそうか』


青葉

『実際俺も全然ねぇっすな。それがどしたんす?』


星那

『ああ、実は都外に別荘を持っているのだが』


月ノ瀬玲

『待ってください。サラッととんでもないことと言ってません?』


晴香

『別荘って……あの別荘?』


星那

『む? キミの考えている別荘で問題ないぞ』


星那

『で、だ。ここ何年かその別荘に行ってなくてな……今年は足を運んで掃除でもしようかと思っている』


青葉

『読めた!!!!!!!』


星那

『なんだ?』


青葉

『そこ海があるんでしょ! 都外ってことは!』


青葉

『んでんで、その別荘に俺たちを招待してくれると!』


青葉

『そういうことじゃないのか!? 名探偵昴の名にかけて!』


なぎ

『バカそう』


青葉

『んだと???』


星那

『フフ』


星那

『正解だ、昴』


青葉

『うおおおおおラブコメイベントきたあああああああ!!!!!!』


ひなた

『それって! あの!』


ひなた

『みんなで海に行くってことでいいんですか! 沙夜先輩!』


星那

『うむ。それも泊まりで、だ』


青葉

『さらにラブコメイベント来たああああああああああああ!!!!!!!!!!!』


ひなた

『きましたねええええええええ!!!!』


朝陽司

『叫んでる二人の姿が想像できた』


晴香

『え、どうしよう。私ちょっとワクワクしてきた……』


朝陽志乃

『生徒会長さん、もう少し詳しく聞いていいですか?』


月ノ瀬玲

『私も聞きたいですね』


星那

『詳しく……といっても簡単なことだぞ』


星那

『月末に都外にある別荘に行こうと思っている』


星那

『そこは海の近くだから……当然自由に遊ぶことだってできる』


星那

『だが、その前に数年行ってなかったらまずは別荘の掃除がしたい』


星那

『となると、少し人手が足りない』


星那

『そこで……だ。せっかく夏休みなのだから、最後のイベントとしてキミたちも連れていこうかと』


星那

『そして今に至る。以上だ』


青葉

『ちょ、質問いいすか自分。いいすか!?』


星那

『もちろん。なんだ?』


青葉

『海で遊べるんですか!?』


星那

『海に行くわけだからな。当然だろう?』


青葉

『じゃあ!!!!!!!!!』


青葉

『美少女たちの! 水着を! 見れるってことで! いいんですか!』


星那

『なにを言っている昴』


星那

『当然だろう?』


青葉

『うひょおおおおおお!!!!!』


青葉

『よっしお前ら! 行くぞ! 海に行くぞ!!!!! ただし全員水着持ってこい! 強制な!?』


月ノ瀬玲

『清々しいほど下心の塊ね』


なぎ

『キモい』


朝陽志乃

『不潔です』


ひなた

『引きます』


晴香

『あはは……』


朝陽司

『流石に俺でも引くぞ昴』


青葉

『うるせぇ! 男たるもの美少女の水着姿を見ずして夏を終わらせてたまるか!』


星那

『もちろん、無理にとは言わない。来られる者だけで問題ない』


星那

『各々予定があるだろうからな』


月ノ瀬玲

『別荘とか、海とか、いろいろ突然過ぎて追い付けてないの私だけ?』


晴香

『大丈夫だよ玲ちゃん。私もだから。ワクワクしてるけど』


なぎ

『水着……? え、水着……?』


ひなた

『とりあえず面白そうだからいいんじゃないですか! よく分かりませんけど!』


月ノ瀬玲

『アンタの頭が羨ましいわ』


朝陽志乃

『あ、あの……生徒会長さん』


星那

『どうした志乃』


朝陽志乃

『そういうのって、大人の方が付き添わないといけないのでは……?』


月ノ瀬玲

『あーそれはそうね。未成年だけでっていうのはアレよね』


星那

『ふむ、そのあたりも問題ない』


星那

『当日は椿……私の従姉でお目付け役のような存在が車を出してくれる。で、そのまま同行してくれる。もちろん成人だ』


晴香

『椿さん? お目付け役……?』


朝陽司

『初めて聞く名前ですね』


星那

『フフ、キミたちはそうかもしれないな。キミたちはな』


月ノ瀬玲

『なんだか含みがある言い方ですね』


星那

『そういうわけで、付き添いの心配はしなくていい。キミたちの予定次第だ』


青葉

『バーベキューしようぜバーベキュー!!!』


朝陽司

『もうすっかり行く気になってるぞ』


ひなた

『いいですね! 花火もしましょう! あたし買っていきますから!』


青葉

『おめぇ分かってんじゃねーか!』


ひなた

『でしょー!?』


朝陽志乃

『日向まで……』


星那

『そのあたりも自由に遊んでもらって問題ない。別荘も広さは十分だから九人程度は楽々過ごせるだろう』


月ノ瀬玲

『こういうこと聞きづらいんですけど……』


月ノ瀬玲

『ひょっとして先輩って、結構なお家柄な人だったり……?』


星那

『まぁ、少しだけ……な。フフフ……』


月ノ瀬玲

『絶対少しじゃないやつ……』


晴香

『私は行きたいです! 楽しそう!』


青葉

『そうだろう!? 司もそう思うよな! 美少女の水着見たいよな!?』


朝陽司

『お前それしか言わないじゃん……』


青葉

『へー? じゃあお前見たくないの? 全然興味ないの?』


