表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昔の契約が今になって現れた  作者: 時折ワラウ
1/2

色々忘れた頃にやってくる

スマートフォンやデジタルカメラ、世の中には写真として、風景を残したりデータとして残す方法がある。ただ1つ忘れてはならない。写真を撮られると魂が抜けるということを……


小さい頃から憧れていたと言えば嘘になるだろう。思い立ちは誰もが通過点とする中二の頃、悪魔との契約を行った。もちろん生贄は用意していなかったし方陣も滅茶苦茶である。だから失敗した。だが、もし方陣の内容が違っただけで発動していたら……


高校3年生の夏、友達との用事を終え帰路についていると美しい女性が現れた。「契約の時来たり、召喚に応じました。契約により貴方を別世界へとお送りします」と、告ると話も聞かずに異世界へと飛ばされた。

最初は疲れから森に迷い込んで幻覚を見ていたと思い込んでいたが空を飛ぶ鳥の異形さや、日本では少なくとも見ないであろう形の植物に納得せざる得なかった。

困惑を重ねているとピロンと携帯が鳴った。メールを受信したようだ。昔使ってい他が今はお守り代わりとしてストラップにしていたガラケーの方からだ。

「なんでこっちが、シム切れてるぞ」添付画像を開くと『最初で最後の一通です。貴方は契約によりこちらの世界に招かれました。契約内容は携帯なる物に異世界で使える能力の付与・異世界への転移・タフガイ・エクスカリバー・ち?!・退屈しない日々・就職とか馬鹿らしいから勇者が良い・です』「すごいですね、最近ガラケーなんて触ってなかったから驚きしかない……じゃねぇーよ!!え?もしかして子供の頃にふざけて書いたあれ?それにち?!ってなんだよ。方陣も手順通りに作ったはずだぞ」とぼとぼと歩いていると洞窟に辿り着いた。「涼しいー、中入るか……しばらくは洞窟で過ごす日々だな」ガラケーを仕舞いスマホのライトで中を照らしながら奥へと進む。「テレビ番組説は薄いな、どう考えても1個人を狙ってここまで大規模でやらないだろ。それにガラケーもそうだ。魔法陣に関してはトップシークレットに行ったから知ってる人間なんて俺以外いないし、ってか俺も忘れてたし」便利とも言えない心細い明かりが1寸先を照らす。粘土質のような地面に所々白い塊が刺さっている。「これって人の骨?!な、なわけねぇーよな……ってか深いなこの洞窟……まさかダンジョン的な!ステータス欄とかないの?!ないよねぇぇ」

ヤケになって叫んでいると視界がひっくり返った。「うおっ?!」振り向くと犬型のモンスターがヨダレを垂らしながら迫っていた。「やべぇ、やべぇ……にげなきゃ」立ち上がって走ろうとするが漏らして地面がぬかるんでたのかひっくり返る「ひ、あ!そうだ能力!あるよなガラケー!」開くが何も無い。メニューボタンを押すと沢山アプリが表示された。考える間もなくポチポチ押すとそのままカメラが起動しフラッシュが3回ほどたかれた。カシャカシャカシャと閃光とシャッター音が洞窟内部に響いてく。ドサッと魂が抜けたかのように犬型モンスターが倒れる。

「な、なんだ……」ガラケーを見ると敵性MOBと書かれたファイルにさっきの犬型モンスターの写真が入っていた。「何が起きたんだ?」頭にはてなマークを浮かべてると奥から2人組が走ってきた。「ルーブ!早く追いかけないと!街に出たら怒られるよ」「あぁ、待ってろって<地に足を付け・翔て見せろ!>」その1人、剣を携えた方が高速で横を抜けていく。もう1人が大きな盾を持ちながらよちよちと通り過ぎていく。

