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閑話17 夕方LINE③【蓮見晴香・渚留衣】

午後四時半頃にて。


晴香

『るいるい様!! 相談があるのですがっ!!』


なぎ

『どうせ明日どんな服着ていけばいいの〜って相談でしょ』


晴香

『るいるい様エスパーだ!』


なぎ

『前にもこんなことあったし流石に分かるって』


なぎ

『というか、わたしなんかより晴香のほうがよっぽどファッションに詳しいでしょ』


晴香

『それはそれといいますか……なんといいますか……』


なぎ

『わたし、別にファッションセンスに自信あるわけじゃないんだけど。どちらかといえば自信ないんだけど』


晴香

『そこをなんとか……!』


なぎ

『一人じゃ決められない?』


晴香

『うん』


なぎ

『えー……』


なぎ

『ゲームのキャラクリなら得意なんだけどなぁ』


晴香

『あまり分からないけど、るいるいが作ったキャラクターってみんな可愛いよね』


なぎ

『でしょ』


なぎ

『アバターとかにもこだわりあってさ。髪の色とか瞳の色に上手く合うものを探したりとか』


なぎ

『そんなわけでわたしは大会観戦が忙しいから。応援してる選手が勝ち上がってきてて嬉しい』


なぎ

『明日頑張って。おつ』


晴香

『るいるーーーーい!!!』


晴香

『おーーーーい!!!』


なぎ

『どこかの誰かさんみたいな反応で笑った』


晴香

『なんでおつとか言うの〜!』


なぎ

『冗談だって』


なぎ

『で、なんだっけ。明日の服だっけ』


晴香

『です!』


なぎ

『そうだなぁ』


なぎ

『それこそスポパのとき、朝陽君に服褒められてたじゃん。ああいうのでいいんじゃ?』


晴香

『た、たしかに!』


なぎ

『カジュアル系だっけ? 親近感が湧くような感じ』


なぎ

『そっち系統の服まだ持ってたよね』


晴香

『持ってる!』


なぎ

『じゃあそれでいいんじゃない?』


晴香

『大丈夫かなぁ』


なぎ

『大丈夫だって。男は親しみがある服の方が好きなんだぜって言ってたし』


晴香

『え、誰が?』


なぎ

『わたしがプレイした数少ない乙女ゲームのキャラ』


晴香

『ゲームの人だった! てっきり青葉くんが言ったのかと思った(笑)』


なぎ

『たしかにアイツなら言いそうだけど……なんかヤダなぁ』


晴香

『青葉くんと言えばさ、るいるい』


なぎ

『?』


晴香

『合宿のとき……なにかあった?』


晴香

『ほら、あの……キャンプファイヤーのときとか。るいるい飛び出して行っちゃったから』


なぎ

『あー』


晴香

『あ! 聞いちゃいけないことだったらごめん! 無視していいから』


なぎ

『別にそんな大したことじゃないよ』


なぎ

『ただ……なんて言えばいいのかぁ』


なぎ

『とりあえず、結局わたしはアイツのことが嫌いだって改めて思った』


晴香

『嫌い?』


なぎ

『そ。嫌いだから知ってやろうって。そう思ったってだけの話』


なぎ

『ホント、アイツってバカだからさ』


晴香

『なるほど……?』


晴香

『それにしてもバカって……。青葉くんが聞いたら泣いちゃうよ』


なぎ

『泣かせておけばいいから』


晴香

『あはは……二人は相変わらずだなー』


晴香

『でも、なんとなくるいるいの気持ちが分かったよ!』


なぎ

『あ、そう?』


晴香

『うん。青葉くんはさ、上手く言葉にできないけど……』


晴香

『いつも一歩引いてるというか……なんというか……』


晴香

『るいるいはそんな青葉くんをどうにかしてあげたいんだよね!』


なぎ

『え』


晴香

『あれ? 違った……?』


なぎ

『どうにかって……そんなつもり一切ないけど』


晴香

『あ、あれー? 知ってやろうってそういう意味じゃ……』


なぎ

『わたしが勝手に思ってることだから。アイツは関係ない』


晴香

『ええっと……?』


なぎ

『わたしや青葉のことなんてどうでもいいからさ。晴香は明日のデートのことを考えなよ』


晴香

『デートって……そんなんじゃ……!』


晴香

『玲ちゃんもいるし!』


なぎ

『デートみたいなものでしょ。月ノ瀬さんのビジュアルは最強クラスなんだから負けないようにね』


晴香

『負けって……そんな競争みたいな』


なぎ

『月ノ瀬さんに朝陽君を取られていいの?』


晴香

『それは……!』


なぎ

『ま、そういうこと。もしピンチになったら連絡してよ。もしかしたら助けてあげられるかもしれないし』


晴香

『でもるいるい、明日用事あるんでしょ?』


なぎ

『もしも、の話だから。そのときのわたしの状況次第では助けられるかもしれないね。うん』


晴香

『どういうこと……?』


晴香

『あ、でもでも、青葉くんも来るかもしれないでしょ? 朝陽くんが声をかけないわけないし』


晴香

『私としては、緊張しちゃうから青葉くんには居てほしいんだけど……』


なぎ

『アイツは用事あって来ないんじゃない?』


晴香

『そうなの?』


なぎ

『知らない。適当に言った』


晴香

『るいるいさぁ……』


なぎ

『明日になれば分かるでしょ。頑張ってね』


晴香

『うん! 付き合わせちゃってごめんね!』


晴香

『あ、着る服決まったらさ。写真撮って送っていい?』


なぎ

『気合入りすぎ(笑)』


晴香

『そういうこと言わないでよ~!』


なぎ

『分かったよ。わたしの感想でいいなら』


晴香

『うん、ありがとね! それじゃあまた!』


なぎ

『おつおつ』


 × × ×


 

「ま、どうせ来ないだろうけど」


 スマホを机の上に置いて、わたしは机の上に置かれたモニターに目を向ける。


 ちょうど現在、わたしが好きな2D対戦ゲームの大規模大会が配信されているのだ。

 プレイヤーとして見逃すわけにはいかない。


 ――それにしても。


「七夕イベント……か」


 駅前のショッピングセンターで開催される七夕イベント。


 なにをするのかは正直よく分からないが……なんとなくは予想できる。


 短冊に願いを書いて、館内に設置された大きな笹に飾る……とかそういう感じなのでは?


 どちらにしろ、リア充が好みそうなイベントである。


 そんな場所に男女で遊びに行くなんて……それはもうデートだ。


 だからこそ、晴香にはぜひ頑張ってもらいたい。


 そして。


 そんなリア充イベントに……アイツが、青葉が来るとは思えない。


 チャットで話したとき、用事はないと言っていたけど……。


 どうせ、適当な理由を付けて誘いを断るだろう。


「はぁ……」


 ため息が出る。


 アイツの考えが分かってしまうなんて……嫌だなぁ。


 わたしはわたしで、明日はやりたいことがあるし。アイツのことは放っておこう。


「え、そこから逆転できるの? すご」


 とりあえず今、最も大切なことは大会観戦だ。


 ほかのことは忘れよっと。


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