朝陽司

『え、それは』


月ノ瀬玲

『司』


朝陽司

『なに?』


月ノ瀬玲

『興味ないの? 水着』


ひなた

『興味ないんですか!? あたしたちの水着!?』


晴香

『恥ずかしくなってきちゃった……』


なぎ

『水着……えぇ……?』


朝陽志乃

『な、渚先輩大丈夫ですか……?』


なぎ

『大丈夫じゃない』


月ノ瀬玲

『どうなのよ司』


朝陽司

『興味は……』


朝陽司

『なくは……ないです。はい』


青葉

『だってよお前ら! なら返事は一つしかねぇよなぁ!?』


月ノ瀬玲

『決まりね』


ひなた

『決まりですね』


晴香

『甘いもの控えます』


青葉

『司くんがちゃんと男の子やってて僕は満足ですよ(笑)』


朝陽司

『あとで覚えておけよ』


ひなた

『お泊りイベント超楽しみ! みんなで遊べるんですよね!?』


星那

『無論だ。その代わり、別荘の掃除は手伝ってもらうがな』


朝陽志乃

『水着、海、お泊り……』


朝陽司

『志乃? どうかしたのか?』


朝陽志乃

『う、ううん! 緊張しちゃって……』


朝陽司

『緊張?』


朝陽志乃

『なんでもないから! 気にしないで!』


青葉

『うふふ』


星那

『とりあえず、今日のところは以上だ』


星那

『詳細は後日また連絡する。キミたちは親御さんに話をしておいてくれ』


星那

『なにか不安がある場合は私が直接話すから、そのときは言って欲しい』


月ノ瀬玲

『分かりました。ありがとうございます』


月ノ瀬玲

『正直、私も楽しみです。友人とそういう風に遊んだことなかったので……』


晴香

『玲ちゃん……!』


ひなた

『玲先輩! 楽しい思い出いっぱい作りましょうね!』


星那

『おっと、一つ忘れていた』


青葉

『俺の水着は青色の予定です。そう! 青葉だけに!』


星那

『それはどうでもいい』


青葉

『o(TヘTo)』 


星那

『終わっていない宿題があれば持ってくるように』


ひなた

『え』


朝陽司

『え』


青葉

『んぇ?』


星那

『皆で一緒に宿題をやろうではないか。せっかく集まるのだからな』


星那

『すでに終わっている者はもちろん自由だ。好きに遊んでくれていい』


ひなた

『……まじ?』


星那

『生徒会長として、宿題のサボりは見過ごせないからな。分かったか?』


ひなた

 『はい』


朝陽司

『はい』


青葉

『はい』


晴香

『私も頑張らなきゃ……』


朝陽志乃

『私は終わりそうかも……?』


月ノ瀬玲

『私もよ。流石ね志乃』


なぎ

『……え、水着? え……』


青葉

『おい蓮見、親友が水着BOTになってるぞ。なんとかしてやれ』


晴香

『あはは……あとでフォローしておきます……』


星那

『質問があればいつでも聞いてくれ。私の話は終わりだ』


ひなた

『はーい! ちょー楽しみに待ってます!』


朝陽司

『ありがとうございました!』


朝陽志乃

『ありがとうございました……!』


月ノ瀬玲

『私も失礼するわね。ちょうど宿題してるところだったし』


晴香

『おぉ……玲ちゃんすご……』


青葉

『水着天国。それはつまりハーレム天国』


青葉

『楽園』


青葉

『すなわちEden』


朝陽司

『もう俺以外既読付いてないぞ昴』


青葉

『泣いた』


 × × ×


「お泊り……。それも水着って……えぇ……!?」


 生徒会長さんからの突然の提案に、未だに頭が追い付いていなかった。


 感情の行き場が分からず、私は枕に顔を埋めて足をバタバタとさせる。


 ど、どうしよう。私水着なんて持ってたかな……!?


 それに蓮見先輩みたいにスタイルよくないし……!


 ――なんて、頭の中はそんなことでいっぱいだった。


 兄さんや先輩たちと遊びに行けるのは楽しみだし、きっと素敵な思い出になると思う。


 それでも……やっぱり。


 そこに昴さんも一緒に居てくれることが――なによりも嬉しかった。


 あぁ――


 私って本当に……。


「昴さんのこと……好きなんだなぁ」


 昴さんのことを考えるだけで胸が暖かくなる。

 もっとたくさん話したいし、もっと名前を呼んで欲しい。


 もっと、もっと……って。


 自分がこんなに欲張りだったことが……なんとも意外だった。


 日向に言わせれば、それがきっと。


 恋する乙女――というものなのかもしれない。


 

 ちょっと……恥ずかしいけど。



「……ふふ」


 楽しみだなぁ……。

 

 私なりに、いろいろアピールしてみないと……!


 いつまでも『兄さんの妹』のままでは居たくない。


 朝陽志乃として、私はあの人のそばにいたいから。


 ――それに。


「負けたくない……」


 素敵な先輩たちに。


 誰よりも――あの先輩に。


 

 でも……その前に。




「す、す……昴さんに水着見られるってことだよね……?」


 

 蓮見先輩も言ってたけど、甘いもの控えよう。うん。

 

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