「なんなんだアイツらは……」ボソッと呟くと幽霊でも見たかのような顔をした盾持ちが盾で殴りかかって来た。「ご、ご、ごーすと!!!」「まて!やめろ人間だ!」ガン!ガン!と避けた場所に盾が刺さる。「ち、近寄らないで!」「わかった、わかったから落ち着けよ!な?ゴーストなら透けてるだろ?」「あ、ほんとだ。でもこんな所に人なんて……」「おーい、外に足跡なんて無かったぞ。ソフィアの見間違いじゃないのか?」もう1人が戻ってきた。こちらを一瞥するなり剣を構えだした。「ソフィアに何しようとしてんだあんた」「いや、どう見ても俺が襲われてるがわ!」「ルーブ、一応人らしいよ」「こんな効率の悪い狩場に普通来るか?最近ソフィアが付けられてるって言ってた不審者じゃない?あいつらに引き渡そう」「だからー、ってかなんなの?そこの犬もだし君らもだし」「犬?あー、ほら!ルーブの見落としじゃんここにいるし」「む、それは悪かった」「あのー、俺を置いてかないでくれないか」「で、ブラッドリードッグがどうしたの?」「いや、急に襲われたんだよ!せっかく良い住処見つけたと思ったら」「住処?え?」「もしかしてこの人さ、かなり馬鹿?」2人がヒソヒソと話し合う。明らかに世間知らずを笑う会話である。しばらくすると話が固まったのかルーブと呼ばれた剣士が自己紹介をしてきた。「ルーブ、B級剣士だ。あんたに害が無さそうだから歓迎するよ」「あ、あぁ……此花(このはな )幸定(ゆきさだ )、色々分からないことばっかだがよろしく頼むよ」「ソフィアです。見ての通りS級盾持ちです」どこがみての通りだよと思いつつも軽い趣味などの話をし洞窟を出た。どうやら洞窟に住まなくても無料の宿があるらしい。

「本当に知らないんだね」「もしかして追放者?でも家名があるってことは違うよね……見たところ装備も村人以下だし」「まぁ(謎の契約により元いた世界から)追放されたみたいなもんだな……」「それで洞窟は流石に」「戦闘経験は?あるなら私たち荷物持ちか魔法使い探してるから枠あるけど」「ルーブ!こんな怪しい男入れていいの?」「私達が逃したブラッドリードッグを倒してもらってるし、あんたが襲ってるだろ?訴えられたら追放者相手でも負けるかもしれんぞ」「ひぇー、わかったよ」「あ、あぁ……戦闘経験については無い。だけど荷物持ちくらいなら」2人のパーティーに加わり3人で森の外に向かった。「とりあえず倒した魔物のポイントは取ったから町に戻ろ、そこで正式に登録してランク上げしよ!」「さっき言ってたSとかってやつか?」「そうだよ、敵を倒すと抜け殻になって外にポイントって言われるその生物自体の維持機能みたいなのが出るんだ。それを私たちは集めて持っていく。遺体は必要なところ以外はさっきみたいに燃やしていくんだ」「ポイントって魂みたいなものか……」「魂か、ちょっと違うかな。魂は自然的神の概念だけどポイントってのは天使様の設けた人々の序列なんちゃらってものかな」「流石ルーブ!」「ところでランク上がるとどうなるんだ?」「下位序列って言われるローランカー達は絶対パーティーを組まないと行けなくて登録費が依頼料から半分引かれるんだけど上位序列っていうハイランカーは登録費無料でソロ活動可能、それと各施設の待遇が良くなる」「中々統制ができてるんだな。ちなみに2人はハイランカーなのか?」「そうよ!特に私はSよ!盾持ちでは1番。と言っても元勇者パーティーだったからだけどね」「私は捨てられて悲しんでたソフィアを拾ったのよ」「なるほどな。ちなみにローランカーとハイランカーで組むとどうなるんだ?」「んーとね、ルーブちゃんだけならダメだけど私がいれば大丈夫!Sは最強だから」森の入口に着くと薄い壁みたいな物が形成されていた。「これは?」「ソフィアのスキルだよ。最悪ケースに備えてね」「なるほど、ところでそのスキルってのはどう手に入るんだ?」「魔導書を読んだり契約、他には天賦の才とか色々あるけど、適正とかもあるからユキサダに使える物があるかは分からないかな」ちょくちょくとこの世界の知識を増やしてるうちに街へ着いた。

