謎解きは桜を見上げて
ポストを開けると桜色の封筒が入っていた。差出人の名前はない。こういうことをするのは、一人しかいないと思いながら、ペーパーナイフで封を開ける。
『桜を見上げるとだいぶ咲いてきましたね。
謎を解いて、お花見でもしませんか。
落下位置、軸、地上、地味、波、鮫、
ダニ、手、松
健闘を祈ります。』
ふーん。売られた謎は、解いてみせようじゃない!
漢字は、まず平仮名にするのが常套手段よ。
らっかいちじく、ちじょうじみなみ、さめだにて、まつ?
「イチジク」と「南」と「にて、待つ」かな。でも、他は何よ?
「あれれ?江藤探偵、何を見てるんですか?」
助手の荒川君がいつの間にかやってきて、手紙を覗き込んでくる。
「なろう探偵事務所からの挑戦状よ。」
「なろう探偵事務所といえば、どんな事件でも必ず真犯人をあてるやっこ探偵と、彼女を支える優秀な助手の上野君ですね。」
「惜しい!探偵の名前は「や」じゃなくて「ゆ」だし、助手は「上」ではなく「下」よ。そして探偵を支えるというよりはツッコミが秀逸なんだけどね。」
「彼女、西の女探偵って呼ばれるんでしたっけ。」
「そうよ。でも東の女探偵といえば、この私、江藤凛のことよ!なのに、彼女のほうが真犯人の検挙率が高いから、私が霞むのよ!推理は私のほうが得意なのに。」
悔しい思いが昂ぶって、勢いよく立ち上がり、椅子を倒す。
「まあまあ、落ち着いて。お座りください。」
「はい。まあ、悪い人じゃないんだけどね。ライバルって感じかな。そういえば、さっき、なろう探偵事務所の二人のことなんて間違えたっけ?」
「やっこ探偵と上野君です。」
「そうか!五十音順に並べると『ゆ』の上の文字は『や』だ。でも、全部これで読んだら、意味が通じないわ。きっと特定の字だけ上げるのね。」
すると突然、荒川君が、ふっと眼鏡を外して、静かに言う。
「江藤探偵、わかりましたよ。」
来た!この仕草は、荒川君が完全に謎を解決したときの仕草だわ。
「手紙の書き出しを見ると『桜を見上げて』とあるじゃないですか。」
「なるほど、『さくら』の上は『こきよ』だわ。そうすると、『4日1時、吉祥寺南コメダにて、待つ』ってことね。」
指定日時に、吉祥寺駅南口にあるコーヒーショップで荒川君と待っていると、なろう探偵事務所の二人がやってきた。外の桜を見上げると、満開の花見日和だ。
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なろう探偵事務所のメンバーは二次創作にあたるのでしょうか。
ゆいこのトライアングルレッスンについては、使用していいという公式見解がありますが、他のなろラジから生まれたものはどうなんでしょう、グレーゾーンかなと悩んで、二次創作のキーワードを設定しました。