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2話 こじらせ達の偏見

 次の日の朝、俺はいつも通り登校すると角っこの席に座る。我ながら良い引きをしたと思っている。

 ただ残念なのは学校で絵を描くことは出来ないという点である。もしも一人で絵を描いていたらどうだ? すぐにヤンチャな奴等に見つかり、晒し上げられることだろう。

 だったら美術部に入れば良かったじゃないかって? 一回行ってみたけど、俺が描きたいのはあんなんじゃなくてフツーにイラストなんだよ。

 芸術的なアートを描いている横で俺が二次元のイラストを描いてたら教室で描いている時と同じく晒し上げられることだろう。


 まあせめてもの抵抗として携帯のホーム画面は自分が描いたイラストにしてるけど。


「おっすー、西里」


 急に俺を呼ぶ声と共に背中がどんと押される。


「おはよう、大地」


 話しかけてきたのは俺が唯一このクラスで話すことが出来ると言っても過言ではない大地流星(だいちりゅうせい)だ。

 一見するとイケメンの陽キャ。俺と仲が良い訳がないだろう人種である。

 しかし、その中でも初回の体育の授業でペアになったことで打ち解けて仲良くなったといういわば希少人種だ。

 大地は俺の隣の席に座ると話し始める。


「お前昨日あまっちゃんに呼び出されてたよな? 何かやったか?」


 あまっちゃんっていうのは天地先生の愛称だ。小柄で可愛らしいため、生徒たちから陰でそう呼ばれているのである。

 本人はその愛称で呼ばれていることを知りながらも、あまり好んではいないようだけど。


「部活に入れってさ。面倒だよな」

「そういやお前まだ入ってなかったよな。んで? どっか入るとこ決めたのか?」

「いや、それが決めたというよりかは決められたというか」


 そう言うと俺は天地先生に渡された用紙を大地に見せる。


「新聞部? ウチの学校にそんな部活あったか?」

「あまっちゃんが新しく作ったらしい。俺を部活に入れるために」

「お前のために? えらく好かれてんな、お前」

「そんなんじゃないだろ。あまっちゃんは多分そうゆう人なんだよ」


 多少の知り合いであればもちろん話し方なんかも変わってくるだろうが、基本的にはどんな生徒が相手でも変わらず真剣に対応を考えていそうだ。

 それもあるから断りづらかったんだけど。


「これに名前書いて今日提出なんだってさ。はあ、俺が生徒に聞き込みかぁ。嫌になってきた」


 ただでさえ人見知りなのに全く知らん生徒相手に話しかけなければならないというのはあまりにも億劫であり憂鬱である。


「そりゃ大変だな。まあでも何かありゃ俺が手伝ってやるよ」

「マジか? そりゃ助かるな」


 陽キャでサッカー部の大地が助けてくれるのなら新聞部やっていけるかも、そんなことを思っていると教室の扉をガラッと開ける音が聞こえる。

 そして入ってきた人物の顔を見るなり、俺はもう一つ悩みの種があることを思い出す。


「そうだ思い出した。新聞部、あいつと二人なんだよ」

「え、白雪姫とか? そりゃラッキーだったな、お前」

「何がラッキーだ。女子なんて何考えてっか分かんねえだろ? 別にこっちが恋愛感情なんか持ってないのにちょっと目が合っただけで不本意な噂を流されて挙句の果てに……」

「おいおい待て待て。お前のいつもの奴が出てんぞ」

「……あぶねえ。ストレスのあまり思わず俺のダークサイドが出ちまうところだった」

「……いや既に出てんだって」


 大地が何と言おうがこれくらいはまだまだ序の口だ。想像しただけで何をされるか分からん。

 ていうか密室(部室です)であることを理由に好き放題言われるんじゃないだろうか? ああ、怖い。

 出来る事ならば白雪が入部しないことを祈る。


 そんなことを思い、白雪の方を見るとちょうど目が合う。

 そして何を思ったか白雪はこちらへツカツカと歩いてくると、じろりと睨んでくる。


「何を勘違いしていらっしゃるか分かりませんが、気持ち悪いのであまりこちらを見ないで貰えますか? 可能性なんて一切、塵芥ほどもございませんので」


 そう言うと満足したのか白雪は俺に背を向けて自分の席へと座る。


「す、すげえ。白雪姫が授業中以外で誰かと話してんの初めて見た」

「いやでも内容がどっちかっていうと嬉しくない方向だけど」


 その驚異的な言葉に周囲からそんな声がヒソヒソと聞こえてくる。

 うん、最悪☆。まあでも別に想定内だけど。


「に、西里。大丈夫か? 何か凄まじい暴言を吐かれてた気がするけど」

「大丈夫だぞ。女子なんて元々あんなもんだろ?」

「お前の中の女子の想定、どんだけ荒んでんだよ」


 まあどちらにせよ女子には近づかないのが正解だよな。最近、電車とかでも痴漢の冤罪とかあるらしいし。

 男にとっての最大の敵は女子である。

 しかし、現実世界に限る。二次元ではそんなこと起こり得ないのである。


「てか西里、次の体育から男子と女子でペアになってダンスじゃなかったっけ? そんなんで大丈夫か?」

「え、まじ?」


 大地から告げられたその言葉は俺にとってあまりにも耐えがたい物であった。

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