造りは疎らで文化の混流地点の様な異質な場所だった。

「ふむ、いい景色だ」何となくガラケーで写真を撮った。この異質な風景を収めたかったから。

カシャっと撮るとセーブポイントと書かれたファイルが作られた。

街は特に囲いがある訳でもなく、憲兵も居ない穏やかな場所だった。少し大きな洋風の建物に入ると受付、掲示板、バー、充実したギルドなるものが広がっていた。

「す、すごい……歴史を見ている気分だ」「すいませーん、ルシフさん居ませんか?」ルーブが声を掛けると奥から猫7割の人型モンスター、元いい獣人が現れた。「ルーブか、なんだ。あの依頼受けたんだってな」「その依頼はほら、これ。で、今回はこっちも」よく見るクレジットカードみたいなものをルーブがルシフと呼ばれた獣人に渡した。「男か、そうかもうそんな歳か」「んな?!違うからな。コイツは拾った、ソフィアの時みたいなもんだ。登録頼むわー」「まぁ別にいいけど。殺すなよ?増える分にはこっち儲けだけど死んだら被害しかねぇ」「ソフィア居て死んだら私、冒険者辞めるぞ」「だなー、まぁいいわ。そこの、あー言語わかるよな?」「分かりますよ。名前、これって平仮名?カタカナ?」「は?何言ってんだシバくぞ」「そんな……」ひらがなでわかる範囲を全て記入してルシフに手渡した。

「年齢が17で初冒険者とか舐めてんな。でー、名前はユキサダと。戦闘経験はブラッドリードッグ1匹か。出身は、アイチ?知らんな、得意武器なしと。ライセンス登録に至っていくつか検査するが、いいならそこに丸つけてこっち来い」ルーブとソフィアは終わるまで装備の手入れに行くと言って消えていった。

こっちはルシフについて行き奥の部屋に入った。

「まずはスキルだ。どのスキルに対応してるか。まぁ簡単な話すると、全部の魔導書を触れてどうなるかって話だが」よいしょと本を並べて端から説明をされた。火、水、風、雷、闇、光、木、氷、無の9種類の根源。触れて光れば少しでも適正がある事になる。魔力分の適正根源がそれぞれのスキル適正になる。根源9でも魔力が1だと1つしか使えない等の細かい制約もあるらしいがそんな事例はまず無いからと説明を省かれた。

「試し用だ。触れな」火の魔導書に触れた。仄かに熱を感じた。「適正ありだな」最後の無まで全適正持ちという結果が出た。

「あいつ以来だな……お前さては、いやなんでもねぇ。次魔力量見るぞ。ほら、こい」回の形をした正方形の部屋の真ん中は燃えていた。「そこの真ん中に立て。大丈夫だ熱かったら横の水に入れ。今の段階で熱ければ諦めな。魔力1だ」すごくビビりつつも蹴飛ばされ真ん中の炎に頭から入り込んだ。「あつ?!くない」「んじゃ、火力増やすぞ!<火よ立ち上がれ・紅きを見せろ!>」ボン!と大きな音がなり炎が強くなるのが分かった。だが、まだ熱くない。「まだ大丈夫そうだな、よし!どーせこの炎じゃ火傷程度だし少しペースあげんぞ?<火焔よ溶かせ・成り果てを見せろ!>」横に張ってあるはずの水がぶくぶくと沸騰しだした。仮に熱くて飛び込んでも意味ないだろと思いつつも、まだ大丈夫な現状に驚いていた。「まだ大丈夫か~?ってか死んだー?」「生きてますよ!!」「今ので適正23だが、さらにすっ飛ばすか?まぁルシフさんじゃ500が限界だけど」「死なないんだろ?なら100単位でも」「おぉ、痛め付けられるのが趣味と。なら任せたれ<深紅に染めたれ・万死を見せろ!>っと、今ので100だ。まだ行けそうだな!200!」「まだ大丈夫ですよ。それとそんな趣味無いです!」「久しぶりに痛め付けられる人形が来た!うっしルシフさん頑張るぞっ!」「まだ、行けますよ!」「これで無理なら適正オールでだが500オーバーだ。まぁ人間ならかなり最高位の方だ。だが覚悟は決めろよ?万が一しくればあっちちぃーだぞ!<解放せよ・我は炎なりて・地獄を見せろ!>ってか女の子達のパーティーに男が来んなよ!死ね!!」「お、おい今なんか不謹慎な言葉が」炎が地面から壁、天井に反射して爆発的な火力を見せる。

「どうやら死に損ないの様だな……はぁはぁ……たっく、何百年ぶりだよ。ルシフさんをここまで困らせるとは……じゃ、適正4500超えって事で」「ん?500以上は無理って」「いやよくよく考えたらルシフさん1つ間違いをしていたのだよ」「ほ、ほう?」「火属性特化でやってるから全適正を見てるわけじゃなく火属性しか分からないって話しさ。だが逆を言えば他の根源も同じだけ耐えれるってことだ。根源は持ってる分だけ同じ強さで使える。裏を返せばひとつ分かればそこに使える根源の数をかけりゃいいってことよ」「あ!そういう事か。火属性500を耐えたから掛ける9で」「まぁルシフさん的にはここで死んで事故として処理……冒険者ライセンスを出すよ。入口に戻ろう」「今なんか聞き捨てならぬ事を聞いたぞ」「ルシフさんはルーブが赤ん坊の時から知ってるから、下手な真似したらシバくぞ」「睨むなって。俺的にはルシフさんの方が魅力的だぞ」「ひゃ?!」固まったルシフ。

「あのー、大丈夫ですか?」「あ、あぁあ……とりあえずライセンスしろよな」カードを受け取った。「色々なステータスから魔術師Cスタートだな。それにパーティー組むんだろ?なら少し高くても問題はねぇ」「有難うございます!」「れ、礼なら拾ってくれたルーブに言いな」ルシフは攻めに弱いなと謎の関心を得ながらギルドの鍛冶屋へ向かった。

「お、ユキサダ。終わったか」「Fと一緒に冒険なんて恐ろしい限りだけどね」「まぁそう言うな。私とて初めはEだったわけだし」「なんか悪いな。Cだってよ」「え?!」困惑するソフィア。「なんだ、始めたての私より強いじゃないか。なら十分楽しめるだろ」少し浮かれるルーブ。

「適正の数かな?ランクは基礎値で初手G~C、経験値でF~Bって最初に振られるわけだし」「魔力は4500の全根源対応らしい」「ほぅ、ソフィア以外に全適正が居るとは」「な、なんでよ!私の天賦の才を!」「そんなにヤバいのか?聞いた話だと全根源使えても魔力が低いと意味無いとかって」「予め決められた道しかないのか、それとも色々進めるのかは大きいよ」ルーブが少し暗そうに話す。触れてはいけない話題だったのか「また初心者だし、慣れるまで頼むよルーブ、ソフィア」「しょうがないから犬死はしないように守ってあげるわ」「あぁ、私が助けたからには最強の冒険者に仕立ててあげるよ。とりあえずライセンス見せて、ふむ、あぁ。スキルは何かあるのか?」「いや全く」「運がいいな。ブラッドリードッグは品薄だが狩場を知る人が少なくてな。かなり値段がつり上がってるんだ。さっき売ってきた普段1ルーブにもならない心臓が一つあたり50ルーブの値がついた。おかげで財布が潤ってるのさ」「待った、お金の単位ってルーブなのか?」「あぁ、私と同じ名前だ」「なるほど、少し迷っただけだ続けてくれ」「つまり、魔導書を買えるってわけだ」「ちょ、ルーブ?それは2人で過ごす家の資金に回すって」「ソフィア、いいか?」2人でなにやら話し始めた。「なぁ2人とも、魔導書っていくらするんだ?」「だいたい100ルーブから3000ルーブかな」「C級冒険者の3日分って言われてるね」「ブラッドリードッグはまだ需要高いんだろ?だったら1人で狩ってくるよ。それならソフィアも納得だろ?」「それは……」「しょうがない、私がついて行こう。ソフィアはお留守番だ。C級はソロ活動できないしな」「悪いななんか」「いいさ、ソフィアはただ怖いだけさ。昔みたいに居場所を追われるのが」まだ見なれぬ街並みを抜け洞窟に戻ってきた。「今日は深層まで潜ったが未探索の場所がいくつかある、そこなら数匹はいるだろう」「入口は対策するのか?ソフィアみたいに壁を張るとか」「あれは異例だ。普通の冒険者はそもそも逃げないといけない試練に挑まないから入口ごと塞ぐのさ。モンスターは愚か自分らも出られないようにね」「な、なぁ一応聞くが今回の討伐難易度的なのはいくつなんだ?」「ビビってるな?ユキサダは。倒した深層のキング含めてB級行くか行かないかさ。なんなら私一人で討伐できる」「なら安心か?」「今回はユキサダ用のお金を稼ぐ訳だからユキサダはもちろん活躍しないといけないだろ?そこでだ!囮頼むぞ」謎の液体を掛けられ洞窟の奥へと引き摺られた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